
ワイヤレスディスプレイの真打ち登場 【The Newest Gadget Journal】
米カリフォルニア州に本社のあるActiontec Electronicsは、ブロードバンドネットワーク機器のファブレスメーカーだ。同社は、高性能ワイヤレスディスプレイレシーバーの「ScreenBeam Mini2 Continuum(スクリーンビームミニ2 コンティニュアム)」の発売を日本で開始した。同レシーバーは、MiracastとインテルのWiDiに対応し、話題のWindows10 Mobile Continuumにも対応する。
ScreenBeam Mini2 Continuum
迷ったらすべてに対応したレシーバーがベスト
ワイヤレスディスプレイレシーバーと聞いて、それがどのような機能を提供するものなのか、業界関係者でも即答できる人は少ないのかも知れない。しかし、最近では「Chromecast」や「Fire TV Stick」といった製品名を耳にする人も多いはずだ。これらのワイヤレスディスプレイレシーバーは、どちらかといえば一般消費者向けの製品で、スマホやタブレットの画面をHDMI端子を備えたテレビに表示するWi-Fi受信機になる。
その規格はMiracastと呼ばれていて、1対1の無線通信によるディスプレイ伝送技術になる。スマートフォンやタブレット、PCなどのWi-Fi通信を応用して、レシーバーに画像を転送する。ケーブルが不要なので、大型テレビやモニターのHDMI端子にワイヤレスディスプレイレシーバーを差し込んでおけば、手軽に使える。
コンシューマー向けの製品は、インターネット経由でダウンロードしたりレンタルした動画を楽しむ目的で使われることが多い。一方で、ビジネス市場でもワイヤレスディスプレイレシーバーのニーズは高まっている。この分野では、インテルが数年前からIntel Wireless Display、通称WiDi(ワイダイ)という規格を提唱してきた。WiDiは、1,080pのフルHDビデオと5.1chサラウンドをサポートして、PCなどからワイヤレスで送信する規格。このWiDiも、バージョン 3.5からMiracast規格をサポートし、2015年4月にはビジネス向けに機能を強化したPro WiDiという規格も発表している。
さらに、マイクロソフトもWindows 10 Mobileから、Continuumという機能を追加してきた。Windows 10 MobileのContinuumは、対応しているスマートフォンの画面を外部ディスプレイに投映できるだけではなく、レシーバー経由でマウスやキーボードによる操作も可能にする。Windows Mobile Phoneを持ち運びの楽なデスクトップPCのように使える、と多くのWindowsユーザーが期待している。
ただ、そのためにはContinuum対応のアダプターが必要となっていた。これまでは、マイクロソフトが米国のオンラインストアで販売しているMicrosoft Display Dockのみが、Continuumに対応していた。そのため、日本で入手するのは困難だった。そこに、今回の最新ガジェットであるScreenBeam Mini2 Continuumが登場した。
Miracastはもちろんだが、WiDiとContinuumにも対応しているので、これ一つあればビジネス用途のワイヤレスディスプレイレシーバーとしてフルに活用できる。まさに、ワイヤレスディスプレイの真打ちが登場したといえるのだ。
高性能チップセットを搭載しWi-Fiも5GHz帯に対応
Actiontec Electronicsは、米国で1993年に創業された無線通信機器の大手サプライヤーだ。米国で著名な通信機器メーカーに、ルーターやゲートウェイなどの製品を製造して納品してきた実績がある。また、Wi-Fiダイレクトの主要メンバーの1社として、昔からワイヤレスディスプレイレシーバーの規格制定や製品開発に深く携わってきた。
そうした経緯から、何年か前にインテルがワイヤレスディスプレイレシーバーのリファレンス製品として、同社のデバイスを推奨するようになった。ただ、当時はまだ日本でも対応するPCやスマートフォンが普及していなかったので、国内での展開は積極的には行われていなかった。
ビジネス市場で、Wi-Fiダイレクトが注目されはじめたのは、Windows 8.1がMiracastをサポートした頃からになる。また、Androidもバージョン4.2以降から約9割のデバイスがMiracastをサポートするようになり、ワイヤレスディスプレイレシーバーへの期待が高まってきている。
ところが、いざ注目が集まると、市場には粗悪乱造なレシーバーが低価格で売られて、満足な性能を得られないケースが多発した。その理由の多くは、Wi-Fiが2.4GHz帯しかサポートしていなかったり、レシーバーに搭載されるプロセッサーなどの性能が不十分だったからだ。それに対して、今回のScreenBeam Mini2 Continuumは、高性能なチップセットを搭載しているだけではなく、Wi-Fiも5GHz帯をサポートしているので、電波の衝突がない十分な通信速度を確保できる。ビジネス用途で使うのであれば、十分に信頼できる性能を発揮してくれる。
HOW TO USE
準備ができたら接続はいたって簡単
ScreenBeam Mini2 Continuumの利用は、とても簡単だ。テレビやモニターのHDMI端子に本体を差し込み、USBケーブルで電源を供給すれば準備が完了する。テレビの画面には接続待機のメッセージが表示されるので、後はスマートフォンやPCを接続すればいい。今回は、AndroidとWindows MobileとWindows 10からの接続をテストした。いずれのOSからも、接続はいたって簡単だった。
まずAndroidでは、接続設定の「スクリーンミラーリング」を選択する。すると、送信の開始を確認する画面になるので、ここで「開始」をタップする。Wi-Fiが正しく通信できると、ScreenBeam Mini2 Continuumの機器名が表示されるので、その名前をタップすれば接続は完了する。
Windows Mobileでは、メニューから「接続」を選ぶと、ワイヤレスディスプレイを検索して機器名が表示される。後はその機器名をタップすれば接続される。
Windows 10などでは「プロジェクションモードの変更」によって、ワイレス側のスクリーンをどのように表示するか設定できる。単なるミラーリングのほかに、拡張モニターとして利用できるので、見せたい画像だけを大型モニターに映し出すことが可能になる。
このように、Miracastに対応したスマートフォンやPCであれば、ScreenBeam Mini2 Continuumへの接続はとても簡単だ。もしも、訪問先でスマートフォンやタブレットの画面を大型モニターで映したいと思うならば、ScreenBeam Mini2 ContinuumとUSB電源さえ持っていけば、簡単にワイヤレスディスプレイとして利用できる。
さらに、付属の二分岐USBケーブルを組み合わせると、キーボードなどによる操作も可能になる。個人でもビジネスでも、これ1台あれば多くの用途に活用できるワイヤレスディスプレイレシーバーだろう。
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