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IDC Japanが国内IT市場の主要10項目を発表/2017年のITビジネスの攻め口はどこにあるのか

IDC Japanが国内IT市場の主要10項目を発表/2017年のITビジネスの攻め口はどこにあるのか

2017年01月24日更新

IDC Japan株式会社
リサーチバイスプレジデント
中村智明氏

2017年国内IT市場10大1予測

価値は稀少から豊富に変わる

IT専門調査会社のIDC Japanは毎年恒例となっている国内IT市場の最新予測を2016年12月13日に発表した。2017年は「デジタルトランスフォーメーション(DX)・エコノミーの萌芽」をテーマに国内IT市場の展望について、同社のリサーチバイスプレジデント 中村智明氏が説明した。
まず中村氏は2017年以降に国内市場で考慮すべき変化について12項目を挙げた。そこでは世界的なデジタルトランスフォーメーションへの投資拡大をはじめ人工知能の台頭、プラットフォーム経済の競争激化など、テクノロジーがビジネスや経済、社会をけん引すると説明した。
中でもユニークだったのは従来は稀少なものに価値があるという価値観だったが、デジタル化が進んだ現在ではビッグデータから新しいビジネスを創出するなど、豊富に存在するものから価値のあるものを見出すことが必要になると指摘したことだ。
今後はデータを収集するだけではなく、たくさんのデータから価値を取り出して有効活用するための具体的な取り組みが重要になるという。
2017年の国内IT市場における10大予測については次の通りだ。

(1)産業間のエコシステム連携によって第3のプラットフォーム上にDXエコノミーが萌芽する

(2)第3のプラットフォームへのICT支出が第2のプラットフォーム支出に並ぶ

(3)ランサムウェアの被害拡大が、脅威インテリジェンスと認知システム/AIを活用したセキュリティ製品の開発を加速する

(4)DXを実現するハイブリッドクラウドとAPIエコノミーの拡大が加速する

(5)IoT事業者の競争軸は「IoTプラットフォーム」から「データアグリゲーションプラットフォーム」にシフトする

(6)DXの普及がエンタープライズインフラストラクチャーの選定基準とITサプライヤーの競合関係に変化をもたらす

(7)認知システム/AIの事例がプロフェッショナルサービス、セキュリティ/リスク管理分野で多数登場する

(8)産業特化型クラウドがDXエコノミーのコア技術として成長を始める

(9)AR/VR、ロボティクス、3DプリンティングなどのIA技術が製造業の変革とグローバル競争力の強化に貢献する

(10)DXが企業の全社的課題として認識されIT人材とDX推進組織の再定義が進む

イノベーションアクセラレーターに商機

イノベーションアクセラレーターに含まれるテクノロジーの需要が拡大する。

まずIDCが提唱している「第3のプラットフォーム」を基盤として「DXエコノミー」が確立され始めるという。第3のプラットフォームとは「モビリティ」「ビッグデータ/アナリティクス」「クラウド」「ソーシャル技術」で構成されるIT基盤であり、この基盤を活用した「IoT」や「認知システム/AI」「AR/VR」「ロボティクス」「3Dプリンティング」「次世代セキュリティ」などのテクノロジーを企業がビジネスに取り入れることでDXを実践する。
今後はこれらのテクノロジー、すなわちDXを加速させる「イノベーションアクセラレーター」となるテクノロジーやサービスの需要が拡大するとともに、企業で実践されるDXが企業間の協業を拡大させ、そこから新たなビジネスを創出するエコシステムが生まれる、これが「DXエコノミー」というわけだ。


ちなみにイノベーションアクセラレーターに含まれるテクノロジーの2015年~2020年のCAGR(年平均成長率)はAR/VRが179.6%、認知システム/AIが114.9%、IoTが19.4%、3Dプリンティングが18.8%、ロボティクスが14.9%、次世代セキュリティが5.7%と魅力的な市場となりそうだ。

