
シスコが提案する新しいコミュニケーション基盤のコンセプトは"全部まとめる"
あらゆるものをつないで チームワークを強化
簡単に使えるがキーワード
ワークスタイル変革に対するシスコシステムズの見方は明快だ。
石黒氏「現在は求める人材を採用するのが難しく、社員の個々の生産性もぎりぎりまで高める努力がなされています。そうした中で企業全体の生産性を高めるためには、個々ではなくチームの力を向上させるしかありません。必然的にワークスタイルの変革には、チームワークが重要になってくるのです」
ただし、企業内のコミュニケーションを活性化させてチームのコラボレーション力を高める製品やサービスをこれまでも提供してきたシスコシステムズは、自社も含めて従来のベンダー側の姿勢に自戒を持っている。
石黒氏「コミュニケーション関連の製品やサービス提供においてはベンダー側のエゴが強く、実際のユーザー企業の現場では製品やサービスの利用が定着していなかった実情があります」
理由としては、例えば世代間のITリテラシーギャップがある。2010年代に入社した世代と1980年代に入社した世代では、同じ製品やサービスを使えない状況が生じているケースが少なくない。そして、それは多くの場合、ツールの使いにくさに起因している。全員が使えなければ意味がないコミュニケーションツールにとってこれは致命的だ。
そこでシスコシステムズでは「かんたんに」「クラウドにつながる」「相互接続性」をキーワードにし、これまでの反省を踏まえたコラボレーションサービス「Cisco Spark」の提供を始めている。Cisco Sparkはチームワークを醸成するためのコミュニケーションツールだ。
仮想会議室で全部まとめる
Cisco Sparkは、チャット、音声、ビデオの機能を備えたクラウドサービスで、それらのやり取りをクラウドサービス上に構築できる仮想的な会議室(ルーム)に集約可能な点が特長だ。チームで仮想会議室を構築し、その画面上でチャットやファイルの共有、通話などが行える。オフラインでも利用でき、チャットの内容や共有されたファイルは画面上でいつでも閲覧できる。
チームやプロジェクトごとに仮想会議室を作成すれば、必要事項のやり取り、ファイルの共有などがチャットや音声、ビデオなどのさまざまな参加の仕方でスムーズに行えるようになるのだ。
石黒氏「“全部まとめる”がCisco Sparkのコンセプトです。他社製品も含めて既存のテレプレゼンスシステムやWeb会議システムとの連携が可能であり、専用機、クラウドサービス、モバイルという多様なコミュニケーション手段でチームワークの醸成をサポートします」
谷内氏「当社は昨年アップルとの提携を発表していますが、Cisco Sparkで目指したのはiPhoneのように説明書を読まなくても使える簡単さであり、チャットサービスのような手軽さです。Cisco Sparkにはその簡単さ、手軽さがあります」
アップルとの提携によって、iOS 10を搭載したiPhoneやiPadではCisco Sparkが使いやすくなっている。着信時にパスコード不要で通話を開始できたり、連絡先アプリの中で選択するメッセージや通話、ビデオなどの表示が「Spark」に変わり、そのまま発信できるのだ。
谷内氏「iPhoneやiPadのネイティブアプリのように連携して振る舞うため、意識せずとも自然に利用できるようになりました」
Cisco Sparkには無償版と有償版が存在する。無償版ではチャットやビデオなどの基本的な機能が利用できる。有償版では無償版の機能に加えて、サポートや管理ポータルの提供、接続端末の管理、Active DirectoryやExchangeとの連携などが可能になる。
API連携であらゆるもののハブに
Cisco SparkはAPIの公開によってさまざまなサービスとの連携も進めていく。すでにサイボウズのグループウェア「Garoon」との連携を実現しており、Cisco SparkからGaroonのスケジュールに登録できるようになっている。Cisco Spark上にGaroonのスケジュール登録用の会議室を用意して、「会議室4人で1時間で検索して」などとスマートフォンに話しかけたりテキスト入力することで予約可能な会議室の内容が自動的に表示され、その中で予約したい会議室について入力すると、自動的に予約が完了するようなイメージだ。
石黒氏「連携を拡大させて、あらゆるコミュニケーションのハブになることがCisco Sparkの役割です」
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