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ネタと話題 [ Story and Topics ]

先進的なテレワーク企業では仮想デスクトップがベストプラクティス

日本テレワーク協会という一般社団法人がある。この協会では、日本のテレワークを推進するために、以前から「テレワーク推進賞」を実施してきた。過去には、日本マイクロソフトやシスコシステムズなどが、会長賞を受賞している。また、優秀賞にも国内の著名なITベンダーが名を連ねている。その評価の内容は、経営効率の向上や改善をはじめとして、雇用継続ならびに創出や、ワークライフバランスの向上、地域活性化など多岐にわたる。こうした受賞企業の中に、先進的なテレワークのベストプラクティスがある。

[2016.04.01]

テレワーカーには
ITソリューションが不可欠


  日本テレワーク協会では、テレワークのためのモデルケースとして、会員企業のソリューションも紹介している。例えば、2013年に会長賞を受賞したシスコシステムズは、テレワーク支援ソリューションに関する情報を掲示している。また、仮想デスクトップなどで有名なシトリックス・システムズ・ジャパンでも、モバイルワークスタイル ソリューションを紹介している。この他にも、富士通グループ各社が仮想デスクトップや統合コミュニケーションサービスなどを提案している。


  こうしたベストプラクティスとして紹介されているITソリューションの数々は、基本的には、「オフィスの机に置かれたPCのみに制限されていた業務」を開放するものとなる。同協会では、具体的なITソリューションの製品名にまで踏み込んだベストプラクティスは紹介していないが、掲載されているITベンダーの提供する内容を見ると、その多くが仮想デスクトップなどの技術をベースにしている。


仮想デスクトップが
ベストプラクティスになる理由


  日本テレワーク協会のベストプラクティスとは別に、以前にシスコシステムズとシトリックス・システムズ・ジャパンが合同で、ワークスタイル変革に関するセミナーを開催したこともある。シスコシステムズでは、全社的にシトリックス・システムズ・ジャパンのXenAppやXenDesktopなどを導入して、積極的にテレワークを推進している。そのおかげで、社員は個人で所有しているPCでも、モバイル端末でも、出張先のPCからでも、一元的に管理されている仮想デスクトップにログインして、同一の業務を遂行できる。


  この仮想デスクトップというITソリューションは、実際に体験したことがないと、なかなか具体的な効果をイメージするのは難しいかもしれない。技術的な仕組みとしては、高性能なサーバーに仮想化OSを導入し、それぞれに仮想化されたバーチャルPCごとに、Windowsがインストールされ、そのデスクトップを別の端末からリモートで操作する構造になっている。


  サーバー側にWindowsのデスクトップ環境を集中させることで、運用管理の効率を高めるだけではなく、外部からのアクセスをコントロールすることで、セキュリティも強化できる。また、PCには仮想デスクトップで作業したデータが残らないので、会社から持ち出すノートPCでも、個人で利用するPCであっても、情報漏洩の予防につながる。


  さらに、仮想デスクトップで行っていた作業は、どこで中断しても、再び接続すれば、途中から継続できる。例えば、会社のPCでPowerPointを開いてスライドを作っている途中で外出したら、その出先からタブレット端末などで仮想デスクトップを開くと、作りかけのスライドがそのまま表示される。


  つまり、職場でも自宅でも出先でも、まったく同一のWindows環境を、いつでもどこからでも使えるのだ。その利便性が、テレワークにとっては理想的なワークスタイルとなる。だから、日本テレワーク協会のベストプラクティスでも、仮想デスクトップを活用したワークスタイルが、紹介されているのだ。


越えるべきハードルは
「コスト」と「企業風土」


  ワークスタイルの変革にとって有用なITソリューションの仮想デスクトップだが、その導入と活用には、越えなければならないハードルが二つある。それは、「コスト」と「企業風土」だ。


  まずコストの面だが、先の仕組みからも推測できるように、通常のクライアント・サーバーによるシステム構築と比べて、何割かのコスト増になる。具体的には、仮想化OSの導入と、その仮想環境にインストールするWindowsなどのライセンス料が上乗せされる。単純に考えると、仮想デスクトップのためのWindowsライセンスと、各自が利用するPCのOSのライセンスを二重で負担することになる。この各自のクライアントに関しては、タブレットやWindows以外のOSも利用できるので、単純に2倍になるわけではないが、それでも負担は増える。


  もっとも、最近では仮想デスクトップのクラウドサービスも登場しているので、そうしたサービスを活用すれば、初期投資を抑えて保守運用のコストも削減できる例もある。そのため、コストに関しては、負担ではなく投資だと納得してもらう提案が求められている。


  次の課題の企業風土だが、こちらの方がコストよりも解決が難しい。特に、在宅勤務を推奨するためには、トップダウンによる社内の意識改革が重要になる。とかく「家で仕事する」というと、どことなく楽をしているように思われがちだ。ところが、実際には家で働き過ぎてしまう問題も起きるほどで、社外の労務管理を見直す必要も出てくる。日本の企業では、古くから「在籍」していることが、労働の重要なポイントとなっていたため、「成果主義」といえる自由な働き方には、まだまだ理解が少ない。そういう企業風土を革新していかなければ、先のテレワーク協会が推奨するベストプラクティスの実現は難しい。


成功の秘訣は
小さな成功体験の積み重ね


  いくつかの課題がある仮想デスクトップの構築によるワークスタイル変革だが、その成功のためには、いきなり大規模な導入に取り掛かるのではなく、部門や部署を単位として、小さな成功体験を積み重ねていく取り組みが効果的だ。仮想デスクトップを構成するサーバーの仕組みは、言うなればプライベートクラウドのような構造なので、小さくスタートしても拡張できる柔軟性がある。その利点を生かして、外で仕事をすることが多い営業部門や、育児や介護で在宅勤務を希望する社員の多い部署などで、試験的に導入していくと効果的だ。


  また、そうした用途を客先からヒアリングして、顧客の解決したいワークスタイルに合わせて、仮想デスクトップを提案してもいいだろう。PCだけではなく、スマートフォンやタブレットからも、Windowsデスクトップが使えるようになると、働き方の多様性も増す。その利便性や効率性を伝えることができれば、ワーキング革命のための仮想デスクトップは、優れた商材になるはずだ。

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