
国内レーザーMFPとレーザープリンター市場はA3カラーMFP需要とSMBのリプレースに期待
レーザープリンターの出荷台数が減少
国内のレーザープリンターおよびMFP(複合機)市場は減速傾向が続いているようだ。IT専門調査会社のIDC Japanでイメージング、プリンティング&ドキュメントソリューションを担当するリサーチマネージャーの坂田信之氏は国内レーザーMFPおよびレーザープリンター市場の動向について「2016年第2四半期(4月~6月)は前年同期比5.5%減少して31万4,000台だった。特にレーザープリンターの出荷台数が減少している」と分析している。
IDC Japanが2016年9月26日に発表した国内レーザーMFPおよびレーザープリンター市場の2016年第2四半期実績によると、レーザーMFP全体では前年同期比1.2%減の16万7,000台だった。そしてカラーレーザーMFPが前年同期比1.7%減の12万2,000台、モノクロレーザーMFPが0.4%増の4万5,000台だった。
モノクロレーザーMFPの成長率がカラーを上回った要因として、比較的大型の官公庁向け案件が数件あったことを指摘している。
またカラーレーザーMFPが前年同期比で減少したのは、前年同期に大手コンビニエンスストアチェーン向けA3カラーレーザーMFPの置き換え案件があり、今期は同等の出荷がなかったことを挙げている。
ただしMFPのカラー化とレーザープリンターからの移行が続くことで、カラーレーザーMFP市場は大きく落ち込むことなく今後も推移するとIDC Japanは見ている。
利益率の低い製品の出荷を停止・抑制
レーザープリンター市場は全体で前年同期比10.0%減の14万7,000台だった。そしてカラーレーザープリンターが前年同期比11.5%減の4万3,000台、モノクロレーザープリンターが9.3%減の10万4,000台だった。
今期はモノクロレーザープリンターに携帯電話販売チェーン向け大型案件があったものの、ベンダーによっては利益率の低い低価格なレーザープリンターの出荷停止や出荷抑制を進めているため、レーザープリンター全体では大幅な減少となった。
IDC JapanはMFPへの移行や高速機への集約によってレーザープリンターの減少傾向は継続するが、ただし緩やかにはなると見ている。
A3機を中心にMFP化、カラー化が進む
国内のレーザーMFPおよびレーザープリンター市場はすでに成熟しているが、MFP化率やカラー化率などの指標には変化が見られるとIDC Japanは指摘している。
前年同期と比較すると今期のMFP化率は53.1%で前年同期から2.3%増加した。これはレーザープリンターの出荷台数が全体的に落ちている一方でレーザーMFPがそれほど落ち込んでいないため、MFPの比率が高まったようだ。
カラー化率は52.6%で前年同期から0.6%増加した。ベンダーは利益が大きいカラーレーザーMFP、特にA3カラーレーザーMFPの販売に注力しており、MFP化率、カラー化率ともに徐々に高まっていくとIDC Japanは予想している。
SMB市場向けにリプレース需要を喚起
ベンダー別出荷台数シェアではキヤノン、リコー、富士ゼロックスが大きなシェアを獲得しており、この3社で60%以上のシェアを維持している。
さらにブラザー工業、シャープ、京セラドキュメントソリューションズ、NECを加えた上位7社で国内レーザーMFPおよびレーザープリンター市場の80%以上のシェアを占めている。
IDC Japanの坂田氏は「成熟したこの市場でレーザーMFPおよびレーザープリンターの出荷台数を維持するにはベンダー、販売店が顧客、特に中堅中小企業の状況変化を見逃さずにソリューションを含めた新たな価値を提案し、リプレースに結び付けていく必要がある」と提言する。(レビューマガジン社 下地孝雄)
キーワードから記事を探す
市場調査-
第 1 位
USB Type-Cを軸にしたノートPCと外付けモニターの活用法を戸田覚が伝授
-
第 2 位
戸田覚が教えるExcelやWordでの手書き機能の使い方
-
第 3 位
戸田覚が伝授「スマホでパワポのスライドを作ろう」
-
第 4 位
Windows 10サポート終了の特需はない
-
第 5 位
PCデータをバックアップするSSD・HDDの選び方を戸田氏が指南
-
第 6 位
「オフィス作業では大画面モニターを使って仕事をさくさくこなそう」by戸田覚
-
第 7 位
PCやスマホ活用時の目に優しい画面設定について戸田覚が伝授
-
第 8 位
戸田覚が「Microsoft To-Do」を利用したセルフ働き方改革を伝授