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物流を止めない保守サポートをIoT技術で実現

機器のトラブルによって発生するダウンタイムは、少なからず業務をストップさせる。スピードが求められる製造現場や物流の現場では、できる限り避けたいところだ。サトーホールディングスは、そのようなダウンタイムゼロを目指し、IoT技術を活用した保守サービス「サトーオンラインサービス」の提供を開始している。

[2016.03.27]

稼働状況をクラウドで分析し故障前に予防保守を行う


 ラベルプリンターは、製造工程や物流センターなどにおいて不可欠な存在だ。しかし、そのラベルプリンターが突然故障すると、物流センターおける発送作業などに遅れが生じてしまう。従来、このような機器トラブルに対してはユーザー側が製品のサポートセンターに電話をかけ、保守スタッフが派遣されるのを待つ必要があり、復旧までのダウンタイムが大きな課題となっていた。スピードが求められる製造や配送の業務において利用するラベルプリンターだからこそ、このようなダウンタイムをゼロにする仕組み作りが必要とされていたのだ。


 バーコードなどを印刷するハンドラベラーを始めとしたラベルプリンターの開発を行うサトーホールディングスは、前述したユーザー課題を解決するIoTを用いた保守サービス「サトーオンラインサービス」(以下、SOS)を開発した。SOSは、ラベルプリンターの稼働状況を24時間365日遠隔監視することで、機器トラブルを事前に防止してダウンタイムの削減につなげられる。SOSについてサトーのカスタマーサポートユニット長の長尾博史氏は次のように語る。「コンセプトは"バーチャルカスタマーエンジニアを、お客様のそばに"です。SOSに対応したラベルプリンターは、定期的に稼働状況をクラウドにアップロードします。その情報をクラウド側でビッグデータ解析して、故障予測などを実施します。これにより、稼働しているラベルプリンターが故障してしまう前に、カスタマーエンジニアが現地に出向き、予防保守を行うことで、ラベルプリンターの安定稼働を実現できるのです」クラウドにアップロードされた稼働状況からラベルプリンターの状態を監視できるため、カスタマーエンジニアが直接保守点検に出向かなくても、適切なタイミングでサポートが行えるのだ。


本体前面にLCDを実装してメンテナンスが便利に


 万が一ラベルプリンターにエラーが発生した場合でも、カスタマーエンジニアの派遣を待たずにその場で解決できる仕組みも提供している。先ほどの稼働状況のアップロードとは別に、エラーが発生した場合は情報を自動的にクラウドに通知する機能を搭載している。クラウド側はエラー情報に応じた問題解決支援マニュアルを配信するほか、必要に応じて同社のオペレーターが、クラウドに送信されたエラー情報をもとに、リモートでエラー復旧をサポートする。IoTの仕組みによって、スピードが求められる現場のラベルプリンターの稼働を支えているのだ。


 「実は、この予防保守は当社のカスタマーエンジニアの働き方の変革にもつながります。従来であればユーザー側から故障の連絡を受けてから現場に急行していたため、移動効率が非常に悪く、時間の融通が利きませんでした。しかし、SOSを利用した予防保守であれば、カスタマーエンジニアの空いた時間にピンポイントで現場に向かい、故障を防止できます。また、近場に当社のラベルプリンターを使用しているユーザーがいれば、そこにも保守点検で出向くことが可能になります。SOSはユーザー側のダウンタイム削減を実現するIoT技術ですが、サービスを提供する当社にとってもメリットが大きいのです」と長尾氏は思わぬ効果を語る。


 ダウンタイム削減のための工夫は、SOSに対応するラベルプリンター「スキャントロニクスCL4/6NX-Jシリーズ」(以下、CL4/6NX-J)にもなされている。具体的には、ユーザー自身がメンテナンスを行いやすい構造を採用したのだ。サトーのプリンタ推進部 部長の才所真樹氏はCL4/6NX-Jの構造を次のように紹介する。


 「CL4/6NX-Jのコンセプトは、直感的に使えるラベルプリンターです。内部構造を分かりやすくしたほか、本体前面の左上部に3.5インチのカラー大型LCDを実装しました。エラー時にはこのLCDが赤く光るため、すぐにわかります。このLCDには動画などを表示できるため、パーツ交換の動画を見ながらユーザー自身が交換対応できるのです」


 加えて、CL4/6NX-Jで発生したエラー情報は、前述したようにクラウドにアップロードすると同時に内部で情報分析が行われ、本体側でエラーへの対処方法の動画をLCDに表示する。オペレーターが対処を行わなくても、ユーザー自身でトラブルに対処できるのだ。


クラウドを活用しない保守サポートも検討


 現場の業務を効率化させるSOSだが、工場の中にはセキュリティポリシー上、自社のネットワークに穴を開けることになってしまうため、クラウドに接続できないケースもある。しかし同社は、そのような企業に対しても同一に近いサポートを行えるよう、スマートフォンのアプリを利用して、LCDに表示されたQRコードを読み取り、携帯電話回線を介してデータを断続的にクラウドにアップロードすると、通常のSOSと同様の故障予測などが行えるサービスも今後実装していく予定だ。


 すでに海外では試験的に導入した事例もあり、使いやすさに対してはもちろんのこと、クラウドで取得した稼働状況のデータがユーザー側で確認できるダッシュボード機能などにも高い評価を得られたという。現在、SOSは日本市場でのみ展開しているが、グローバルにラベルプリンターを展開している同社は2016年1月から残りのアジア各国や米州、欧州でも順次サービスを展開していく予定だ。

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