
PC開発の技術を結集したコンバーチブルPCを提供するTCS・VAIO
コンバーチブルPC
31年の開発技術を結集した 珠玉のコンバーチブル
東芝 dynabook V
脅威のバッテリー稼働17時間
1985年にラップトップPC「T1100」を発売して以来、東芝は31年間ノートPC開発を続けてきた。その根底で、常に意識されていたのが「モビリティ」である。常に人が携帯する端末だからこそ、堅牢性やセキュリティ性、そして先進の機能と性能が詰まった端末であることを目標に掲げ、dynabookシリーズを展開している。
東芝クライアントソリューションで商品企画を担当する渡辺 玄氏は「2in1端末はPC市場の中でも今後の伸びが期待される分野です。特に、コンバーチブルPCはキーボードを中心に使うユーザーからの需要が高く、そうした用途で使いやすいよう開発したのが昨年12月に発表した『dynabook V』です」と話す。
dynabook Vのバッテリー稼働時間は約17時間と非常に長く、1日外出していても長時間作業が続けられる。この驚異的なバッテリー駆動時間を実現した背景には、底面スペースのほとんどを占めるバッテリーの大きさによるところが大きい。
製品企画の要望を上回る東芝の技術力
(右)同 クライアントソリューション事業部 クライアント設計部 クライアントハードウェア設計部 第一担当 主任 杉浦雄介 氏
大型のバッテリーを搭載するためには、限られた本体スペースの中で別の部品を小型化する必要がある。dynabook Vでは、最新CPU第7世代インテル Core i プロセッサーを搭載して高性能化を図ったり、Thunderbolt 3を搭載するなどしていた。しかし、それらの基板となるメインボードは、従来と比較して14%小型化している。
このメインボードの小型化を実現した背景について、同社でdynabook Vの開発に携わった杉浦雄介氏は次のように語る。「メインボードを小さくするために、さまざまなシミュレーションを重ねながら部品配置や配線を最適化し、より高密度に部品を実装する『高密度実装技術』を採用しています。これにより、部品実装の間隔はわずか0.2mm。それらの工夫によって、実は企画の渡辺から要求されたバッテリー稼働時間よりも製品化したバッテリー稼働時間の方が長くなっているんです」そう笑う杉浦氏はどこか得意げだった。
ユーザビリティの側面では、操作の質感まで追求したキーボードを新たに開発した。キーピッチは19mm、ストロークは1.5mm確保していることに加え、キートップに0.2mmのわずかなへこみを作ったことで快適な打ち心地を実現している。
dynabook Vは、1台でタブレットとしても、モバイルPCとしても、メインノートPCとしても使える、同社の技術力を結集して開発された“珠玉の2in1コンバーチブル”だ。「いつでもどこでも安心して快適に使えるよう、モビリティとユーザビリティを追求しました。そうしたこだわりを製品化できたのは、一重に東芝の高い技術力があったからです」と渡辺氏。その言葉には、ノートPC開発31年の同社のプライドが表れているようだった。
“快”を追求した オール国産端末
VAIO VAIO Z
本質にこだわった製品開発を推進
スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの普及によって、情報の閲覧など受動的な端末の役割はスマートデバイスにシフトしつつある。それに伴って、よりノートPCに求められているのが“生産性”であると指摘するのは、VAIOの黒崎大輔氏だ。
「生産性を上げる端末というのは、特にビジネスシーンにおいて強く求められています。具体的には、キーボードの打ち心地や入力端子など、ビジネスに必要な本質的な使い勝手にこだわった端末です。しかし昨今、薄くて軽いタブレットライクな製品が増えてきており、ノートPCの本質が重視されていないと感じています」
そうした“本質”にこだわった端末が同社が提供する「VAIO Z」だ。クラムシェルモデルと、タブレット形状になるフリップモデルをラインアップする。
VAIO Zでは“快”をキーワードに、パフォーマンスとモビリティの両立を図っている。特にこだわっているのがパフォーマンスで、TDP 28Wの高性能プロセッサーを搭載している。これにより、インテル第6世代のCore i5プロセッサーでも、一般的なノートPCの第6世代 Core i7プロセッサー搭載モデルを凌駕するパフォーマンスを発揮できる。
「しかし、高性能なCPUを使うほど熱量も大きくなります。その熱を冷やすために排熱が必要になりますが、本製品は前述したようにモビリティにもこだわったため薄型です。そのため、通常であればCPUを強力に冷却する排熱機構を搭載することは難しい状況でした」と黒崎氏。だが本製品は、そうした物理的な問題をもともせずに、排熱機構にデュアルファンを採用している。限られた内部構造の中で、どのような工夫をしたのだろうか。
国内企業との共同開発で実現した基板
背景には、同社独自の高密度実装基板を開発したことが挙げられる。VAIOは基板設計と基板製造の専門部隊があり、配線の間を互いが干渉しないレベルで狭めるなどの工夫がなされている。通常、チップベンダーはそれぞれの部品の間に干渉しないように隙間をあけているが、その隙間は万が一を考えてやや余裕を持った間隔だ。「当社はインテルなどのベンダーとの協力関係をもとに、その隙間をぎりぎりまで調節し、非常に小さな基板を完成させました」と語る黒崎氏は誇らしげだ。
このように小さな基板を開発したことで、VAIO Z専用に一から開発した「熱冷却設計技術」を組み込めた。この高密度実装技術と熱冷却技術を組み合わせたメインユニットは「Z-engine」と呼ばれている。
ファンは日本電産とVAIOの共同開発によって、HDDディスクにも使われる流体動圧軸受技術を用いたファンを新規に開発。また、2基のファンは左右の羽の枚数を変える事によって、動作ノイズを抑え、加えてフジクラとVAIOが共同開発した「極薄型高効率ヒートパイプ」により、薄型で高い熱運搬能力を持つヒートパイプの実装に成功した。
VAIO Zは同社の技術力に加え、国内企業との共同開発によって多くの部品を専用にカスタム設計している。「純国産の端末だからこそ、細部までこだわった信頼性の高い一台に仕上がりました」そう黒崎氏は胸を張った。
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