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STEM(科学・技術・工学・数学)人材育成に向けた教育カリキュラム

タブレットなどデバイスを活用するICT教育は、学校現場で段階的に進められている。しかし最近、一部の学校現場では、さらに踏み込んだプログラミング教育が実施されている。本稿では、プログラミング教育の必要性に迫った。

[2016.04.15]

プログラミング教育が急務


 タブレットなどを活用したICT教育は、段階的にではあるが教育現場に普及しつつある。そんな中で昨今注目を集めているのが、プログラミング教育だ。プログラミング教育は様々な国でその必要性が指摘されており、Hour of Code(アワーオブコード)と呼ばれる「すべての児童・生徒がコンピューターサイエンスを学ぶ機会を得る」ことをミッションに掲げている運動が世界的に推進されている。マイクロソフトもこの運動に強くコミットしており、社員が自分の母校などに訪問して児童・生徒にプログラミングを教える活動を全社的に推進している。

 

 日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 オーディエンステクニカルエバンジェリズム部 テクニカルエバンジェリストの渡辺弘之氏は、プログラミング教育の必要性を次のように語る。

「インターネット普及以降の技術革新により、STEM分野と呼ばれる理数系の高度人材に対する需要が急増しています。また、文系理系問わず幅広い職種で科学・数学的な知識が要求されるようになっており、STEM人材が不足している状況です。このSTEM人材を育成していくことが世界的に重要になっており、その育成の一環としてプログラミング教育が求められているのです」


 しかし、国内ではプログラミング教育はあまり進んでいない。その理由は二つある。一つ目に、日本の学校現場のICT教育が二周遅れになっている点だ。海外ではすでに1人1台のタブレット端末が普及している段階にあり、ExcelやWordなどのソフトウェアも日常的に扱っているケースが多く、その基盤の上でプログラミング教育を実施している。しかし日本では、普及が進みつつあるものの、全国の学校現場で導入されているかというと、一部の学校現場に限られているのが現状だ。その上プログラミング教育を実施しようとすると、二つの新しい教育を同時期に導入することになってしまい負担が大きい。


 二つ目に、学校現場に務める教員は、大半が文系出身である点だ。そのためプログラミングを教えようにもその知識がなく、プログラミング教育を進めにくいという現状がある。


ロボットのプログラミングからIoTも学べる


 日本マイクロソフトでは、この二つ目の問題にフォーカスをあて、プログラミング教育カリキュラム「ロボット×クラウドではじめての本格プログラミング~レゴ マインドストームで地球を探査」の提供をスタートさせた。本教育カリキュラムは、日本でも6,000校以上の教育現場で採用されているレゴ エデュケーションのプログラミングロボット「レゴ マインドストーム EV3」を用いて、クラウドやIoT、データ分析の初歩を学べるプログラミング入門教材だ。
 「レゴ マインドストーム EV3はもともとタブレットでプログラミングを行うことで動作する知育玩具でしたが、今回のプログラミング教育カリキュラムではMicrosoft Visual Studioでキーボードを使用して本格的なプログラミングを行い、ロボットの操作やセンサーによる外部データの収集を行えるようにしています」と渡辺氏。


 本カリキュラムでは"探査ロボットで地球の海底鉱脈を探査する"という設定のもとプログラミング教育を進める。具体的なカリキュラムの流れは以下の通り。まず、レゴ マインドストーム EV3を組み立てる。組み立てが完了したらMicrosoft Visual Studio上で国際標準プログラミング言語C#のプログラムを打ち込み、ロボットの制御を行う。プログラミング通りにロボットが動作したら、ロボットに搭載されているカラーセンサーを活用して、海底鉱脈と設定した場所でロボットを動かしてデータを収集する。その複数のロボットのセンサーデータをMicrosoft Azureにアップロードし、Excelで抽出してデータ分析を行うという流れだ。本格的なプログラミング体験だけでなく、センサーデータの収集からクラウドへのアップロード、データの分析といったIoTの仕組みについても学べる。


アクティブ・ラーニングにも有効な教材


 本プログラミング教育カリキュラムを活用して、すでに複数の学校現場で実証実験が行われている。実際に本カリキュラムを活用して授業を行った教員からは、多様な効果が得られたとの評価の声があったという。


 渡辺氏は「まずプログラミング教育といっても、個人でPCに向かい行うのではなく、グループワークで実施します。そうすることで、生徒が自分のポジションを自覚するようになったそうです。例えばコードを書くことが好きな生徒がいれば、ロボットの組み立てに熱心になる生徒もいる。それらの内容をまとめて発表することを好む生徒もいる、といったように、各生徒の役割分担が自然になされていったようです」と語る。日本の教育現場では、主体的に学ぶアクティブ・ラーニングに注目が集まっており、そうした教育方法としても有効な教材といえるだろう。


 「学校現場では、プログラミング知識はIT業界に就職する一部の生徒が学んでいればいいという認識であるケースが多いですが、現代においてそれは誤りです。ITに囲まれて生きている現代の子供達は、開発に携わる人だけではなく、すべての人に対して必須のスキルとなります。特にK12と呼ばれる幼稚園から高等学校までの児童生徒を対象に、広まってほしいですね」(渡辺氏)


 本プログラミング教育カリキュラムは、日本マイクロソフトから無償で提供されている。レゴマインドストームの購入費はかかるが、販売店が教育現場に提案する際に本カリキュラムと一緒に提案すれば、教員が自身でカリキュラムを作らずともプログラミング教育を実践できるため、導入負担が少なくて住むだろう。今後の児童生徒に必須とされているプログラミングスキルが身につく本カリキュラムを提案して、ワンランク上のICT教育を実現したい。

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