オフィスの無駄を省くMPSビジネスに商機あり
デジタルトランスフォーメーション(DX)対応で差別化
国内MSP市場は557億8,000万円に拡大
オフィスの効率化にはいろいろなアプローチがあると思うが、プリンター周りの提案は企業にとって身近で受け入れやすいものだろう。ただしプリンターで印刷する用紙の数量を減らすだけでは大したコスト削減効果は期待できないと、そっぽを向かれる可能性もある。
しかしプリンターの利用を改善することで用紙よりも高価なトナーやインクの使用を適正化したり、電力を節約したり、さらには業務の改善にも役立つ可能性もある。こうしたビジネスがMPS(Managed Print Services)と呼ばれるサービスだ。
MPSは企業のオフィス出力環境の現状を分析して最適な出力環境を構築し、その環境を継続的に維持/運用していくアウトソーシングサービスだ。
MPS導入によって出力環境に関するTCOの把握や削減、出力管理業務プロセスの効率化、環境負荷軽減といった効果が期待できるという。
MPSは欧米を中心に市場が拡大しており、全社レベルで出力環境のコスト削減、業務効率化、環境負荷低減に取り組む企業が増えているという。さらに国内でも導入が進んでおり、IT専門調査会社のIDC Japanが2016年7月12日に発表した「国内マネージドプリントサービス(MPS)市場の2015年ベンダー競合分析結果」によると、2015年の国内MPS市場の売上額は557億8,000万円で、前年比20.6%も成長したという。
国内MPS市場のトップシェアは富士ゼロックス
成長を続ける国内MPS市場を牽引しているのは2015年の売上額シェアで53.4%を占める富士ゼロックスだ。続いて24.7%のリコー、12.5%のキヤノンの順だ。
ただしここ数年、リコーやキヤノンなどのベンダーが、富士ゼロックスから少しずつシェアを奪う傾向が見られたという。しかし2015年は富士ゼロックスのシェアがわずかに上昇した。
これはリコーやキヤノンの新規販売拡大が一段落する中で、富士ゼロックスのMPSへの新たな取り組みがユーザー企業に受け入れられ始めている可能性がるとIDC Japanは分析する。
同社のイメージング・プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーの石田英次氏は「国内市場においてMPSのコモディティ化が進み、各ベンダーは競合差別化に苦慮している」と解説する。
コモディティ化にDX対応で差別化
IDC Japanでは国内市場においてクラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術といった第3のプラットフォームの普及を前提としたビジネスモデルの転換が、あらゆる産業分野で起こると予測している。こうした変革はデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれている。
石田氏は「今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応がMPS差別化要因となり、DXに対応できないベンダーは市場からの退場を余儀なくされる」と指摘する。
今後のMPSビジネスでは、紙を含む多面的なメディアを提供するプラットフォームと連携し、顧客体験と社内ドキュメントを包括的に管理できる、DXを前提としたサービスが成長につながりそうだ。
(レビューマガジン社 下地孝雄)
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