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教員のオリジナル教材をデジタル化

デジタルテストシステム『AnswerBoxCreator』大日本印刷 教育現場がタブレットを導入する上で重視するのは、導入したことによる学習効果だ。タブレットを利用したことで授業への興味や関心が向上することはよく知られているが、その興味関心が学力に直結するとは言い切れない。客観的に学力の向上が判断できる教材が求められている。大日本印刷は、学力の向上に寄与できるデジタルテストシステムを開発し、今年の4月末から提供を開始している。

[2016.04.17]

教員が解法を確認してテスト結果を授業に展開


 学校現場へのタブレットの導入は進みつつあるが、その利用用途は協働学習や調べ学習などに限定されているケースが多い。これらの学習にタブレットを活用することで、子供の学習意欲が向上するなどメリットも大きいが、それが学力の向上に直結するかどうかは判断が分かれるところだ。自治体の教育委員会は、タブレットを導入することで子供の学力が向上することが明確であれば予算を確保しやすい。

 

 例えば、タブレットで行った日々の小テストの結果を蓄積して分析できるシステムがあれば、学力の変動を数値化して確認できるため、学力の向上につながっていることが判断しやすく、導入も進めやすい。

 

 大日本印刷 ABセンター 教育ICTソリューション推進室 第1グループの入川深雪氏は「現在もタブレット上でドリルを解くような反復学習を目的とした教材は提供されています。しかし、ドリル教材は最終的な解答内容しか取得できないケースが多く、教員は子供の解法を確認できない場合がありました。また、教材に選択問題しか収録されていないため、記述問題は実施できないなど、紙のプリントで行っていた小テストと比較すると削られてしまう要素が多かったのです。また、ドリル教材はあらかじめ決まった教材が収録されており、教員が作成したオリジナルの問題をタブレット上で解くことが難しい状態にありました」と話す。


 そのような教育現場の課題を解決するため大日本印刷が開発した製品が、デジタルテストシステム「AnswerBoxCreator」だ。本製品は、教員がWordで作成したテスト問題をタブレットに取り込んで、タブレットで小テスト問題を解けるシステムだ。入川氏は「例えば算数の小テストを作成する場合、Wordで数式を記載し、解答欄を配置するだけでデジタルテストが作れます。ちょうどプリントの小テストを作成するのと同じ手順で作成できるため、教員への負担はあまりかかりません。子供が解答欄に記述した答えは、Excelで自動集計されて正答率や理解度などを分析できるようになります。

 

 例えば授業の始まりや終わりの10分に、復習用の小テストをAnswerBoxCreatorで実施することで、教員は子供の日々の学習理解度を手間なく測れるようになります」と、活用のメリットを語る。また、本製品は解答欄に記述した答えのほかに、余白に書き込んだ途中式なども教員が確認できる。

 

 大日本印刷 ABセンター 教育ICTソリューション推進室 第1グループリーダーの坂本早苗氏は「途中式を確認できることで、子供がどのような思考プロセスで解答にたどり着いたのかがわかります。また、紙に記述した途中式は、最終的な解答を導いた解法しか残りませんが、AnswerBoxCreatorは子供が試行錯誤して問題を解いている過程を動画に変換するエンジンも搭載しています。そのため、ユニークな解き方をした子供の途中式の動画を授業で確認して議論を深めるなど、小テストにとどまらない活用ができるのです」と話した。


紙の小テストを流用でき校務負担を低減


 AnswerBoxCreatorは今年の4月末から販売がスタートした製品だが、すでに福岡県立輝翔館中等教育学校で導入されている。同校ではタブレットの導入に伴い、タブレットで活用できるプリントなどの学習教材を探していたという。AnswerBoxCreatorが校内フリーライセンスで提供されているためランニングコストを抑えられる点や、教員が作成した既存のプリント教材を流用してテストを行える点などを知り、導入を決めたという。輝翔館中等教育学校以外にも、導入を前提に実証実験を進めている学校が複数校ある。また、教材会社と連携した実証実験も行っており、成功すれば、教材会社が提供する教材コンテンツをAnswerBoxCreatorで利用できるようになる可能性もある。


 AnswerBoxCreatorはタブレット画面にタッチペンなどで手書きすることで、解答を行う。それに加え、大日本印刷が提供しているデジタルペン「ADP601」と組み合わせると、紙に書いた解答をそのままデジタル化して解答データとしてAnswerBoxCreatorで集計できる。坂本氏は「例えば証明問題を解く場合、タブレットの画面では細かい文字が記述しにくいため解答することが困難です。しかし従来のプリント教材にデジタルペンで手書きしていく形で問題を解いていけば、文字数の多くなりがちな証明問題もスムーズに解けます」とデジタルペンとAnswerBoxCreatorを組み合わせた活用を話した。


 「タブレットを導入したことで学習意欲が向上するなど、メリットは多く語られますが、それだけでは子供の学力が確実に向上するかどうかの判断ができないため、教育委員会などは導入に踏み切れません。AnswerBoxCreatorのようにタブレットで学習した結果が学力の向上に直結することが客観的なデータをして確認できれば、導入を進めやすいと思います。最近では学力の向上を図る手段としてタブレットの導入を考え始めている教育現場が増えてきています。その手段の一つとしてタブレット上で行うデジタルテストシステムを活用した授業を提案したいですね」と坂本氏は語る。従来から行われてきた紙の小テストをそのままタブレットでのデジタルテストに置き換えられるため、教員の負担が少ない点も導入しやすさの要因として挙げられるだろう。


 今後のAnswerBoxCreatorは、OCRに対応することでより採点負担を低減するなど、より教員に負担のかからないデジタルテストシステムへ改善を行っていくという。本年度で合計500校に導入することを目標に展開を進めて行く予定だ。

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