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PC 事業を大切に育て続けながら、ハード技術を活かした新規事業も模索

PC 事業を大切に育て続けながら、ハード技術を活かした新規事業も模索

2017年01月10日更新

PC事業を大切に育て続けながら ハード技術を活かした新規事業も模索

BtoCからBtoBに軸足を移す

─東芝の社内カンパニーであるパーソナル&クライアントソリューション社のPC関連事業と東芝情報機器が一体となり、今年4月1日より東芝クライアントソリューションが発足しました。新会社の役割や目的を教えてください。


覚道氏(以下、敬称略)■東芝のPC関連部門では収益の改善を目指して事業の構造変革に取り組んできました。その中で大きなテーマとなっていたのが、事業の軸足を家庭市場から法人市場へ移すことでした。


市場調査会社の発表からもわかる通り国内の家庭向けPC市場での成長は厳しく、一方で法人向けPC市場には伸びしろがあります。


すべてを自社設計・自社生産に


覚道■成長が期待できる法人向けPC市場に注力することの一環として、これまで社外に委託していた家庭向けPC製品の開発・製造(ODM)を、自社設計、自社生産にすることにしました。


以前より法人向けPC製品は中国杭州にある「東芝情報機器杭州社」(TIH:Toshiba Information Equipment Hangzhou)で自社設計、自社生産しており、家庭向けPC製品もTIHで自社設計、自社生産することにしたのです。


一気通貫ですべての機能がそろう


覚道■これまでは家庭向けと法人向けとで異なるサプライチェーンが機能していたことになります。これが一つのサプライチェーンに統合され、商品企画から設計、生産、品質管理、販売、アフターサービスまで一貫して行える組織が実現できるようになり、PC事業に注力できる東芝クライアントソリューションが発足しました。


当社はPC事業に関して一気通貫ですべての機能がそろっている国内で唯一の企業です。その利点はお客様のご要望や課題を企画および開発に迅速に反映でき、お客様の役に立つ製品やソリューションをタイムリーに提供できることが挙げられます。

国内家庭向けPC事業は継続

─東芝クライアントソリューションが発足してからの東芝ブランドでのPC事業は、国内外でどのように展開するのですか。


覚道■海外での家庭向けPC事業は大幅に縮小し撤退しました。海外拠点を欧・米・アジアに集約し、法人向けを中心にPC、ソリューション事業を展開します。グローバルでビジネスを展開しているお客様向けにはいずれの拠点でもサポートします。


国内でも法人向けPC、ソリューション事業に注力しますが、国内では「T1100」から続くdynabookシリーズのブランド価値が高く、またダイワボウ情報システム(DIS)様をはじめとしたパートナー様や大手量販店様との関係が良好なため、引き続き家庭向けPC事業も展開します。


2年間のメーカー保証を提供


覚道■TIHで自社設計、自社生産している家庭向けPC製品は法人向けPC製品の基盤を共有しているため、堅牢性やセキュリティ機能、そして品質など法人のお客様にご評価いただいている強みを活かせるようになりました。その結果、家庭向けPC製品のメーカー保証を2年間としました。


保守対応は従来体制を継続


覚道■製品のアフターサービスも従来通りの体制で対応しています。法人のお客様は引き続き国内約30カ所の拠点で、個人のお客様には東芝PC工房を中心にサポートサービスを提供しています。


東芝のPC関連事業は東芝情報機器時代より長い間、お客様とパートナー様との良好な関係を維持して成り立っています。性能や機能、品質の高いPCの提供だけではなく、キッティングや設置、Windows 10への移行、ライフサイクルマネジメントのお手伝いなど、お客様目線で課題解決型のビジネスを展開してお客様の役に立ちたいと考えています。

PC事業以外の領域も拡大

─PC事業以外の領域にもビジネスを広げていく計画はありますか。
覚道■国内のPC市場は法人向けの成長が中期的に期待できるとはいえ、いろいろなビジネスモデルに挑戦する必要があります。


当社はハードウェアメーカーとしてPCで培ってきた技術を活用して、例えばIoTの分野でいろいろなモジュールを提供して新しいサービスを構築し、ユーザーへの課金で収益を得るビジネスモデルをすでに実現し、今後の展開を検討しています。


新規事業の成果が出つつある


覚道■新しいビジネスモデルのいくつかは、実を結びつつあります。例えば損害保険契約者の自動車にドライブレコーダーを取り付け、ドライバーの運転の傾向を分析して事故の抑制に貢献するサービスを提供しています。


また欧州ではスマートメーターなどを接続するコミュニケーションハブを提供して、クラウド上のEMS(エネルギー管理システム)にデータを伝送するサービスも始めています。


このほかOSより下層のBIOSの段階でセキュリティを制御するゼロクライアントシステムの実証実験を、国内外で複数件実施しています。端末にメモリーを搭載せず、アクセス履歴を残さない究極のセキュリティシステムです。


パートナーとの情報共有に期待


覚道■ハードウェアの技術を基盤にIoT関連やセキュリティなど、お客様の要望に役立つ新しいビジネスモデルを一つひとつ試行錯誤して、PC事業以外のビジネスチャンスを確かなものにしようとしています。


お客様の要望や課題は業界によって異なりますし、その情報を当社だけで集めるのは困難です。全国のお客様とつながっているDIS様、その多くのパートナー様と情報を共有することで、新しいビジネスモデルが生み出せると期待しています。


これから取り組む新規事業は利益貢献度の高い事業に育てたいと考えています。しかしPC事業も大切に育て続けるPCメーカーを目指しています。

東芝クライアントソリューション株式会社
取締役社長 覚道清文 氏 Kiyofumi Kakudo

「日本のPCメーカーとして存続し続けるために必要な施策を講じていきます」

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