
セキュリティ市場はクラウドで高い成長/シャドーITと境界防御への対策にうまみ
クラウドで求められるセキュリティ
今後も活用が拡大し続けるクラウド環境において、オンプレミスとの連携も含めたセキュリティ対策が課題となっている。特にオンプレミスの業務システムとパブリッククラウドサービスが共存するハイブリッド環境では、境界防御によるセキュリティ対策の限界が指摘されている。またシャドーITによるセキュリティ脅威も高まっている。
こうした状況下でどのようなソリューションが有効となるのか、またベンダーのビジネスチャンスとなるのかについてIT専門調査会社のIDC Japanが2016年11月15日に国内クラウドセキュリティ市場の2016年~2020年の予測とともに分析・調査の結果を発表した。
なお同社ではパブリッククラウド環境へのセキュリティ対策製品市場をクラウドセキュリティ市場と定義し、クラウドシングルサインオンとクラウドセキュリティゲートウェイ、その他クラウドセキュリティの3つのセグメントに分類して市場規模の算出や予測を調査・分析している。
同社の発表によると2015年の国内クラウドセキュリティ市場は前年比19.1%増の66億円だったという。また同市場の2015年~2020年のCAGR(年間平均成長率)は23.8%で、市場規模(売上額ベース)は2015年の66億円から2020年には193億円に拡大すると予測している。
ハイブリッド環境での境界防御が課題
同社は企業でのパブリッククラウドサービスやモバイルデバイスの利活用が進展し、パブリッククラウド上のITリソースを保護する目的としてクラウドシングルサインオンやマルウェア対策への需要が引き続き高く、市場をけん引していくと分析している。
またITシステムはオンプレミス環境とクラウド環境の両方を組み合わせたハイブリッド環境が進展し、社内イントラネットとインターネットの境界が曖昧になり、境界領域を設定することが難しくなっているため境界防御によるセキュリティ対策の限界が顕在化する。
ハイブリッド環境ではポリシーを一元的に管理し、ITリソースの活用状況を監視するクラウドセキュリティゲートウェイのソリューションが有効であり、急速に需要が拡大すると同社は考えている。
クラウドセキュリティゲートウェイを売り込む
パブリッククラウドサービスやモバイルデバイスの利用拡大によって、企業が許可していないパブリッククラウドサービスに情報資産を保存することが容易にできてしまう。こうした「シャドーIT」によって引き起こされるマルウェア感染や情報漏洩などのセキュリティ脅威を防ぐ対策の重要性が高まり、パブリッククラウド上に展開されるITリソースへのアクセスコントロールやユーザーの挙動分析、アプリケーションの稼働監視などのセキュリティ対策も必要となる。
IDC Japanのソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャー 登坂恒夫氏は「ハイブリッド環境ではITリソースの活用状況を集中的に監視、管理するクラウドセキュリティゲートウェイをハブとして、オンプレミスの業務システムやクラウドサービスを利用させるセキュリティソリューションが有効だ。クラウドセキュリティゲートウェイを経由してITリソースを利用することで、境界防御がなくてもすべてのITリソースの活用状況を把握でき、セキュリティ被害を防止できるからだ」と提言している。(レビューマガジン社 下地孝雄)
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