
MM総研 中村成希 執行役員がサーバー市場を予測
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SERVER, CLOUD MARKET
Windows Server 2016の登場で、ハイブリッドクラウド化のさらなる進展が予測される。今後、オンプレミスのサーバーとクラウドの市場はどのような成長を辿るのか。MM総研 執行役員研究部長の中村成希氏が予測する。
ITを使ってビジネスを変えたり、新しいことを始める際の手段としてまずはクラウドを検討する“クラウドファースト”が根付いてきている。現在はちょうど転換期と言っていいだろう―。
クラウド活用の転換期に突入
昨年の12月にまとめた2016年度上半期(4?9月)のPCサーバー国内出荷実績調査では、PCサーバーの出荷台数は前年同期比12%減の20万3,094台、出荷金額は同8.9%減の1,121億円になった。2011年度上期以降10半期連続で増加を続けていた出荷金額は、11半期ぶりにマイナス成長となった。
サーバーの出荷台数が減少し出荷金額が伸びていた背景には、仮想化の影響があった。仮想化によるサーバー集約によって台数は縮小傾向だったが、サーバー自体にはCPUやメモリー、I/Oなどの性能が要求されたために出荷金額では成長を続けていたのだ。こうした傾向に変化が現れ始めている。
その要因は国内のクラウド市場の成長にある。2015年度には国内のクラウドサービス市場規模はすでに1兆円を突破しており、2016年度は1兆3,000億円を超える見通しだ。WebやメールなどのサーバーをAzureやOffice 365などのパブリッククラウドに切り替えるユーザーが増加するなど、サーバー市場はオンプレミスシステムのクラウドシフトによる需要減少の影響を受けているのだろう。
IT業界ではクラウドやモバイルの台頭は数年前から言及されてきたが、実際に利用するユーザーの意識も変わってきている。ITを使ってビジネスを変えたり、新しいことを始める際の手段としてまずはクラウドを検討する“クラウドファースト”が根付いてきているのだ。現在はちょうど転換期と言っていいだろう。クラウドサービスのセキュリティに対する不安イメージも低下している。
プライベートクラウド用途が成長
クラウド市場の中では、2015年度のパブリッククラウド市場規模が2,756億円、2016年度は3,283億円を予測している。一方、プライベートクラウド市場規模は2015年度が7,352億円、2016年度は約1兆円となる見通しだ。プライベートクラウド市場の中でも、オンプミレミスの市場規模は2016年度で約5,000億円の見込み。パブリック、プライベートクラウド市場それぞれが成長し、2020年度には合わせて3兆円規模の市場を形成すると考えている。
パブリッククラウドやプライベートクラウドの利用用途で上位を占めているのは、「メールサーバー」「グループウェア」「ファイルサーバー構築」「データベース構築」「データバックアップ基盤」だ。パブリッククラウドやプライベートクラウドへの移行パスの上位は、「自社内にある仮想化されていない自社サーバーから移行」「既存システムの移行ではなく、まったくの新規利用」「自社内にある仮想化されている自社サーバーから移行」となっている。
また、パブリッククラウドやプライベートクラウドと社内システムとの連携状況については、IaaSやPaaSとの連携では「クラウド化されていない既存の社内システムと連携して利用」が約40%、「クラウドサービス単体で利用」が約37%、ホステッドプライベートクラウドとの連携では「クラウドサービス単体で利用」が約44%、「クラウド化されていない既存の社内システムと連携して利用」が約37%となった。
こうした中で、サーバー出荷においては、プライベートクラウド用途は今後も成長が見込まれる。プライベートとパブリックの相互接続用途も拡大し、ハイブリッド化が進展するだろう。ユーザーニーズは、製品単体のサポートや単純な性能の向上から、システム全体の運用性能やセキュリティ対策などに及ぶ。サプライヤーとしては、こうした要求に呼応したサービスの提供が一層求められるようになる。
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