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コンシューマー [ Consumer ]

人が操作しやすいIoT機器開発UIを実現

昨今のデバイスやソフトウェアには、直感的に操作ができるグラフィカルなUIが求められる傾向にある。それはIoTデバイスも同様だ。特にモノと人がつながるM2H(Machine-to-Human)では、モノを円滑に操作するためにもUIのわかりやすさは極めて重要となる。しかし組み込み機器のUIを開発する場合、工数が多くなったり変更が行いにくいなどの課題があった。ACCESSは、そのような組み込み機器にグラフィカルなUIを実装できるUIエンジン「paneE」を開発し、機器メーカーへの提供を開始している。

[2016.05.26]

組み込み機器向けUIエンジンを開発


 あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの世界では、モノとモノがつながるM2M(Machine-to-Machine)、人と人がデバイスを介してつながるH2H(Human-to-Human)のほかに、モノと人がつながるM2H(Machine-to-Human)が重要になる。しかし現在のIoTは、モノとモノをつなげることにより作業を効率化するM2Mの領域でしか展開されていないケースが多く、人が不在の状態だ。人とモノが円滑につながるためには、その仲介役としてモノを操作しやすいUIが必要になる。例えば、スマートフォンのように直感的に操作できるUIだ。しかし、組み込み機器にスマートフォンのような操作画面を搭載するには、開発工数がかかってしまったり、製品が変わるたびにUIを再度開発する必要があったりしたため、なかなか実現が難しかった。


 組み込みシステム開発からクラウドまでIoTに必要なレイヤーを幅広くカバーするACCESSは、前述したような組み込み機器のIoT化の課題を解決するUIエンジン「paneE」(パネイー)を開発し機器メーカーに向けて提供を開始している。paneEはメモリーが限られてしまいOSが搭載できない機器にも、優れたネットワーク対応機能とスマートフォンのように直感的な操作が行えるタッチパネル機能を、容易かつ低コストで実装できる組み込み向けのソフトウェアだ。


 paneEはHTML5でUIを作成する。そのため、構築したUIは他の機器への流用が可能になる。また、ネットワークを介した機器の遠隔操作や、組み込み機器の機能やサービス、UIデザインのアップデートも行える。paneEは10億台以上の機器への組み込み実績を誇る同社製ブラウザー「NetFront Browser」をベースに開発されているため、導入して組み込み機器の動作が不安定になる可能性は極めて低く、安心して利用できるのも特長だ。


paneEを組み込んだ機器


 同社の取締役 執行役員 CTO 植松理昌氏はpaneEについて次のように話す。「ECHONET Liteに対応した家電が徐々に普及しつつあり、スマートフォンなどから制御が行えるようになってきています。しかし、常時ユーザーの手元にスマートフォンがある訳ではありません。そのため、例えばエアコンの操作パネルなどの組み込み機器に操作しやすいUIを実装することで、スマートフォンによる操作と同じように、直感的に操作が行えるようになります。従来の操作パネルは、白黒の液晶を確認しながらハードウェアのボタンによる操作を行っていましたが、paneEを活用することでスマートフォンのような視覚的にわかりやすい画面で操作できるようになります。今後、高価な組み込み機器にはこのようなグラフィカルなUIが採用されていくと考えています」


 具体的にはルネサス エレクトロニクス社製のRZ/A1Hを搭載した組み込みプラットフォーム「桐ASURA」と、7インチのLCDタッチパネルを組み合わせたUIインターフェースボードに、IoT化したい機器の配線をアナログ接続し、操作ボタンなどの信号を通知できるようにする。paneEはUIインターフェースボード上に組み込まれているため、桐ASURA上でHTMLファイルを動作させると、タッチパネル上でUIが表示されるようになる。想定される利用シーンとしては、例えば洗濯機の操作をpaneEのUIで行えるようにすることで、直感的に操作ができるだけでなく、インターネットを介して外出先からでも洗濯機の操作が行えるようになるのだ。また、機器側からもメッセージを送ったり、アプリと連携したりできるようになる。paneEを機器に搭載することで、操作を効率的に行うだけでなく、機器と人とがコミュニケーションを取るような活用が可能だ。


 paneEは3月末に発表されたばかりの製品のため、導入事例などはまだないが、導入を検討している企業はいくつかあるという。「工場内のFA機器やPOS端末のコントロールパネルへの組み込み用途として検討している企業が多いです。特に工場はすでにM2Mの技術を導入するなどして工程の自動化が進む中、どうしても人が関与する必要がある作業工程もあります。そのような工程ではミスが発生しやすくなっていますが、paneEによって実装されたUIで操作を行えば、分かりやすい操作画面でミスを低減できます。また、今後は操作ログを簡単にクラウドにアップロードできるような仕組みも実装する予定です。この仕組みが実装されれば、どのような作業工程でミスが発生するのかの集計を行い、対策の判断ができるようになります。ミスの原因がUIのわかりにくさにあるのであれば、修正を加えてミスが発生しないようなUIに変更するなど、柔軟な対応が可能になります。そのため、導入を検討している企業も多いです。また、国内企業だけでなく、中国企業からの問い合わせも増えています」(植松氏)


 paneEを導入するとインターネットに接続できるようになる点も魅力だ。遠隔地からのリモート操作でFA機器の管理を行いたいユーザーに対して訴求できる要素といえるだろう。


人と機器がチャットで交流


 ACCESSは、paneE以外にも人と機器が最適なコミュニケーションを行えるサービスを提供している。例えば、センサー技術とクラウド型ビジネスチャットサービス「Linkit」を組み合わせることで、機器の状態に合わせたメンテナンスサービスを実現できるようになる。「具体的には、監視対象の機器の内部温度が向上するなど異変があったら、メンテナンスを行う関係者へLinkitが一斉にプッシュ通知を行い、メンテナンスに対応する職員のチャットルームをアプリケーション上に自動的に生成するようなサービスです。チャットルームでは機械が『温度が高くなっています』などのコメントを話して、それに対して人が対応していくようなコミュニケーションを行います。また、HEMSやECHONET Lite対応のSDKとチャット技術を用いて、家電がチャットで稼働状況を語りかけてくれるような双方向コミュニケーションも可能になります」と植松氏は語る。機器がチャット上で人のように会話することで、人とモノのコミュニケーションを円滑に行えるM2Hが実現できるようになる。これらのIoTサービスは、同社のクラウド統合ソリューション「ACCESS Connect」を利用することで、サービスの開発コストを大幅に低減して実現できる。


 人不在であった従来のIoT環境に、直感的なUIやチャットによるコミュニケーションを展開していくことで、人とモノ、すべてがインターネットにつながる環境が実現していくことだろう。

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