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いよいよロボットが本気で働く 【その2】 ~社会やビジネス、日常生活に役立つロボットの最新動向~

福祉施設や教育現場で活躍 ロボットの進化が新たな段階を迎えている。その背景にあるのはITとの融合だ。 さまざまなビジネスシーンや日常生活での活躍が期待されるロボットたちの、これからのビジネスチャンスを追った。

[2016.04.12]

ロボットと歌って踊る


 クラウドや人工知能を活用した新たなロボット市場を開拓してきたのは、コミュニケーション型のロボットだ。各ベンダーが人の形をした小型のロボットを提供して、市場の可能性を探ってきた。


 富士ソフトもいち早く市場にコミュニケーション型のロボットを投入したベンダーだ。すでに2010年3月にコミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」のアカデミックモデルを発売している。その後、研究目的ではなく社会用途として活用するための市場を模索し、たどり着いたのが福祉用途だった。


 富士ソフト プロダクト・サービス事業本部 ロボット事業部 事業部長の武居伸一氏は「高齢者の介護用途、健康支援でのニーズが多くありました」と振り返る。そこで2012年6月にPALROの高齢者福祉施設向けモデルを発表した。


 PALROができるのは、「会話」「歩く」「覚える」「つながる」など。搭載したカメラによる顔認識や動体検知、肌色の認識、音源の感知、言語モデルの照合、音声の合成といった機能によって、100人以上の人の顔を覚え、会話を行える。レクリエーション機能も搭載していて、歌ったり体操したりすることも可能。高齢者はPALROの歌や踊りに合わせて一緒に楽しめるのだ。


店舗接客やビジネスのプレゼンも

 

 PALROはすでに全国300カ所の高齢者福祉施設で導入されている。これからさらなる高齢化社会を迎える国内では、PALROのようなコミュニケーション型ロボットの需要がますます高まっていくだろう。福祉施設以外での市場としては、「商業施設などでのお出迎えや接客でも活用できます。また、ビジネスシーンでのプレゼンをPALROにさせることも可能です」と武居氏は説明する。


 さらなる市場拡大のためには「キラーアプリが必要」と同氏は指摘する。PALROはクラウド経由でさまざまなアプリケーションをインストールすることで、機能を追加していける。そうした能力を生かすためには、各市場に応じた効果的なアプリケーションの登場が欠かせない。そのため、富士ソフトではPALROの開発環境を公開しており、誰でもアプリを開発できるようにしている。さらに富士ソフトは今年から、PALROのコンシューマー向けモデル「Palmi(パルミー)」の他社ブランド向けの供給を始めた。こちらは家庭がターゲットだ。


 PALROやPalmiはシステム開発会社の富士ソフトにとってどのような存在なのか。武居氏は、「受託開発が多かった当社にとって新しい試みであり、新市場開拓の象徴となっています」ととらえてる。


IoTの世界でロボットはハブになる

 

 コミュニケーション型ロボットなどを使ってどうビジネスを広げるか。そうしたコンサルティングをはじめとして、ロボットの普及拡大に尽力しているのが、ロボットスタートだ。ロボット市場に新たな可能性を見出して昨年の12月に会社をスタートさせた。同社はロボット用のアプリケーション開発なども行えるが、現在はコンサルティングが多いというロボットスタート 営業部リーダーの旭 利明氏は、「ロボットで何ができるのか。その説明から始めることがほとんどですね」と現状を語る。


 旭氏は人型のロボットを「手足のついた入出力デバイス」と表現する。例えば、家庭やオフィスなどにおいて人の要求を聞いて、他のロボットや機器を制御するようなイメージだ。現在は家庭内のさまざまな機器がスマートフォンのアプリなどでコントロールできるようになってきたが、個々の機器を別々に操作するのは手間がかかる。そうした作業をコミュニケーション型のロボットで補完できる。「IoTの世界の中で、ロボットはハブになり得ます」と旭氏は指摘する。


 現在は、ロボットがクラウドと連携できるようになり、ロボット単体で完結しないサービスが実現可能になった。さらに人工知能の進化によって、サービスの可能性は大きく広がっている。このような中でロボットの普及に欠かせないのはやはり「スマートフォンの『LINE』のようなキラーアプリ」だと旭氏も話す。


 そこで同社ではアプリケーション開発者向けの情報に加えて、ロボットアプリケーションストアサービスを提供している。これは家庭用、店舗用、オフィス用ロボット向けのアプリケーションとそのライブラリ・ボックスなどのパーツを公開、共有、販売できるプラットフォームだ。利用すれば、開発者は効率的なアプリケーション開発が可能になる。ロボットユーザーは欲しいアプリケーションを見つけられる。ロボットスタートは、こうした場を提供することで、アプリケーション開発を促し、ロボットの普及拡大を目指している。

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