テレワークに最適なモバイル&ホームデバイスとは
テレワークは、古くて新しい用語だ。使われ始めたのは、1990年代の中盤あたり。日本でも、米国で流行っていた在宅勤務を浸透させようとして、テレワークという言葉が頻繁に使われていた時期があった。しかし、第一次のブームは去った。現在は、ワーキング革命における働き方の一つのスタイルとして、注目されている。
かつてのテレワークの基本は在宅勤務
過去に日本に紹介されたテレワークは、主に在宅勤務を意味するものだった。会社の仕事を通信回線によって、離れた場所にいても行えるようにするための仕組みの総称となっていた。そのため、テレワークではオフィスにいるかのような働き方を実現するためのデバイスやソリューションが生み出されてきた。
その代表的な存在が、昔のテレビ会議だろう。離れた場所にいても、まるで会議室に一緒にいるかのようにミーティングに参加できるテレビ会議システムは、テレワークを象徴する存在だった。そんなテレビ会議も、最近では使われ方やシステムに新たな変化が生まれて、再注目されている。それに加えて、昔ながらの会議という仕組みにも変革が求められている。
そのため、現在では改めてテレワークのためのモバイルとホームデバイスを再定義する必要がある。例えば、最新のテレワークでは、主に二つの重要なソリューションが求められている。一つは、家にいても会社と同じように業務をこなせる仮想化環境の実現。もう一つは、クラウドを活用したコミュニケーション基盤の活用。このうち、前者の仮想化基盤の構築は、中小企業にはハードルが高いものとなっている。
そこで注目すべき解決策が、各種クラウドサービスの活用になる。そのクラウドサービスの中で、テレビ会議よりも進化したコミュニケーション基盤が、マイクロソフトのSkypeやGoogleのハングアウトだ。これらのコミュニケーション基盤を快適に使うためのモバイル&ホームデバイスの導入が、これからのテレワークには求められる。
理想的な解決策はスマホとウルトラブック
先に答えから書いてしまうと、テレワークに最適なモバイル&ホームデバイスは、ずばりスマートフォンとウルトラブックの組み合だ。この二つのデバイスがあれば、ほぼすべてのテレワークに必要な作業環境をサポートできる。
まず、在宅であれ出張先であれ、テレワークに求められるのはモバイル通信回線だ。スマートフォンを持っていれば、それ自体で通話もできるし、テザリング機能によってWi-Fiルーターとしても使える。気になるのはバッテリーの残量くらいだ。そこで、ウルトラブックの存在が重要になる。バッテリー容量が大きくて、USBケーブルでスマートフォンに電源も供給できるウルトラブックは、テレワーク用のモバイルデバイスとして最適な存在だ。
その他のデバイスについては、あれば理想という位置付けだ。例えば、在宅においてはスマートフォンの他に高速なインターネット回線とWi-Fi接続があれば望ましい。ビデオ会議や音声チャットなどを頻繁に使うのであれば、やはり無線よりも有線によるインターネット接続が快適だ。また、フルHD解像度の大型モニターやマウス、キーボードなどもあるといい。特にモニターは、ExcelやPowerPointでの作業が多いときには、生産性の向上につながる。
さらに欲を言えば、Bluetooth対応のヘッドセットやUSBで接続できるWebカメラなどもあると便利だ。ヘッドセットを使うと両手が自由になるので、キーボードで作業しながらのミーティングが可能になるからだ。同様にケーブル接続のWebカメラがあると、資料などを写したり自宅の見られたくない場所をPCのカメラが不用意に映したりする心配がなくなる。
男性は気にしないかもしれないが、在宅勤務となると女性の場合には、プライバシーへの配慮も大切になる。そうした気配りも考えたデバイスの整備が、働く人たちの意欲や参画意識にも大きく影響してくる。単に「あると便利だから」という説明ではなく、使う人の状況までイメージしたデバイスの提案が、相手に届くのだ。
二極化するタブレットとテレワークの今後
少し前までモバイルデバイスの代表格と思われていたタブレットだが、今回のテレワークというテーマでは、推奨できるシーンがなかった。なぜなら、タブレットの用途はこの1~2年で二極化の傾向にあり、テレワークという柔軟な働き方の実現にとっては、少し物足りない存在となっているからだ。
タブレットの二極化。それは一般的なコンシューマーと専用業務などのバーティカル市場への浸透にある。まず、コンシューマー向けに関しては、改めて解説するほどもないだろう。メールやWebサイト、動画、電子書籍の閲覧、SNSなどでタブレットを活用している個人は多い。もう一方のバーティカル用途においては、かつての専用端末をタブレットに置き換えるビジネスが増えている。
こうしたニーズは広がっているが、テレワークという観点からすると、業務特化型のタブレットは在宅勤務とは相いれない。そのため、タブレットを使うくらいならば、ウルトラブックで十分というわけだ。もちろん、在宅を中心としたテレワークではなく、外出の多い営業活動や工場での勤務、保守点検のようなサービス訪問のように、機動性が求められる働き方に対しては、タブレットを提案するビジネスチャンスは豊富にある。それらについては、別の機会に触れるとして、今回はオフィスの延長で仕事をするテレワークという目的で、ベストなデバイスを紹介してきた。
まずは、スマートフォンとウルトラブックというシンプルな提案から、ワーキング革命を再定義することで、新たなビジネスの商材が生まれてくるはずだ。
これは筆者の作業環境。ウルトラブックなどもモニターやキーボードを接続すれば、デスクトップのように家でも快適に使える。
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