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よくわかる中小企業がやるべきデータ管理 ~第1回 NASの導入から活用までのポイント編~

よくわかる中小企業がやるべきデータ管理 ~第1回 NASの導入から活用までのポイント編~

2016年12月27日更新

企業で取り扱うデータは大きくなっています。我が編集部は、ファイルサーバーにPCなどの製品画像やインタビュー写真などを保存していますが、空き容量が少なくなってきてしまいました。そこで私、編集部・松尾好江は編集長から「NASへの置き換えにおいて、重要なポイントや実際の移行手順などを聞いてくる」という指令を受け、NASメーカー「QNAP」の販売代理店のフォースメディアにお話を聞きに行ってきました!

QNAP Turbo NAS シリーズの「TS-451A」(左)と「TS-251A」(右)

おお! 部屋ではQNAPのNASが出迎えてくれました。QNAPのTurbo NAS シリーズの新製品で4ベイの「TS-451A」、2ベイの「TS-251A」です。TS-451AとTS-251Aは10月中旬から発売されています。

そして今回お話してくださるのは、フォースメディア マーケティング部 部長の日置敬介さんです。今回はどうぞ宜しくお願い致します!

NASは使用人数と容量で選ぶ!

NASを選ぶときは、使用人数と容量で決める、とメモメモ。

編集部・松尾●導入環境に応じたNASの選定ポイントについてお聞きします。まずは、中小企業がNASを導入しやすい理由を教えて下さい。

日置氏(以下、敬称略)●NASもファイルサーバーも、ネットワークに直接接続できるストレージです。ファイルサーバーと異なる点に、NASはOSのライセンスコストがかからないことが挙げられます。そのためNASは、ファイルサーバーより安価に導入できるのです。

松尾●中小企業は、IT機器にコストをかけられない場合も多いですから、OS分のコストがかからないという点は利点ですね。では、NASを導入するにあたって、どれくらいのコストがかかるのでしょうか。

日置●基本的には、NAS本体とHDDやSSDのストレージの費用、保守費用が必要になると考えてください。HDDを搭載したキッティング済みのNASであれば、電源を入れればすぐに使えるので、ユーザーの手元に渡ったあとの構築に費用はかからないと思います。
QNAPは、コンシューマー向けの2ベイのローエンドモデルだと筐体だけで2万円程度で提供しています。HDDを入れても4万円程度です。また、中小企業で使える高スペックで4ベイのHDDを搭載したモデルだと15万円程度です。このように、フォースメディアは豊富なラインアップで取り揃えています。

松尾●幅広いラインアップから、企業の予算に合うNASが選択できるのですね。NASは中小企業でも購入可能な価格だということが分かりましたが、実際にはどのような基準でNASを選んだらいいのでしょうか。

日置●どのメーカーのNASを選ぶ上でも、使用する人数と容量の大きさが選定の一つのポイントになります。同時に何人がアクセスするかによって、必要なCPUの性能やメモリーの容量が変わってくるからです。

さまざまなアプリケーションが使用できる

なんと、App Centerにはカラオケができるように音楽のアプリケーションも用意されています。日置さんは、アジアユーザーに向けた機能だとおっしゃっていました。NASのインターフェース部分には、マイク端子も用意されていました。NASはファイルサーバーとしただけではなく、カラオケにも利用できてしまうんです! 新しい…!!

日置●QNAPのNASには、動画・音楽ファイルの管理、クラウド連携、アンチウイルス、データベースなどさまざまなアプリケーションが標準搭載されています。さらに必要なアプリケーションをQNAPが運営するApp Centerからダウンロードして使うことができます。

松尾●スマートフォンのようですね。ファイルサーバーとしてだけではなく、いろいろな用途に使える気がしてきました。

App Centerからユーザーのニーズに合わせてアプリケーションをダウンロードできます。

日置●ほとんどのアプリケーションが無償で使えますので、QNAPをファイルサーバーとしてだけではなく、ユーザーのニーズに合わせたアプリケーションサーバーとしてもお使い頂けます。

何世代も取り溜めておけるスナップショット

松尾●NASのセキュリティ対策はどのようになっているか教えてください。

日置●QNAP独自のオペレーティングシステム「QTS」からセキュリティのファームウェアのアップロードも可能です。LinuxベースのNASであれば、Windowsのファイルサーバーより堅牢なセキュリティで提供できます。

松尾●では、具体的にどのようなウイルスにどういった対応ができるのでしょうか。

日置●ランサムウェアなどのセキュリティの被害が増加しています。不審なメールを開いてしまったり、気づかない間に改ざんされた不正Webサイトに誘導されマルウェアに感染してしまったりするケースがあります。ランサムウェアに感染するとPCがロックされたり、ファイルを暗号化されてしまったりします。
そのような場合、PCデータのNASへのバックアップとNASのスナップショット機能の組み合わせが有効です。スナップショット機能を使うと、一定時間ごとにファイルの状態を記録することができ、ファイルを過去の状態に簡単に戻せます。ファイルがウイルスに感染してしまったり、システム障害が発生してしまった場合でも、スナップショットがあれば、ウイルスに感染したり障害が起こったりする前の状態に戻せます。

松尾●スナップショット機能によって、ファイルがウイルスに感染する前の状態に戻せることがわかりました。しかし、ファイルを過去の状態に戻すのであれば、データのバックアップでもいいのではないですか?

