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多言語対応にチャンスが 【特集】

多言語対応にチャンスが 【特集】

2016年06月01日更新

多言語対応

タブレットで多言語“指さし”接客

旅行でコミュニケーションの妨げとなるのが言葉の問題だ。多くの訪日外国人旅行者にとって、言葉が通じないことによるデメリットは大きいはずだ。それは、訪日外国人旅行者にサービスを提供したり商品を販売したりする事業者にとっても同様だ。訪日外国人旅行者との間で円滑なコミュニケーションがとれないために、商機を逃してしまうようなケースも少なくないだろう。こうした課題を解決するために、サービスを多言語化したり、通訳サービスを利用する企業が徐々に増えている。


大日本印刷では多言語に対応した接客支援アプリ「TapStyle Inbound」を提供している。これは、タブレット画面に指さしできる接客コンテンツを表示させて、訪日外国人旅行者とコミュニケーションを図れるようにするサービスだ。該当する項目を訪日外国人旅行者にタップしてもらうことで接客が進められるようになる。

TapStyle Inbound は、接客フレーズをタブレットに表示して、訪日外国人旅行者に該当項目をタップしてもらいながら接客を進める。

TapStyle Inboundで表示されるコンテンツは、訪日外国人旅行者の接客に有効な「指さし会話」シリーズを書籍などで提供している情報センター出版局が持つ外国人支援コンテンツを利用する。基本的なフレーズはあらかじめ用意されていて、それを業種や企業のニーズに合わせてカスタマイズする。対応言語は英語、中国語、韓国語、タイ語が基本だ。大日本印刷 情報イノベーション事業部の中塚一仁氏は、「電子コンテンツにしてタブレットで表示させることで、言語の切り替えがすぐに行えるなど、多言語対応が容易になります。訪日外国人旅行者への積極的な接客を促せるツールです」と話す。



TapStyle Inboundで表示されるコンテンツは、訪日外国人旅行者の接客に有効な「指さし会話」シリーズを書籍などで提供している情報センター出版局が持つ外国人支援コンテンツを利用する。基本的なフレーズはあらかじめ用意されていて、それを業種や企業のニーズに合わせてカスタマイズする。対応言語は英語、中国語、韓国語、タイ語が基本だ。大日本印刷 情報イノベーション事業部の中塚一仁氏は、「電子コンテンツにしてタブレットで表示させることで、言語の切り替えがすぐに行えるなど、多言語対応が容易になります。訪日外国人旅行者への積極的な接客を促せるツールです」と話す。


TapStyle Inboundはログを収集できる点も大きな魅力だ。どの言語を選択されることが多かったか、どの設問が最も利用されたかといった情報を把握でき、接客した訪日外国人旅行者の傾向や行動、要望などの可視化が可能だ。「ログは専用のWeb画面から閲覧できます。ログの分析によって接客の改善などが実現します」(大日本印刷 情報イノベーション事業部 河島 誠氏)

もちろん定型のフレーズを利用した指さしだけですべての接客をカバーすることはできない。その点については、「TapStyle Inboundは訪日外国人旅行者への接客の前さばきのような役割を果たします。TapStyle Inboundで対応できない場合は、通訳ソリューションなどに受け渡して接客を続けるようなイメージです」と中塚氏は説明する。そのため、他社の通訳ソリューションなどとの連携も視野に入れている。


今後は、カスタマイズがいらない汎用的な低額コンテンツを用意して、小規模な事業者でも利用しやすいプランを用意する予定だ。

音声とテキストで流れるように通訳

「RECAIUS 音声トランスレータ/同時通訳サービス」の画面。日本人スタッフ専用モードと訪日外国人旅行者専用モードの二つのモードを使い分けられる。

クラウドサービスの同時通訳ソリューション「RECAIUS 音声トランスレータ/同時通訳サービス」を提供しているのは、東芝 インダストリアルICTソリューション社だ。同ソリューションはタブレットやスマートフォンを利用して音声とテキストによる同時通訳を実現する。基盤として利用されているのは、音声・映像活用クラウドサービス「RECAIUS(リカイアス)」。同時通訳に必要な音声認識・口語翻訳・音声合成の連動システムを実現している。

使い方は簡単だ。アプリケーションを起動させたタブレットやスマートフォンに向かって話すだけでいい。同時に、翻訳された音声が流れ、画面には翻訳テキストが表示される。「特長は長く複雑な文章でもシステムが意味のまとまりを自動的に判断してどんどん翻訳していく点にあります。通常の会話のように流れるようなコミュニケーションが実現するのです」と東芝 インダストリアルICTソリューション社 IoT&メディアインテリジェンス事業開発室 室長附 小野賢司氏は話す。


同時通訳には日本人スタッフ専用モードと訪日外国人旅行者専用モードの二つが用意されている。日本人スタッフ専用モードでは、日本語と英語、日本語と中国語の双方向通訳が行える。近々、日本語と韓国語の双方向通訳も実現する予定だ。訪日外国人旅行者専用モードでは、英語、中国語、韓国語から日本語への通訳が可能だ。利用シーンに応じて、二つのモードを使い分けられる。


