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サーバー、ネットワーク、デスクトップの三位一体仮想化情報システム基盤を構築「東京都港区教育委員会」

「ICTを活用した理解を深める授業の実現」や「学校間ネットワークの確立と校務情報化の推進」を目標とする「港区学校情報化アクションプラン」を2014年に策定した港区が、学校間・教職員間の円滑な情報共有や校務の効率化を実現させるために、新たな情報システム基盤を構築した。サーバー仮想化、ネットワーク仮想化、デスクトップ仮想化という仮想化技術を集結させることで、セキュリティ性と柔軟性を併せ持ったシステム基盤に仕上がっている。

[2016.03.28]

学校間での有効な情報共有手段がなく
PCは用途に応じて2台を使い分けていた


  港区教育委員会では、学校教育の質を向上させるため、「ICTを活用した分かりやすく深まる授業の実現」「子どもたちの情報活用能力の育成」「校務の効率化による教職員の子どもたちに向き合う時間の確保」を目的とする「学校情報化アクションプラン」を進めている。学校の情報化を図る上で課題として認識されていたのは、最新のソフトに対応した機器の整備や、学校間ネットワークと校務の統一的処理システムの構築、そして情報共有体制の強化など。


  特に、校務を行う教職員側の視点では、「校務の情報化を通じて教員間・教育関係者間で共有する情報の充実と校務の処理の効率化を図り、教員が児童生徒に向き合う時間を増加させる。それによって学校教育の質を向上させ、児童生徒はもとより、保護者・地域からも信頼される学校作りを実現する」としており、現状のシステム基盤の刷新が急がれた。


  港区教育委員会 統括指導主事の小林 傑氏は、港区の学校における情報システム基盤の状況を次のように説明する。「これまでは、学校内外の情報共有のための適切な手段がなく、学校間や教職員間での情報のやり取りが円滑に行えないといった課題がありました。また、各教職員はセキュリティを保つために、研究用と教務用の2台のPCを使い分けるという手間も発生していました。校務での利用や個人情報などを扱う場合は安全面を考慮してインターネットに接続できないPC(教務用)で作業し、それ以外はインターネットに接続可能な研究用のPCで行っていたのです。ただし、研究用のPCは各校に2~3台しか設置されておらず、教材の作成などのために利用待ちが発生してしまい、業務が滞ることもありました」(小林氏)


  インターネットには研究用のPCでしか接続できなかったため、自ずとメールなどを利用した情報共有にも制限が生じていた。「学校共有のメールアドレスはあったのですが、教職員一人ひとりに対するメールアドレスがありませんでした。そのため、他校の教職員との連絡が電話とファクスになり、円滑な情報共有ができない状況になっていたのです。学校間の横のつながりが希薄になってしまっていました」(小林氏)


  こうした状況では、校務や教材の準備などのために余分な時間を費やさなければならず、児童生徒と向き合う時間を圧迫するだけでなく、教職員自身にも大きな負担がかかる結果となる。そこで港区教育委員会では、これらの課題を解決するために、情報システム基盤の刷新を行った。


仮想化技術とOffice 365の採用で
セキュアな情報共有基盤を構築


  システムの刷新において港区教育委員会が出した答えは、“集約”だった。各学校に設置されていたサーバーの集約、各教職員が利用していたPC環境の集約、そして、円滑な情報共有を実現するためのシステム集約だ。それによって、学校間や教職員間の円滑な情報共有の実現や、利便性の高いPC環境の整備といった従来の課題の解決に加えて、サーバーの保守運用の効率化やメンテナンス費用の削減なども可能になる。システムの導入においては、教育分野での実績と仮想化技術やクラウド活用の豊富なノウハウ、そしてコスト面までを含めて評価した結果、NECの提案を採用した。


  実際には、サーバー、ネットワーク、デスクトップそれぞれで仮想化技術を活用して、セキュアで統一された情報システム基盤を構築している。まず、各学校のファイアウォール、キャッシュサーバー、校務システムを除くWebフィルタリングサーバー、ファイルサーバー、認証サーバーなどをデータセンターの仮想化環境に移行し、サーバーの集約を実現。各学校においては、インターネットの接続環境として、キャッシュサーバーやファイアウォールを仮想サーバー上で提供する。


  データセンター上ではネットワークを仮想化して、Webフィルタリングサーバーや認証サーバーなどの通常システムと、個人情報などを扱う可能性のある校務用のファイルサーバーや仮想デスクトップを分離し、セキュリティ性を確保した通信環境を構築した。


  情報共有環境にはマイクロソフトのOffice 365を新たに採用し、メールや情報のやり取りを手軽に行えるようにした。「前述したように、これまでは教職員用の個人メールアドレスがなく、共通のメールアドレスを利用していたため、情報のやり取りに柔軟性が欠けていました。今回、Office 365の導入のタイミングで、教職員ひとり一人にメールアドレスを作成することができ、Office 365のグループウェア機能の活用なども合わせて、他校の教職員との効率的な情報共有が可能になりました。学校の横のつながりを強化できるようになったのです」(小林氏)


ローカル環境と仮想環境の使い分けで
研究用・校務用の作業を1台のPCで実現


  仮想デスクトップの活用によって、これまで2台のPCで分けて行っていた作業を1台のPCでできるようにした。PCのローカル環境では、研究用・メール・情報共有用途としてインターネット接続とOffice 365が利用可能だ。そして、仮想化環境で校務と個人情報を扱う作業を行えるようにしている。


  仮想デスクトップ環境はネットワーク仮想化によってセキュアな環境に設定されている。さらに実際のPC作業は画面転送による操作となるため、端末にデータを一切残さないシンクライアント環境となり、安全な活用を実現している。


  サーバー、ネットワーク、デスクトップの三位一体の仮想化情報基盤は、今年の4月1日に開校した「白金の丘学園」をはじめ、9月までに港区立幼稚園や小中学校で利用が開始される予定だ。港区教育委員会では、同基盤上に新たな校務支援システムを導入して、学校間のさらなる連携強化や教職員の校務の効率化を図っていくという。

 

 


ユーザー概要
東京都港区教育委員会


所在地
港区芝公園1-5-25


仮想化導入目的
サーバー・PC集約、セキュリティ強化、効率的な情報共有


導入した製品
Windows Server 2012 R2 Hyper-V、Express5800/ECO CENTER、UNIVERGE PFシリーズなど

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