日置●バックアップだと1世代前のデータしか残っていない場合が多いです。暗号化されてしまったデータをバックアップしてしまっていたら、データは戻ってこないことになります。しかし、スナップショットであれば何十世代前のデータも取り溜めておけます。

松尾●なるほど。何十世代も取り溜めておくことで、ファイルがウイルスに感染してしまったり、間違えてデータを消してしまったりした場合でも、スナップショットがあれば、戻したい時の状態に戻せるということですね。それは、とても安心ですね。
でも、何十世代もスナップショットを取り溜めておくと、ストレージの容量を圧迫しないのでしょうか?

日置●通常のバックアップだと、丸ごとバックアップするため元データと同じ容量が必要になりますが、スナップショットはデータの差分を取り溜めていくので、ストレージ容量に負担をかけません。また、QNAPのNASは、スナップショット用にストレージの容量をあらかじめ確保できます。スナップショット用の容量部分には、ほかのドキュメントデータなどは保存できません。

RAIDを組んでデータの損失を防ぐ

松尾●ウイルス感染以外にも、長期間使用していてHDDが破損しデータを消失してしまう可能性があります。そういった際にデータを消失しないようにする仕組みはありますか?

日置●複数のストレージにデータを分けて保存する「RAID」という仕組みがあります。RAIDによって、複数のHDDをまとめて一つの大きなストレージとして扱いながら冗長性も確保できるようになります。
例えば、RAID 1はHDDのミラーリングです。二つのHDDを搭載しているのであれば、どちらのHDDにも同じように書き込みを行います。同じ内容が2台のHDDに保存されるため、データの保存領域として使用できるのは実質1台分の容量になります。

松尾●ほかにお勧めのRAID構成はありますか。

日置●NAS本体が4ベイであれば、RAID 5で構成していただくのがいいと思います。RAID 5は、3台以上のHDDに分割してデータが書き込まれます。このとき、「パリティ」という冗長コードが生成され、各HDDに書き込まれます。これにより、1台のHDDが故障してしまっても、残りのHDDに書き込まれているデータとパリティを基に欠損したデータを算出し、完全な状態のデータを生成することができるのです。パリティを分散して書き込むため、特定のHDDに対する負担が減り、データ書き込みの高速化が計れます。

余談ですが、皆さんはNASの中を見たことありますか? このようになっています。ここHDDが四つ搭載されます。

松尾●故障よるデータの損失機会を低減できるんですね。でも、RAIDを組むのって、難しくないですか?

日置●QNAPは初期設定も簡単に行えるGUIになっていますが、難しく感じるユーザーや初期設定に時間をかけられないユーザーのために、フォースメディアではRAID構成などのキッティングを行って提供しています。

松尾●キッティングを行ってくれるんですね。電源を入れたらすぐに使い始められますね! HDDは手元に余っているものを使いたいといったユーザーや、NAS本体のみの購入を検討しているユーザーは、自分でRAIDを組まなければなりません。第2部では、RAID構成の仕方に触れていますので、そちらをご覧下さい。

Q’centerで社内のNASを一斉管理

松尾●NASの運用についてお聞きします。部署内などに複数のNASがある場合はどのように管理するのでしょう。

日置●NASは比較的安価です。そのため、例えばプロジェクトに予算がついたからNASを購入してデータ共有を行おうという話や、従来まで使っていたNASの容量が足りなくなったからもう1台買い足そうというお話をお客様から聞きます。そして、導入したNASにトラブルが発生したら情報システム部門に助けを求めて駆け込むこともあるようです。
QNAPの統合管理ツール「Q’center」であれば、複数のQNAPのNASをまとめて管理できます。Q’centerに登録されていれば、障害が起こっているNASが分かったり、それぞれの空き容量が分かったりするため、情報システム部門の担当者は管理が容易に行えます。企業内で使用するNASをQNAPで統一すれば、社内でいくつNASを導入していても、手間をかけずに管理できます。

松尾●NASの容量が足りなくなり、もう一台買い足す場合もあるとおっしゃいましたが、SOHOであれば、2台による運用が面倒だったり、予算が限られていたりするケースもありますよね。容量が足らなくなってしまった場合はどう対処したらいいでしょうか。

日置●従来のNASよりHDDを多く搭載できるNASに置き換えるのはどうでしょう。QNAPのNASはユーザーがHDDを取り出せるので、新しくHDDが多く搭載できるNASの筐体を購入し、HDDを入れ替えることもできます。その場合は、ユーザー自身に作業をやってもらうのですが、手順に沿ってもらうだけなので難しい作業は特にありません。

松尾●今回は、NASを選ぶ際のポイントやデータの保護、運用面について日置さんにお話していただきました。読者の皆さんの中には、社内でNASを利用されている方もいると思いますが、HDDを挿入するところから初期設定を自分でしたことがある人は少ないのではないでしょうか。私も、NASの初期設定はしたことがないので、難しそうなイメージしかありません。
そこで、次回はNASの新規導入の手順をお伝えしたいと思います。実際にQNAPの製品で初期設定を行い、使える状態まで持っていけるのでしょうか?!(レビューマガジン社 松尾好江)

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