ユーザーが利用する専門用語の登録も可能だ。それによって難しい言葉や珍しい言葉を利用した会話も円滑に行えるようになる。また、説明でよく使うフレーズをカテゴリーに分けて登録することもできる。フレーズ集を用いれば、手軽に丁寧な対応が実現する。「訪日外国人旅行者に対する接客の7割はフレーズ集で対応できるでしょう」と、東芝 インダストリアルICTソリューション社 IoT&メディアインテリジェンス事業開発室 佐々木和佳氏は話す。

スマートデバイスで通訳オペレーターにつなぐ

みえる通訳のデモ画面。

映像による通訳サービス「みえる通訳」を提供するのは、アイ・ティー・エックスだ。みえる通訳は、タブレットやスマートフォン上で通訳オペレーターを交えた訪日外国人旅行者への接客を可能にする。顔を合わせた会話が行えるため、微妙なニュアンスや機械では判別が難しい内容も通訳できる点が大きな特長となる。「電話を利用した通訳と異なり、訪日外国人旅行者、店舗スタッフ、通訳者の3者での同時対話が可能になります」(アイ・ティー・エックス ソリューション事業本部 小野宏之氏)

(上)みえる通訳はロシア語にも対応。(下)簡易的な内容はさわって通訳でカバー。

プランは、通訳オペレーターを10時〜21時のあいだで利用できるデイタイムプランと24時間利用できる24時間プランの二つ。月額サービスで月間の利用回数は無制限となる。対応言語は英語、中国語、韓国語、タイ語、ロシア語の5言語。対応OSはiOSとAndroidだが、マイクとスピーカーの性能やチューニングの問題で、ほぼiPadでの利用を提案しているという。性能やチューニングの精度が悪いと、ハウリングやノイズが生じてしまうのだ。


オペレーターが対応する場合は、必要なときに確実につながるかどうかが重要な問題となる。現在、みえる通訳は約600IDの利用があり、50〜60人前後のオペレーターが対応している。「つながるかどうかについて、みえる通訳は高い評価を得ています」と小野氏はアピールする。実際、資生堂が売り場で利用するために50IDを試験導入したが、その効果を高く評価し、導入数を100ID程にまで増やしている。


アイ・ティー・エックスはみえる通訳の無料オプションとして「さわって通訳」も提供している。こちらは大日本印刷のTapStyle Inboundのように、画面に表示された項目をタップしていくことで案内を行えるサービスだ。簡易的な内容はさわって通訳で解決し、複雑な内容はみえる通訳にバトンタッチするような使い分けが可能になる。さわって通訳では、小売り業や宿泊業など、業種ごとに専用のシートが用意されている。

TapStyle InboundやRECAIUS 音声トランスレータ/同時通訳サービス、みえる通訳などは、訪日外国人旅行者へのサービスや商品販売を行っている事業者にとって必須のサービスとなるだろう。小売店舗、飲食店、商業施設、宿泊施設、交通機関、医療機関などその範囲は広大だ。また、それらのサービスを稼働させるタブレットやスマートフォンの提案チャンスも自ずと増加する。合わせてWi-Fi設備やSIMの販売にもつなげられる。サービスの利用をすぐに開始できる利点から、通訳サービスとセルラーモデルタブレットのセット販売も好調だという。

多言語対応地図を利用したガイドアプリで集客

タイ語版のMapFan。

訪日外国人旅行者にとって日本の地図は旅行をする上での基本的なツールとなる。よって、地図の多言語化のニーズも強い。また、地図を利用した集客サービスにおいても、言語対応は必須の要素だ。こうした背景下において、「ここ数年、多言語対応の地図に注目が集まっています」と説明するのは、地図検索サイト「MapFan(マップファン)」や法人向けの地図サービスを提供しているインクリメントP 第二事業本部 ソリューションSE部 部長の亀ヶ谷好彦氏だ。MapFanではタイ語やインドネシア語にも対応しているのだが、特にタイ語版へのアクセスが急増しているという。

インバウンド観光地図アプリのサンプル画面。

インクリメントPは、これまでの地図提供のノウハウを生かした「インバウンド観光地図アプリ」を提供している。これは、同社の地図をベースに観光地などの観光ガイドの情報を組み合わせてガイド機能を提供できるようにするアプリケーションだ。観光業界や自治体などがすでに用意している観光ガイドの内容を多言語対応の地図データに対応させて、訪日外国人旅行者がそのアプリを利用して自ら目的地に到着できるようにする。AR機能によってご当地キャラのナビゲーターを画面に表示させて案内をすることも可能。オフラインにも対応していて、ネットワークが利用できない場合でもガイドが行える。

「ガイドマップの電子化は、紙のガイドマップの制作時に生じていた在庫リスクの問題も解消します。特に複数の言語でガイドマップを印刷する場合は、在庫リスクが高まります。電子ガイドマップならば多言語対応は容易に実現します。これから訪日外国人旅行者の数はさらに増えていくでしょう。その際、人手だけのガイドは難しくなっていきます。ITを活用して環境を整備していくことが不可欠でしょう」(亀ヶ谷氏)

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