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全国初! 三条市はマイナンバーカードを使った独自サービスを展開

全国初! 三条市はマイナンバーカードを使った独自サービスを展開

2017年01月11日更新

全国初、選挙や災害時の避難所でマイナンバーカードを採用
〜新潟県三条市が独自サービスの展開で積極的な活用を推進〜

昨年から交付が始まったマイナンバーカード(個人番号カード)だが、2016年7月上旬時点で約600万枚(普及率5%)となかなか普及が進まないようだ。そのような中で、新潟県三条市は活用に積極的に取り組んでおり、全国の自治体からの視察も多いという。市役所内での職員の利用をはじめ、図書館、選挙、災害時の避難所での入退記録など住民サービスの拡充、効率化も図っている。マイナンバーカード活用の状況と今後の課題を聞いた。

住基カード時代から活用に積極的で 国内初、県内初の独自サービスを展開

新潟県三条市のマイナンバーカードの普及状況は、2016年10月末の申請時点で7,708枚(約7.7%)と、国の平均よりも高い。これは、マイナンバーカードだけに積極的に取り組んでいるからではなく、それ以前の住基カードのときから継続的に取り組んできているからだという。


具体的に三条市が住基カード時代から取り組んできた独自のサービスを挙げてみると、

  • 証明書自動交付(全国初2003年8月)
  • 図書の貸し出し(全国初2003年8月)
  • 公共施設予約(全国初2003年8月)
  • 住基カード無償化(県内初2006年5月)
  • 窓口支援(全国初2007年4月)
  • 職員の出退勤管理(全国初2007年4月)
  • キオスク端末サービス(全国初2007年4月)
  • 子育て支援(全国初2007年7月)
  • 証明書コンビニ交付(県内初2011年3月)


というように、すでに住基カード時代から全国、県内に先駆けて積極的に取り組んできたことがわかる。


「マイナンバーカードをスタートするにあたって、従来からのサービスの中で、継続するもの、改良するもの、さらに新たに提供するサービスを検討しました」(新潟県 三条市 総務部 情報管理課 係長 大竹芳弘氏)


職員の出退勤管理やコンビニでの証明書交付は継続サービス、窓口支援サービスと図書貸し出しサービスは改良を加えるサービス、全国初の取り組みとなる選挙の投票入場受付と避難所の入退所受付が新規サービスとして加わった。

市役所では職員の出退勤管理 選挙時は投票入場受付に採用

こうしたサービスが可能になるのは、カードに内蔵されているICチップに空き容量があるからだ。マイナンバーカードの本来の導入目的は社会保障や徴税の効率化だったが、このICチップの空き容量に国や自治体、民間企業が独自の機能を加えていけば、さまざまなサービスを拡充できる。


例えば、全国のコンビニで住民票の写しや戸籍、所得証明や課税証明、印鑑登録証明書などが受け取れるコンビニ交付サービスを、三条市内では1店舗から33店舗(全国では約5万店舗)に拡充している。


職員の出退勤管理では、朝出勤してきた職員は通用口で自分のカードを専用機器のターミナルにかざすと、出勤時間がシステムに記録される。退勤時も同様。これが毎日の光景だ。


住基カードは、そもそも公務員への普及が低調だった。制度を支える当事者がそのような状態では、国民に普及しないのも当然だった。その反省から総務省は、職員は必ずマイナンバーカードを取得するようにと全国の自治体に指示を出したという。そのため、もちろん三条市の職員は、全員がマイナンバーカードを持っている。


窓口支援サービスも、従来は住民票や税証明、戸籍証明などは申請書やパスワードが必要だったが、カードに本人の住所、氏名、生年月日、性別のデータがあるので、カードの券面を確認するだけで発行できるように改良された(その分、手続きにかかる手数料も割引になった)。


マイナンバー稼働を機に導入された新規サービスが選挙の投票入場受付と避難所の入退所受付だ。全国的にも、投票所や避難所での利用は珍しいという。


「選挙の投票所では、郵送された入場券を見て本人を確認し、投票用紙を発行します。マイナンバーカードがあれば本人確認ができますから、入場券がなくても(持って行くのを忘れた場合でも)、手間なく受付が可能です。この7月の参議院選挙から投票所で利用が始まりました」(大竹氏)


越後平野のほぼ真ん中にあり、河川が入り組んでいる三条市では梅雨時期にたびたび河川が氾濫。同市は、1997年と2004年の7月に洪水の被害を受けている。


災害時のリスク対策の一つとして活用が始まったのが避難所の入退受付だ。従来は、避難者に住所、氏名を書いてもらい、市の職員が手作業でデータベースに記録していた。しかし、紙による入力方式では氏名や住所などに不明瞭なものが多く、避難者が一気に来ると受付に時間がかかったり、避難所にいるかどうかの確認にも手間がかかった。避難所でカードをかざすだけで本人とその家族の入退が記録できるよう被災者支援システムを構築し、6月の水害訓練で導入した。


「第一次避難所は市内に10カ所あり、ネットワークで結ばれています。訓練では、避難者役の市職員がカードを読み取り機にかざすと、PCに本人や家族の情報が表示されました。1分弱で一家3人が避難所に入ったことが記録され、実に簡単でした」(大竹氏)

普及率×携帯率の向上が課題 申請作業を手伝うサービスも開始

三条市は、さまざまな窓口での受付をスムーズにするためにマイナンバーカードを利用した独自のサービスを展開している。
図書、選挙・避難者受付、職員の出退勤サービスでは、パスワード不要の共通AP(アプリケーションプログラム)を利用。

災害はいつ起こるかわからない。災害時に市民の何人にカードが普及し、そのうちの何人がカードを携帯しているかで効果が違ってくる。


「当たり前のことですが、普及率×携帯率の向上が最大の課題です。新しいサービスで市民の利便性が高まり、持ちたい、使ってみたいと思うようにならないと普及は進みません。そのためにも、新しいサービスが必要と、鶏と卵の関係が続いています。三条市では、独自のサービスを提供するためのシステム開発を外注せず、データベースアプリが簡単に作れるMicrosoft Accessを利用して職員が行うことでシステム開発費用を減らしています」(大竹氏)


カードの申請には写真撮影も必要で、最初からハードルを感じる高齢者もいる。市役所の窓口では、申請作業を手伝うサービスを9月から始めた。歩行者天国にブースを出したり、市の施設で出前講座をやったりして手助けをする機会を増やしているという。


2018年から健康保険証とマイナンバーカードの統合が実現する見込みと言われ、免許証についても内閣官房が警察庁と話を進めているという。究極はポイントカードとの一本化だろうが、そうしたサービスが本当に実現するかどうかは、カード自体が国民にどれだけ普及するかにかかっているといえる。

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