
ウェアラブルデバイスは腕時計型とリストバンド型が主流/市場拡大の勢いはやや落ち着いている様子
2016年より市場拡大の勢いが弱まる
最近、腕時計型やリストバンド型のウェアラブルデバイスをよく目にするようになり、その普及が広がっていることが感じられる。しかし実態は同市場の成長の勢いが弱まっているようだ。
IT専門調査会社のIDC Japanが2016年12月15日に発表したウェアラブルデバイスの世界出荷台数の調査結果によると、2016年第3四半期の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は前年同期比3.1%増の2,303万台だった。
2016年に入ってからは前年同期比の成長率が鈍化傾向にあり、2014年第1四半期以来続いてきた市場拡大が減速したと同社は指摘する。
ベーシックタイプは市場拡大を続ける
商品タイプ別で見ると腕時計型(942万台)とリストバンド型(1,268万台)が市場の96.0%を占め、「ウェアラブルデバイス=腕時計 or リストバンド」ともいうべき状況が継続しているという。
腕時計タイプを詳細に見ると「Apple Watch」に代表されるスマートタイプが284万台、ベーシックタイプが658万台と、価格などの点で優位なベーシックタイプの出荷台数がスマートタイプを上回る状況が続いている。
特にスマートタイプは2四半期連続の前年割れの状況にあり、成長率は鈍化しつつも市場拡大基調にあるベーシックタイプと対照的な傾向となっているようだ。
スマートウォッチは万人向けのものでない
米IDCでシニアマーケットアナリストを務めるジテシュ・ウブラニ氏は「スマートウォッチが万人向けのものでないことも明らかになった」と指摘する。
そして「明確な使用目的と使用事例が極めて重要であり、そのため単純さを訴求できるフィットネス分野にフォーカスしている。しかしながら、そこからさらに一歩進んでスマートウォッチのスマートフォンに対するユーザー体験の差別化を示すことが鍵となる。その兆しとして携帯電話機能を統合した製品が現れつつあり、企業はそれらのデバイスの試作を始めている」と市場を分析している。(レビューマガジン社 下地孝雄)