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ネタと話題 [ Story and Topics ]

モバイルワークを支えるメッセージング製品

モバイルワークが成功するかどうかは、ひとえにコミュニケーション環境の優劣にかかっている。外出先にいても、社内と変わらない情報の交換や意思の疎通ができるようになれば、モバイルワークは飛躍的に広がる。鍵は、活用するメッセージング製品にある。

[2016.03.29]

手軽に情報をやり取りできる
LINEやMessengerが普及


  ワーキング革命に影響を与えるメッセージング製品について考えていく前に、すでに一般ユーザーに広く普及しているLineやMessengerについて、その成功の理由を整理してみよう。


  Lineは日本の若者を中心に爆発的に普及し、MessengerはFacebookを利用している成人から熟年手前くらいの層に使われている。特にMessengerの方は、Lineよりもオフィシャルに使われる機会も多い。筆者自身もそうだが、知人なども仕事のコミュニケーションに活用する機会が増えているようだ。


  時には、相手のメールアドレスや携帯電話の番号を知らないのに、LineやMessengerでメッセージを交換して、飲み会の企画だけではなく、仕事の打ち合わせなどを行うこともある。こうした現象は、ほんの5~6年前までは考えられなかった。昔は、コミュニケーションといえばメールが中心で、そのためにノートPCを持ち歩いたり、仕事のメールを携帯電話のメールに転送していたりした。


  ところが、スマートフォンが爆発的に普及すると、プライベートを中心にコミュニケーションの方法が変わってきた。その代表的な存在が、チャットのような気軽さで使えるメッセージングになる。このコミュニケーションは、メールに比べると手軽で手早いだけではなく、文面にもカジュアルさがあって、使い慣れると「楽」だと感じるようになる。


  例えば、標準的なメールでは、文面に相手の名前からはじまって、定型的な挨拶文や儀礼的な文章を並べ、それから本題を書く。これはこれで、取引先や目上の人間に文章を送るためには、必要な形式ではある。しかし、それを毎回、身近な人たちと行っていては、手間もかかるし面倒になる。


  それに、関係者にccメールが大量にばらまかれて、本題のメールが紛れてしまって分からなくなってしまうケースも少なくない。その結果、大切なことはメールではなく、電話や直接会って話をしなければならなくなる。そうした現象が、あちこちのビジネスシーンで起きている。


  それに対して、メッセージングは手軽に相手と情報をやり取りできる。また、必要があればグループを組むことで、関係者がメッセージをログとして共有できるので、オンラインでのミニ会議も可能になる。実際に筆者も、複数のスタッフとMessengerを使って企画会議を行うこともある。その手軽さと迅速さは、メールの比ではない。そしてこの便利さと手早さこそが、モバイルワークに最適なのだ。


Skype for Businessや
ハングアウトに注目


  いくら手軽だからといって、LineやMessengerをビジネスで使うのは、さすがに推奨できない。これらのコンシューマー向けサービスは、セキュリティ面でもコンプライアンスの観点からも、ビジネス水準にはほど遠い。また、ワーキング革命の商材としても、扱えるものではない。そこで注目するべきは、オフィシャルなメッセージング製品の数々になる。


  具体的には、Office 365の「Skype for Business」(旧Lync Online)や、Google Apps for Workの「ハングアウト」などになる。これらのメッセージング製品は、インターネットを経由したチャットや音声の交換に加えて、ビデオによる会議などもサポートする。もちろん、利用するためには会社で正式に契約しているアカウントが必要になるので、IDやパスワードの運用さえしっかりしておけば、セキュリティ面での不安も払拭できる。


  また、LineやMessengerのように、個人のプライベートに紐付けられているアカウントではないので、社員も安心してメッセージを交換できる。かつて、Facebookが流行したときに、友達申請してくる上司に辟易する若手社員が増えている、という記事を読んだ記憶がある。LineやFacebookを使いこなせるのは、ITに柔軟な若手社員が多いが、そういう人材の多くは、仕事とプライベートをしっかりと分けようとする。それだけに、公私混同になるようなコンシューマー向けのサービスに便乗するのではなく、しっかりとビジネスを志向したメッセージング製品を使うべきなのだ。それこそが、Skype for Businessやハングアウトを商材として提案するための重要な理由でもある。


