
リセラーがクラウドで儲けるにはPaaSが良いかも
アイデア次第で柔軟な提案が行えるPaaSは 販売店が持つ企業の課題解決能力を活かせる
クラウドサービスは販売店が利益をあげにくいと考えられがちだが、柔軟性の高いクラウドサービス、特に開発系のクラウドサービスを活用すれば、セット提案のみならず自社でアプリケーションを開発して販売するようなビジネスが実現できる。今回は中小企業に役立つクラウドサービスとしてクラウドサービス推進機構に認定されたBlueMemeに取材し、開発系クラウドサービスを取扱うメリットについて伺った。
1.PaaSを利用して自社でSaaS開発を行う
販売店がクラウドビジネスで利益をあげる方法は様々だ。例えばオンプレミス製品とのセット提案や、既存システムとクラウドを連携させるためのシステムインテグレーションなどがある。クラウドサービスはユーザー企業に導入してもらうことで継続的な利益が見込めるため、販売店にとって安定的な収入源となり得るが、さらにクラウドビジネスで大きな利益を獲得する方法がある。それはクラウドの開発基盤(PaaS)を利用して、自社でクラウドアプリケーション(PaaS)を開発し、それを販売するという手法だ。
ソースコードを書かずにソフトウェア開発が行える「OutSystems Platform」は、ポルトガルのOutSystemsが開発したアプリケーションプラットフォームだ。具体的には、人がソースコードを記述していた工程をソフトウェアによって自動化でき、JavaやC#による開発と比較して技術者の能力を約10倍高められるソフトウェア開発基盤だ。日本国内でOutSystems Platformの販売を行うBlueMemeの代表取締役を務める松岡真功氏は、同サービスについて次のように語る。
「OutSystems Platformでは、プロセス、インターフェース、ロジック、データといった四つのモデルを登録することで設計が行えます。これをクラウド上にアップロードすることで内部でプログラミングを行い、自動でWebアプリケーションを開発できます。保守や運用に関する機能も提供している点が、他社製品と比較した際の強みといえます」
2.自社のノウハウをアプリケーション化
従来、企業が業務システムの導入を検討した際の選択肢は二つだった。業者に依頼して自社専用に業務システムを開発してもらうスクラッチ開発と、メーカーの既製品を使用するパッケージ導入だ。スクラッチ開発は自由に好きなシステムが作れる半面、費用が高かったり、保守や運用に手間がかかったりしていた。半面パッケージ導入の場合は、短い時間でシステムが作れる代わりに、細かい変更ができなかったり、システム連携の費用がかかったりするなど一長一短だった。
そうした課題を解決するのがOutSystems Platformのようなクラウドの開発基盤だ。OutSystems Platformは冒頭に述べたようにプログラミングの工程や運用保守を自動化する。そのため人件費を抑えつつ、迅速なスピードでユーザー企業のニーズにあった業務システムの開発が行えるのだ。「アプリケーションを1から作り、販売することも可能です。クラウドは基本的に薄利多売で、なかなかコストがかけられないのが現状ですが、本製品は人件費も時間的コストもかけずにシステム開発やアプリ開発が行えるため利益を生みやすいのです。また、自社のノウハウをアプリケーション化して販売することで、再販やシステム開発以外の新たな収入源を確保することが可能になります」と松岡氏は語る。
3.販売代理からクラウドアプリベンダーへ
実際に、OutSystems Platformを販売する企業は、OutSystems Platform単体で販売するのではなく、OutSystems Platformを活用して開発したアプリケーションを販売したり、OutSystems Platformを活用してアジャイル開発を行うなど、クラウドサービスにプラスアルファの付加価値となるサービスを提供している。
BlueMeme コンサルティングサービス部 建入美乃莉氏は「実際にOutSystems Platformを販売代理店として取り扱っていた企業が、アプリケーション開発を手がけた事例もあります。例えばある人材派遣の企業は、もともとOutSystems Platformを取り扱っていましたが、自社でアプリを開発して月額課金で利用できるサービスを提供している事例があります。事例そのものは少ないですが、最近はOutSystems Platformを取り扱う販売代理店の中から、本製品を活用してアプリを開発して販売したいというような声も徐々にあがってきています。おそらく提案を進めていく中でOutSystems Platformの使いやすさを知り、自社のアイデアを形にしたいと考えたのだと思います。例えば人事システムをクラウドアプリにして、販売しようといったアイデアです。このように、OutSystems Platformは、販売店のクラウドビジネスの可能性を拡大するクラウドサービスなのです」と解説する。
企業への提案が目立つOutSystems Platformだが、今後さらに導入の可能性がある場所がある。それは教育現場だ。
4.プログラミング教材としての活用も
政府は高度IT人材の育成を進めている。社会経済全体におけるIT利用の拡大およびIT産業全体に占めるソフトウェアやサービスによる付加価値が増大するにつれ、単なるITの使い手としてのみならず、価値創造者としての高度IT人材育成の必要性が増大しているためだ。
OutSystems Platformは文部科学省委託の「福井県をモデルにしたクラウド時代のITビジネスクリエータ地域版学び直し教育プログラムの拡充と展開」において教材として活用され、社会人から大学生、専門学校生を対象に、OutSystems Platformを活用してアプリケーション開発を実践してもらうといった活用を行っていた。
現在、学校現場でもプログラミング教育を実施する方向で議論が進められているため、OutSystems Platformは学校現場への教材提案としても活用できる商材となる可能性がある。
松岡氏はOutSystems Platformについて「本製品を使えばコンサルティングもできますし、オフショア開発と組んで柔軟なシステム開発の提案が行えます。アイデア次第で様々なサービス提案が可能なツールと言えるのです」と語る。販売店は企業の課題に対して最適な製品提案を行うための提案力を持っているが、こうしたツールこそ販売店の提案力の見せ所といえるだろう。
本日の講師
(左)
株式会社BlueMeme
代表取締役
松岡真功 氏
(右)
株式会社BlueMeme
コンサルティングサービス部
建入美乃莉 氏
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