
前年度比1%以上で成長を続ける企業では戦略投資として人材関連に取り組んでいる
人事最高責任者(CHRO/CHO)の設置率は10.5%
企業の人事部門にはマイナンバー制度やストレスチェック、女性活躍推進法などへの対応、さらには働き方の多様化や人材の多様化など戦略的な取り組みが求められている。こうした経営環境の中で国内企業は人事に対してどのような取り組みを推進しているのだろうか。
IT専門調査会社のIDC Japanが2016年10月18日に発表した国内企業の人材戦略と人事給与ソフトウェア市場動向の調査結果によると、企業の人事の事最高責任者である「CHRO」(Chief Human Resource Officer)や「CHO」(Chief Human Officer)を設置している企業は10.5%にとどまり、41.3%の企業では人事部長がその役割を担っていることがわかった。
大企業ほど人事部が人事戦略への取り組みを推進する傾向が強く、採用管理などで必ずしもIT対応をしていない業務実態も明らかとなった。
人事関連業務コストは「採用」が約3割
IDC Japanが実施したこの調査は国内企業の人事/人材戦略の策定や実行、関連するシステム管理に携わる600名を対象として、生産性の向上や労働力の確保を目的に各社が進める戦略策定の推進者、取り組みと課題、関連するIT利用の実態を調査したものだ。
調査時点における取り組み実施率はIT対応の有無にかかわらずマイナンバーが75.0%、ストレスチェックは56.0%だった。
人事関連の取り組みにおけるコスト配分では2015年度実績も2016年度計画でも「採用」が全体の約3割と最も多く、従業員規模を問わず同様の結果だった。
採用分野のIT(採用管理、採用Web制作、ソーシャルリクルーティング、ダイレクトリクルーティング)は、採用管理を中心に導入検討が進んでいる。
IT投資は法制度対応と給与・人事関連
17種類の人事給与関連分野のITについての調査では今後1年間の導入・刷新予定の上位はマイナンバー管理、人材教育、ストレスチェックなど法制度対応と業務基盤を支える給与計算や正社員の要員管理に関心が高かった。
また3年以内では全種類で導入予定が上昇し、上位は人材教育、人事ワークフロー、採用Web制作、非正規社員の要員管理など多様化への対策が目立つ。
この調査を担当したIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリスト もたい洋子氏は「人材ビッグデータなど最新のIT動向に注目が集まっている。しかし企業の評価指標や取り組み段階は実にさまざまで、現状では全企業に適用できるナレッジは限定的だ。業績を前年度比1%以上で伸ばし続ける企業では戦略投資として人材関連の取り組みを進めている」と分析している。
そして「ユーザー企業は経営やビジネス視点を取り入れて形骸化しない人事戦略と組織作りを検討すべきであり、ITサプライヤーは部分最適のシステム提案からクラウドソリューションで次世代の取り組みを支援すべきだ」とアドバイスする。(レビューマガジン社 下地孝雄)
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