
重要なのは販売パートナーがどれだけ利益をあげられるか OKIデータ 代表取締役社長 波多野 徹 氏
重要なのは販売パートナーが どれだけ利益をあげられるか
成熟している複合機・プリンター市場で、いかにユーザーを獲得していくか。この難問に対する答えとしてOKIデータは、製品の技術的な優位性だけではなく、新しい販売手法の提案などで、パートナーとともに新規ユーザーを獲得していくという。この4月から新しく代表取締役社長に就任した波多野 徹氏に詳しく聞いた。
販売パートナーがどれだけ利益をあげられるか
編集部●代表取締役社長に新たに就任されましたが、まずは御社の進む方向性について、複合機・プリンター市場の状況と合わせて教えて下さい。
波多野氏(以下、敬称略)●複合機・プリンター市場はカラーの複合機を除いて昨年から世界的に低迷期にあります。これは為替の影響や各国の不況などが要因で、東京オリンピックが開催される2020年頃にかけてゆるやかな回復が予測されています。
経済的な側面に加えてビジネス環境では、モバイルやクラウドサービスが普及したことで、少なからずペーパーレスの動きが進んでいます。もちろん紙への印刷機会がなくなるわけではありませんが、従来までと同様というわけにもいかなくなるでしょう。このような状況下において、これまでと同じように勝負していては、価格競争に陥ってしまい、体力を消耗するだけです。競合の中には、プリンターから別の事業や領域に軸を移そうとする企業も出てきました。
当社は、新たな市場を販売パートナーさまとともに開拓できる販売手法や製品を提供していきます。当社ならではの技術や展開力を生かした販売手法と製品で、他社と競合しない領域で勝負していきます。そうした戦略で重要なのは、販売パートナーのみなさまがどれだけ利益をあげられるかだと認識しています。
5年分の消耗品の売上が一度に得られる
編集部●新たな手法・領域で販売パートナーとともに勝負されるとのことですが、具体的な取り組みを教えてください。
波多野●オフィス向け製品では、複合機にかかる導入・消耗品コストを削減する「COREFIDO3S」と、COREFIDO3Sに対応するA3カラーLED複合機4モデルの提供を開始しました。新しいのはCOREFIDO3Sの「消耗品バリューサービス」の存在です。これは製品の購入から5年以内で上限本数内の消耗品(トナーカートリッジ・イメージドラム)を必要なときにお届けするサービスです。消耗品がなくなったらその都度購入する従来の形態と比較して、エンドユーザーは導入・消耗品コストを大幅に抑えられます。中堅中小企業で割高なメーターチャージ契約をしているユーザーなどにとって訴求力が高いサービスと言えるでしょう。
編集部●販売パートナーのメリットはどこにあるのでしょうか。
波多野●COREFIDO3Sの消耗品バリューサービスを提案していただければ、複合機本体の売上に加えて5年分の消耗品の売上が一度に得られます。本体販売後に生み出されていた従来のストックビジネスでは、取りこぼしや受発注の手間などが発生していましたが、そうした課題をCOREFIDO3Sと消耗品バリューサービスは解決し、確実な売上を販売パートナーにもたらすのです。
実際、このサービスを始める時点で、販売パートナーさまからは歓迎の声を多くいただきました。もちろん、新たな販売手法となるため、販売パートナーさまへの情報提供は充実させていきます。例えばエンドユーザーの現行の状態と比較してコストメリットがあるのかどうかを判断できるシミュレーションツールなども用意しています。
ニッチなインダストリー分野にも注力
編集部●新しく攻める領域・分野についても教えてください。
波多野●これからは医療や流通・グラフィックデザインなどニッチなインダストリー(特定業種)分野への注力を強めていきます。オフィスで利用される通常の印刷用紙以外への印刷において、印刷媒体を選ばないLEDプリンターの強みが生かせるからです。LEDはレーザーと比べて機構がシンプルで小型化できるため、インクジェットプリンターにも対抗できます。
例えば小売店などで利用されるPOPやクーポンなどの印刷がそうですね。従来のインクジェットプリンターに加えてサーマルプリンターが利用されていますが、小型化が可能な当社のLEDプリンターはそうした領域でも活躍できます。インクジェットの場合はにじみなどがあるため印刷媒体を選びますが、当社のLEDプリンターはそうしたことはありません。当社製品の強みを把握していただければ、従来とは異なる提案が可能になるでしょう。
実際にインダストリー市場向けの提案に適しているのは「MICROLINE VINCIシリーズ」になります。VINCIシリーズはCMYKの4色に特色ホワイトまたは特色クリアーを加えた5色印刷を可能にしたLEDプリンターです。厚紙や透明フィルム、特殊紙など、多彩な用紙に対応できるのが特長です。商品パッケージなどを企画する企業のデザイン部門や、デザインを教える学校などで需要があります。校内でDMを印刷しているような大学などでも活用されています。
VINCIシリーズが対象とするのは一般オフィスではなくセミプロの現場となります。そのため、販売には業界や印刷についての知識がある程度必要になります。そこで、そうした業界に詳しくない販売パートナーさまにも販売していただけるように、販売マニュアルやセールスキットを用意する予定です。
こうした新たな試みや製品をベースにして、ダイワボウ情報システムさまや販売パートナーさまとともに、新たな市場を開拓していきたいですね。
Toru Hatano
野村総合研究所、アクセンチュアを経て、2012年にOKIに入社。2016年1月にOKIデータ 取締役副社長、4月から代表取締役社長に就任。
「新たな市場を販売パートナーさまとともに開拓できる販売手法や製品を提供していきます」
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