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ネタと話題 [ Story and Topics ]

ワーキング革命の勘所 総合認証とワークフロー構築

ITを活用したワーキング革命を実現できる企業とできない企業には、大きな違いがある。その違いを決定づける要素が、統合認証とワークフローシステムとなる。これらは、ある意味で大企業のITと中小企業のITにおけるインテグレーションの違いの象徴ともいえるテクノロジーだ。もちろん、企業規模の大小に関わらず、総合認証とワークフローを構築することはできる。

[2016.03.27]

統合認証環境の構築で
常に安全なシステム活用を実現


  統合認証の基本は、一つのIDですべての社内システムを利用できるシングルサイオン(SSO)の実現にある。例えば、社内のネットワークで利用しているサーバーがWindows Serverのみで、すべてをActive Directoryで一元的に管理していれば、単一IDによるSSOを容易に実現できる。


  もちろん、この状態で完全な統合認証を可能にするためには、サーバーで利用する業務アプリケーションも、すべてActive Directoryに対応したものを導入している必要がある。それは、10年以上前であれば、至極当たり前の選択だったのだが、クラウド時代になって状況が変わってきた。


  加えて、Active DirectoryによるSSOと統合認証の実現は、Webアプリケーションの台頭と普及によっても、困難になってきた。それでも、あえてActive Directoryをベースとして統合認証を確立しようとすれば、それなりのシステム投資が必要になり、その面で取り残されてきた中小企業も多い。


  もしかすると、今年の7月でサポート期限が終了するWindows Server 2003を未だに利用していて、10年以上も塩漬けになったActive Directoryが、あちこちにあるのかもしれない。そのため現実的な利用では、複数のシステムやクラウドサービスに、それぞれ個別のログインIDでアクセスしているケースが多い。
こうした場当たり的な対応では、業務で利用している各種システムへの社外からの安全なアクセスは難しくなる。社外から社内システムへのリモートアクセスは、できる限り最小限にした上で、接続しているIDを厳密に管理しなければならないからだ。


  ところが、統合認証が確立されていなければ、肝心の社内と社外を見極める出入口で、利用者を特定できなくなる。そして、リモートアクセスの統合認証が確立できなければ、ワーキング革命のための業務フロー作りも実現できない。
ワーキング革命の基本は、社内でも社外でもPCやタブレットを使って、「オフィスのデスクに居るかのように」業務システムを使えるIT環境の実現にある。単に、モバイルでOfficeアプリを使えればいい、というものではない。業務に連携した作業をリモートで行えなければ、働く人のためのIT環境は提供できない。そのために、統合認証は重要なシステム基盤となっているのだ。


100%のクラウド活用で
ワーキング革命を目指す


  統合認証基盤の構築を経営者が理解して、従来のシステムに必要なIT投資が行われるのならば、それはワーキング革命を実現する最善の解決策となる。しかし、現実には予算などの面で、なかなか提案を受け入れてもらえないケースが多い。そこで考えられる代替案が、100%のクラウド活用になる。それは、社内のサーバーやシステムを外部とつなごうとするのではなく、最初からクラウドを前提として業務を処理してしまう取り組みだ。


  最も簡単な入り口は、営業支援のクラウド化が考えられる。社内のグループウェアやCRMシステムを使っている営業支援の仕組みをクラウドサービスに移行してしまうのだ。そうすることで、社内外を意識しないで営業担当者は顧客データや行動予定、報告書などにアクセスできるようになる。その結果、営業日報を帰社してから入力するという業務が不要になり、営業活動にあてる時間を増やせるようになる。


  このような柔軟な対応は、営業部門だけに限った話ではない。例えば、ERPのクラウドサービスを採用すれば、業務部門も会社のデスクから開放される。日本では、パッケージ型の業務システムを長く使っている例も多いが、クラウドへ移行することにより、時間や場所に縛られない会計作業や業務処理が可能になる。
何よりも大きなメリットは、経営者がいつでもどこからでも会社の業務情報を手に入れられるようになることだ。特に、出張が多い経営者の場合には、出先から財務諸表をリアルタイムで確認できるようになることで、意思決定の迅速化や業務の効率化を促進できるようになる。


  ワーキング革命は、働く人たちだけのものではなく、最終的には経営者やマネジメント層にとっても、得られる成果の大きい取り組みなのだ。実際に中小企業ほど、ワーキング革命の推進によって経営層が得られる業務革新のメリットは大きい。


  もちろん、100%のクラウド化には障壁もある。基幹系システムのデータを完全にクラウドサービスに移せるのかどうか。どこからでもログインできる環境で、どのようにセキュリテイ面での対策を強化していくのか。そもそも、社員が社屋に来なくなってしまって、仕事のコミュニケーションが図れるのか。


  こうした問題を克服してワーキング革命を実践している企業もあるが、すべての企業が今日明日で成し遂げられる変革ではない。そこで、もう一つ現実的な解決策としてワークフローシステムの導入が有効な提案になるのだ。


“オフィス”の縛りをなくす
ワークフローシステムの導入


  統合認証や業務システムのクラウド化が求められる背景には、ある一つの大きなテーマがある。それは、業務のペーパーレス化だ。そもそも、ITを使って時間や場所に縛られない業務処理を実現するためには、申請や承認、伝達のための“紙”をなくさなければならない。逆に考えるならば、会社の机の上で捺印しなければならない“書類”があるからこそ、社員はオフィスに縛られるのだ。


  その書類を電子化し、電子フォームとして申請から承認や決裁までをシステム化できれば、ワーキング革命の第一歩を踏み出せる。そしてその最短距離が、ワークフローシステムの導入にある。


  ワークフローシステムは、申請と承認に特化したシステムなので、冒頭で紹介したような大規模な統合認証基盤を構築する必要がない。もちろん、既存のシSSOと連携させることもできるが、ワークフローシステム内で管理するIDで、申請から承認までを処理できる。そのため、高度なシステムインテグレーションの知識がなくても、現場での導入や運用も可能になる。


  そして、改めて企業の業務を分析してみると、ワークフローシステムによって解決できる問題が多いことにも気がつくはずだ。例えば、営業担当がメールや携帯電話で客先から注文を受けたとしよう。その場合、多くの業務フローでは受注した商品を社内で処理するための伝票を作成する。この時点で、すでに承認や決裁が必要になるワークフローが発生するのだ。


  仮に、社内の発注伝票を出先からPCで作成したとしても、外部からオンラインで使えるワークフローシステムが導入されていなければ、社内に戻ってプリントアウトしてから上長の承認トレイに入れるか、社内のみで利用できる承認システムに登録しなければならない。


  それに対して、出先から利用できるワークフローシステムがあれば、その場で申請書類を入力し送信するだけで、承認までの流れが自動的に行われる。このような仕事の流れは、営業部門だけではなく、会社の多くの部門に共通するものだろう。仕事の多くが申請と承認によって構成されているので、ワークフローシステムの導入によるワーキング革命の効果は、かなり期待できるのだ。

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