第4のプラットフォームも来る

第3のプラットフォームは2年前倒しで第2のプラットフォームと入れ替わる。

さらに第3のプラットフォームの次の世代となる「第4のプラットフォーム」も2017年に先行事例が現れるという。第4のプラットフォームとはITが人体に入り込み生体系と統合して細胞レベルでデジタル技術を人体に応用する「Augmented Humanity(AH)」だという。
例えば米国国防高等研究計画局(DARPA)のNeural Engineering System Design(NESD)において4年以内に人体埋め込み型のデジタルと神経系間の広帯域通信インターフェースを開発するという発表がある。
こうしたヒトの機能や能力に関与するようなデジタル活用が2017年にも具体的なシステムの事例が紹介されるだろうと中村氏は説明する。


DXエコノミーを支える第3のプラットフォームの進化と普及は続き、2017年には第2のプラットフォームと市場規模が肩を並べると同社は予測している。ちなみに昨年の同様の発表では第3のプラットフォームが第2のプラットフォームを追い抜くのは2019年と予測されており、2年前倒しになったことになる。
なお2017年の国内ICT市場は前年比マイナス0.6%、2015年~2020年のCAGRはマイナス0.3%と横ばいが続くという。
その中でも第3のプラットフォームへの支出は2015年~2020年のCAGRで3.7%と堅調であり、一方の第2のプラットフォームの同期CAGRはマイナス4.3%と縮小を続ける。

ランサムウェア対策と「クラウド2.0」

ランサムウェアに対する防御策として脅威インテリジェンスと認知システムやAIを搭載した製品の需要が拡大する。

セキュリティ市場では認知システムやAIを搭載した製品の需要が拡大するという。すでにランサムウェアの被害が拡大しており、2017年も引き続き深刻化すると見られる。
情報漏えいと異なりランサムウェアはデータを暗号化したり破壊したりするなど、業務が停止してしまい事業に深刻な被害を受ける。
ランサムウェアをはじめ未知のサイバー攻撃にも対抗できるソリューションとして、セキュリティ関連情報をリアルタイムで監視し、相関分析することで異常を検知する脅威インテリジェンスや、認知システムやAIを搭載した製品への需要が拡大すると予測している。

クラウドは2020年には最も信頼できるIT環境になる。

セキュリティという関連ではクラウドの信頼性や安全性の進化も「クラウド2.0」として予測している。多くの企業はクラウドに対してセキュリティの不安を抱いているが、これからは最も信頼できるIT環境になると同社は予測している。
中村氏は「企業が自社でサーバーを運用するよりも、クラウド事業者の大規模なデータセンターで膨大な数のサーバーを運用するほうがサイバー攻撃への防衛力が高いのは明らか」だと指摘する。
また大規模な設備を保有・運営している事業者ならば最新の高度なセキュリティ対策も講じられる。そのため事業者は世界的に集約され2020年には上位5社が75%のシェアを占めると予測する。

高い成長が期待できるITビジネス分野

国内IT市場で高成長が期待できる分野

このほか国内IT市場で高い成長が期待できる分野として「クラウド」や「ハイパーコンバージド」「オールフラッシュアレイ」を挙げている。
2017年の国内エンタープライズインフラストラクチャー(サーバー、外付け型ストレージ、スイッチ)市場は前年比マイナス5.3%の7,147億円を予測しているが、その中でクラウド向け支出額は24.8%を占め1,776億円となるという。これは前年比12.7%の成長となる。
ハイパーコンバージドは引き続き高い成長を続けるという。国内コンバージドシステム市場の2017年予測は前年比20.3%成長の577億円で、そのうちハイバーコンバージドが26.9%を占め155億円となるという。これは前年比71.6%もの高い成長を意味する。
オールフラッシュアレイ市場も高い成長が期待できるという。データベースシステムの高速化チューニングが不要となり、今後はフラッシュメモリーの低コスト化やデータの圧縮機能および重複排除などにより、オールフラッシュアレイのコストパフォーマンスが高まると見られる。

2017年のITサプライヤーへの提言

最後に中村氏はITサプライヤーへの提言として「2017年はDXエコノミーの萌芽の年になる。この動きを支援するためにITサプライヤーはエコシステムの拡大を図ることが最優先事項となる。この競争から脱落すれば市場から淘汰される危険性がある」と締めくくった。(レビューマガジン社 下地孝雄)

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