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ネタと話題 [ Story and Topics ]

ビジネス課題解決の手段として 仮想デスクトップは一つの選択肢 「日本たばこ産業」

「ビジネス戦略とIT戦略は同期しなければならない」――。こう考える日本たばこ産業は、2013年中頃から仮想デスクトップ環境の構築を進め、検証を行ってきた。さまざまなビジネス課題を解決する選択肢の一つとして、仮想デスクトップをいつでも使えるようにするのが狙いだ。

[2016.04.26]

さまざまな課題に対して
複数の解決手段を用意する


  たばこ事業、医薬事業、飲料事業、加工食品事業を中心としたさまざまな事業活動のほか、社会への取り組みや企業イベント・企業スポーツを展開している日本たばこ産業(以下、JT)。同社のITの取り組みについて、IT部長の引地久之氏は次のように話す。


 「グローバル規模で今まで以上に経営にスピードが求められる中、グローバル標準の武器(IT)で戦っていかないと競合他社に負けてしまいます。最新のITを使えないと戦えない状況になっているのですね。それができない場合、事業の足をITが引っ張ってしまうことになります。そのため、さまざまな最新ツールや最新ソリューションをいつでも活用できる体制を整えておかなければなりません。ビジネス戦略とIT戦略が同期していなければならないのです」


  競合との競争に加えて、現在は、人材の観点から、多様な働き方を実現させるテレワークの仕組みを導入したりすることが、企業に求められるようになった。労働人口の減少に加えて、高齢化の進展によって親の介護の必要性が出てくる従業員も多くなる。その際に、そうした状況に合わせて働ける環境を提供できる企業であれば、貴重な人材を失わずにすみ、逆に、有能な人材を迎え入れることも可能になるからだ。


  また、リスク対策などにおいても、対応力が企業には問われる。例えば、災害などが発生した場合でも平常時と同じように業務を継続できる仕組みや、情報漏洩などを起こさない体制を構築することは、顧客やビジネスパートナーからの信頼に大きく関わってくるからだ。「テレワークなどにおいても、データ自体を自宅のPCに残さないようなセキュアな環境作りが必要ですね」(引地氏)


  これらの課題に対してJTは、仮想デスクトップ環境の構築を一つの解とした。引地氏は「仮想デスクトップは、さまざまな課題の解決手法の一つです。解決手法は、働き方の変化や業務スタイルに合わせて複数のバリエーションを用意しておくべきです。IT部門の役割は、いつでもそれらの選択肢を利用できるようにしておくことなのです」と考えを話す。


  そしてJTでは、実際に2013年の半ばから仮想デスクトップ環境の構築を始めた。


システム構築で重視したのは
サポートや管理の統一性


  仮想デクストップ環境の構築において重視したのは、サポートや管理面の統一性だ。JTはグローバルでマイクロソフトのサービスを利用していることもあり、既存資産やライセンス費用なども勘案して、マイクロソフトが提供しているWindows Server 2012 R2のVDIで仮想デスクトップ環境を構築することに決めた。「グローバルでワンストップのサポートを受けられる体制にするため、マイクロソフトのサービスを導入しました」(引地氏)


  実際には、物理サーバーを3台用意し、Hyper-Vの役割をクラスター構成にしている。Windows 7(32ビット)の仮想デスクトップを40台、Windows 8(32ビット)の仮想デスクトップを10台、Windows 8.1(64ビット)の仮想デスクトップを20台展開。10台分のリソースも予備として確保した。また、System Center 2012 R2の管理サーバーも仮想マシン上に構築。ストレージにはファイバーチャネル接続の外部ストレージ装置を利用している。


  仮想デクストップはノートPCからの接続がメインだ。「従来からノートPCのモバイル活用は進めていました。その際はVPNを利用して社内サーバーにアクセスしていました。仮想デスクトップ環境との違いは、仮想デスクトップを用いないVPN接続時は、ポータルのメニューから特定の機能にアクセスするようになっていますが、仮想デスクトップではデスクトップ環境そのものに接続できるようになる点ですね」と引地氏と話す。
すでにJTの海外の事業所では、仮想デスクトップをタブレットなどで活用している例もあるという。「顧客先で手軽に資料などを提示できるタブレットは、営業活動において非常に有益です。ただし、入力が必要な作業ではやはりノートPCが欠かせません」(引地氏)


  仮想デスクトップ導入の主目的は、営業活動における生産性の向上だが、当初は危機管理の面も強かったという。「IT-BCPの位置づけですね」と引地氏は振り返る。


大規模展開の際には
クラウドサービス上での稼働も


  現在は、仮想デスクトップ環境の検証を継続的に行っている。利用者は限定しており、申請に応じて仮想デスクトップを利用できるようにし、その効果を把握しているところだ。一部のユーザーにおいては、在宅勤務での活用も実施されている。


 「仮想デスクトップ環境自体はすでにできあがっており、サポートの仕組みも整えています。利用者も仮想デスクトップと強く意識することなく、通常の業務が行えています。今後は、事業の取り組みの中で仮想デスクトップの利用がベストとなれば増強するだけ、という状況です。また、現在は自社データセンターで仮想デスクトップ環境を運用していますが、大規模展開する際には、クラウドサービス上で運用した方が、コストやキャパシティなどの面でもメリットが得られると考えています」(引地氏)


  JTでは、これからも攻めの姿勢でIT活用を推進していく予定だが、引地氏はITを提案するサプライヤーに対して、エンドユーザーが利用シーンを想像できる分かりやすい提案をして欲しいと要望する。そして、使いやすさやSLAが向上されれば、エンドユーザー側でのIT導入、活用がさらに進むのではないかと見解を示す。

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