
SD-WANへの期待は高いが理解は不十分/認知を高めてベンダー製品を売り込む
SD-WANへの期待は高い
クラウドサービスの普及に伴いSD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)への期待が高まっている。WAN設計が柔軟に行えて拡張も容易にできるほか、全拠点のWANを集中管理できること、ブロードバンドやLTEなどのコストの低い回線でもWANを介して快適にアプリケーションを利用できることなどがその理由だ。
こうしたメリットがあるSD-WANだが、企業ではどのように理解され需要は伸びるのだろうか。IT専門調査会社のIDC Japanが2016年10月12日に発表した「SD-WANに関する企業ニーズ調査」の結果によると、SD-WANを導入するメリットがあるかとの問いに対して「大きなメリットがある」と回答した企業の比率は、国内拠点については48.6%、海外拠点については59.5%にのぼり、WAN関連の他機能に関する同様の調査結果と比べて高い結果が得られたという。
この調査結果は従業員数10人以上で2つ以上の拠点があり、データセンターまたはパブリッククラウドを利用している企業のWAN管理者を対象にアンケート調査を実施し、国内500社から得た回答を集計したものだ。
WANの課題解決策とは見られていない
SD-WANへの関心と期待が高い一方で、拠点WANの課題とその対策について尋ねたところSD-WANを第1に選んだ企業は少なく、課題解決策としてのSD-WANの優先度は国内拠点については全13施策中9位、海外拠点については同10位だった。
WANに関する課題解決策として上位を占めたのは回線の増速など契約の変更、接続形態の変更、回線の冗長化といった従来型の施策だった。
多くの企業がSD-WANのコンセプトにメリットを感じる一方で、SD-WANは実績のあるソリューションとはみなされておらず、現段階ではソリューションとしてのマインドシェアが低いことがわかる。
今後SD-WANを普及させるには、市場での認知を高めるとともに、どのようなユースケースに有効かを実際の導入を通じて実証していく必要があるとIDC Japanは分析している。
SD-WAN提案はベンダー製品が有利
SD-WANの望ましい導入形態について83.7%がベンダー製品の導入を挙げ、回線に組み込まれたサービスの利用(14.4%)を大幅に上回った。
IDC Japanではこの結果について、これまでSDNなどの付加価値の高いネットワーク機能の多くが製品ベンダーによって供給されてきたことに加えて、安価な回線を冗長化して使うSD-WANの特性上、特定の通信事業者に紐付いたサービスより回線選択に中立的なベンダー製品のほうが好ましいと考える企業が多いことが要因だと見ている。
IDC Japanでコミュニケーションズ シニアマーケットアナリストを務める小野陽子氏は「パブリッククラウドの利用増加などで、WANに課題を抱える企業が増えている。しかし市場では広帯域、高品質な回線が低価格で提供されているケースも多く、確立されたソリューションも多く存在する。SD-WANは回線の効率利用と運用管理の効率化機能を兼ね備えた統合的なWANソリューションとして、従来の課題解決策を上回るメリットを提供できれば市場に浸透するだろう」と分析している。(レビューマガジン社 下地孝雄)
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