
国内サーバー市場に急ブレーキがかかる/要因は大型案件の反動とx86サーバーの低迷
前年同期の大型案件の反動
国内サーバー市場の2016年第2四半期(4月~6月)は前年同期比で大幅なマイナス成長を記録した模様だ。IT専門調査会社のIDC Japanが2016年10月11日に発表した国内サーバー市場の調査結果によると、2016年第2四半期の国内サーバー市場は前年同期20.0%減の974億円だったという。同様に出荷台数も同10.0%減の11万2,000台だった。
前期(2016年第1四半期:1月~3月)に続き今期もすべての製品分野で出荷額と出荷台数が前年同期比で減少した。IDC Japanは出荷額の減少について、前年同期にあった大型案件の反動とx86サーバーの低迷によるものだと指摘している。
前年同期には銀行向けのメインフレームやHPC(High Performance Computing)専用機などの大型案件があったが、今期はこれらの案件を補う案件がなかったようだ。
x86サーバーの平均単価が下落
x86サーバーは出荷額が前年同期比11.4%減の687億円で、出荷台数は同10.0%減の11万1,000台だった。出荷額が前年同期比で10%以上も減少したのは2009年第3四半期(7月~9月)以来27四半期振りという。またx86サーバーの平均単価は直近の10年間で初めて前期比10%以上の下落を記録した。
出荷額の減少は出荷台数の減少に加えて、平均単価の下落も要因になっている。x86サーバーは仮想化によるサーバー集約の影響で出荷台数が減少する一方、メモリーなどのオプションの追加によって平均単価が上昇するため、出荷台数に比べると出荷額は前年同期比で成長率が高くなる傾向があった。
個別設計サーバーの比率が上昇
x86サーバーの平均単価が下落した主な原因は、ODMダイレクトをはじめとした個別設計サーバーの出荷台数比率が上昇したことにあるとIDC Japanは分析している。
今期の個別設計サーバーの出荷台数は前年同期に比べ5.8%増加した。これはODMダイレクトを採用するクラウドサービスプロバイダーが増えたことが影響しているようだ。
一方で個別設計サーバーを除いたx86サーバーの出荷台数は、前年同期比12.6%減少した。結果的に個別設計サーバーの出荷台数がx86サーバー市場に占める割合が上昇し、過去最大の16.6%になった。
個別設計サーバーは他のサーバーと比べて平均単価が低い。そのため個別設計サーバーの出荷台数比率の上昇は、市場全体の平均単価を押し下げる要因となった。
トップベンダーのすべてがマイナス成長
ベンダー別の出荷額では前期に続き富士通が首位だった。ただし前年同期にあったHPC専用機の大型案件を補うほどの出荷がなくマイナス成長だった。2位はNECで前年同期にあったメインフレームの大型案件を補うほどの出荷がなく、やはり大幅なマイナス成長だった。
3位は日本ヒューレット・パッカード(HPE)で、x86サーバーの出荷額減少を補うほどの他の製品分野の出荷がなく2桁のマイナス成長となった。4位はIBMで出荷台数は増加したものの、前年同期にあったメインフレームの大型案件を補うほどの出荷がなく2桁のマイナス成長だった。
5位は日立製作所で、すべての製品分野で出荷額が減少し2桁のマイナス成長となった。6位はデルで出荷台数は増加したものの、平均単価の下落により2桁のマイナス成長となった。(レビューマガジン社 下地孝雄)
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