
AWSの提案のコツは同社のエコシステムにあり!
パートナーとのエコシステム構築で ユーザーニーズに応じた提案が可能なAWS
アマゾン ウェブ サービス ジャパンが提供している「アマゾン ウェブ サービス」(AWS)は、法人ユーザーの利用シェアが高いクラウドサービスだ。同社が注力しているのはパートナー企業とのエコシステムの構築で、それによってユーザー企業に対して柔軟な価値提供を実現している。同社のクラウドビジネス戦略とパートナー戦略について話を伺った。
Lesson 1
新規ビジネススタートに有効なクラウド
あらゆるモノがインターネットにつながり連携することで新たな価値を生み出すIoTは、製造業のみならず、流通業や公共インフラなど幅広い分野での利用が活発化してきている。中でも地方での取り組みが活発に行われているのが農業IoTで、GPSを活用した農耕機の自動運行やハウス栽培の温度管理など、各地で導入が進んでいる。
しかしIoTはIT環境のサイジングや、得られる効果の予測が難しく、実際にはじめてみなければIoTの活用が有効であるか判断が難しいという課題がある。このようなIoTビジネスの課題解決に有効なのが、クラウドサービスだ。
クラウドサービスの料金プランは、従量課金制や月額課金制であるケースが多く、試験的にIoTのシステムを利用してみて、ビジネスへの効果が期待できると判断したら継続して利用するといった柔軟な対応が可能だ。また、オンプレミスでIoT環境を構築した場合、センサーデータの蓄積や規模の拡大などに合わせて拡張していくことが難しいという課題がある。しかし、クラウドはオンレプミス環境と比較して柔軟な拡張に対応できるため、IoT環境によって大量に発生したセンサーデータの蓄積や、蓄積したデータの分析などの処理を行う上で必要となるインフラを容易に調達できる。
また、オンプレミス環境と比較して環境の構築時間が短縮できるなどのメリットもあるため、IoTを活用した新規ビジネスを検討するユーザーに対しては、クラウドの提案が最も効果的と言えるのだ。
Lesson 2
地方でのIoT活用活性化に伴いクラウド導入が進む
そのような新規ビジネスの提案に有効なクラウドサービスが、アマゾン ウェブ サービス ジャパンが提供するクラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス」(以下、AWS)だ。AWSは2006年に米国でサービスをスタートして以降、急速な成長を続けているクラウドサービスで、主にIaaSとPaaSを提供している。同社のパートナー アライアンス本部 本部長を務める今野芳弘氏は、IoTビジネスにAWSを利用する利点を次のように語る。
「AWSはクラウドサービスなので、IoTを導入した際に期待したほどの効果が得られなかったり、試行錯誤を繰り返して本番導入に至ったりする場合でも、仕切り直しなどがしやすいというメリットがあります。また、IoTに必要な機能を簡単かつセキュアに利用できるPaaS『AWS IoT』をはじめとした、IoTの導入で必要となるサービスを各種提供していますので、組み合わせることでユーザーにとって最適なIoT環境を迅速に構築できます。実際に、地方でのIoT環境構築にAWSを利用するケースが多くあるのです」
新規ビジネスだけでなく、販売店の既存の顧客がビジネスを拡大する場合にもAWSの提案は有効だ。AWSは、ユーザーがクラウドを利用しやすいようエコシステムを構築しており、ビジネスの拡大に最適なサービスを組み合わせた提案が行える。具体的には、AWS上で動作するSaaSを提供するクラウドベンダーや、システムインテグレーションを行うSI企業、BYOL(bring you own license)に対応したソフトウェアベンダーなどがAWSの販売パートナーになっているため、既存ユーザーのビジネス拡大のニーズに応じた提案が行いやすいのだ。
Lesson 3
エコシステムの構築でユーザーが利用しやすい
同社のエコシステムについて、今野氏は次のように解説する。「例えば街で考えてみると、教育機関や飲食店、小売店などさまざまなサービスを提供する場所があった方が住みやすいでしょう。それと同様で、同じクラウドサービスもクラウドサービス上で動作するアプリケーションやシステムなどが豊富である方が、ユーザーが利用しやすいのです。こうしたエコシステムを形成するのが、当社のパートナープログラム『AWS Partner Network』(以下、APN)パートナーで、現在国内企業の約400社が参画しています」
APNパートナーはSI、コンサルティングファーム、MSP、代理店、VARからなる「APNコンサルティングパートナー」と、ISV、SaaSベンダー、PaaSベンダー、開発者向けツールベンダーからなる「APNテクノロジーパートナー」に分けられる。また、それぞれのパートナーは「スタンダード」「アドバンスド」「プレミア」と売上や実績ごとに階層化されており、階層に応じて支援プログラムが提供されている。特に昨今、同社が力を入れているのがSaaSを提供しているベンダーに対しての支援で、AWS上でSaaSを提供しているパートナーに対して拡販やマーケティングのサポートを行っている。AWSではPaaSを数多く提供しており、これらのツール群を組み合わせることで、オリジナルのSaaSを容易に開発できるのだ。また、金融機関がクラウドを利用する際の指針となっている「FISC安全対策基準」への対応をまとめたリファレンスを、パートナー間で協調して提示している。セキュリティなどを重視する業種でも使いやすく、提案が行いやすいのが強みと言えるだろう。
Lesson 4
ビジネスモデルを変えずに提案できるBYOL
クラウドサービスはもはやサーバーやストレージの役割を担うだけではない。冒頭で触れたIoTシステムに必要なツール群が提供されていたり、競争力の高いSaaS開発のための基盤として活用されたりしている。また、クラウド上で業務アプリケーションを利用するためには、既存のオンプレミス製品からSaaSへリプレースする必要があるため、提案のハードルが高いと考える販売店もいるかも知れないが、既存のビジネスモデルを変えずに提案する方法があると今野氏は話す。
「従来のパッケージソフトウェアビジネスと同様にソフトウェアのライセンスを購入し、そのままAWSにインストールして使用するBYOLであれば、インフラをオンプレミスからクラウドに変更するだけでクラウド環境のアプリケーション利用が可能になります。販売店は、ビジネスモデルを大きく変えることなくクラウドを商材として取り扱えるようになるでしょう」(今野氏)
クラウドサービスはユーザーのニーズに合わせた、柔軟な提案が行える商材だ。しかし提案を行うためにはクラウドサービス自体をよく知る必要がある。同社では、パートナープログラムであるAPNパートナーに対して営業支援やトレーニングなどを実施している。APNパートナーにはAWSビジネス準備段階に位置する「レジスタードパートナー」という階層が用意されているため、まずはレジスタードパートナーへ登録することから、AWSに対する理解を深めていきたい。
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