全社員が使うためには
教育と啓蒙活動が不可欠


  メッセージング製品を導入して、モバイルワークによるワーキング革命を達成するためには、何よりも全社員が使えるようになることが大切だ。それは、外回りの多い営業担当だけではなく、その営業活動を支えるバックオフィスの事務員や製造部門、管理職など、あらゆる部門が「全員参加」の意識で取り組まなければならない。


  なぜなら、外に出ている人たちが、社内にいるかのようにモバイルワークをするためには、その社内にいる人たちの手厚いサポートが不可欠だからだ。不在連絡や顧客からの問い合わせ、在庫確認、相談、報告など、これまでface to faceで行っていた仕事が、出先からメッセージングできるようになることで、働き方が変わる。だから、社内のスタッフも積極的にメッセージングを活用する体制や社風が求められるのだ。


  そのためには、何よりも教育と啓蒙活動が重要になる。教育の基本は、使い方の講習や社内ルールに沿った利用マニュアルの作成などになるが、それよりも大切なのは啓蒙活動だ。ちょっとした連絡や相談などに、気軽にメッセージを使う習慣や雰囲気を育てていかなければ、利用は促進されない。


  また、一方的に質問や依頼をメッセージで投げかけるだけではなく、答えてくれた人への謝意や賞賛を送る、という人的な温かさも醸しだされるといい。メールのような形式張ったやり取りではない分だけ、ヘタをすると失礼な会話のようになりかねない。


「ねえ、あの○○の在庫って、あったっけ?」
「ついでに、○○への請求書、出しといてくれる」


  なんて、会話のような気軽さでメッセージを発信してしまうと、頼まれた人が気分を害する心配もある。そのため、メッセージングという道具の使い方を教えていくと同時に、そのコミュニケーションが円滑かつ効果的になる極意も伝えていく努力が求められる。


  このときに、単に絵に書いた餅のような講釈を説明するだけでは、たぶん顧客は納得しないだろう。メッセージング製品は、全社員が使いこなせるようになれば、かなり強力なコミュニケーションのツールとなり、ワーキング革命を推進できるだけではなく、業務の変革にもつながるポテンシャルを秘めている。


製品の価値を自ら実感して
経営層や意思決定者に伝えるべし


  日本では、Lineが登場する以前から、使おうと思えばハングアウトや旧Lync Onlineをビジネスシーンに導入できた。しかし、それが今まで広がってこなかった理由は、大きく三つある。


  一つは、構築や導入が困難だった点。Office 365が登場する以前は、旧Lync Onlineを導入できる企業は、一部の大手に限られていた。そのため、本当に必要とされるべき中小企業は取り残されていた。二つ目は、モバイル環境の不備。スマートフォンが登場する以前は、いかに優れたメッセージング製品でも、手軽に手早く外から使えなかったので、大手企業でも利用は促進されていなかった。そして、三つ目にして最大の理由は、メッセージング製品の可能性が理解されなかったことにある。


  しかし、これら三つのハードルは、クラウドサービスとスマートフォンの登場、そしてLineなどの普及によって、かなり低くなってきた。あとは、その真価を経営者や意思決定層が理解するだけになっている。


  顧客企業の経営層や意思決定者にその価値を示せるかどうかは、セールスの腕の見せ所であると同時に、話す人がその価値を実感しているかが問われる。自らが実感し納得し便利だと感じていなければ、いくら機能や仕様を紹介しても、相手の気持ちを揺さぶることはできないだろう。


  電話やメールを超えたコミュニケーションツールとしての可能性を秘めたメッセージング製品の価値を、ワーキング革命という目的で伝えることは、とても有効なアプローチとなるはずだ。

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