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ネタと話題 [ Story and Topics ]

テレワークを実現するためのITソリューション

テレワークという言葉がある。その意味は「情報通信機器などを活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働くことができる形態」だ。日本テレワーク協会の資料によれば、1970年代の米国西海岸が発祥の地だという。米国では、「Telecommute」と呼ばれていた時期もある。日本では、1991年に日本サテライトオフィス協会が設立され、2000年に日本テレワーク協会へと名称を変更し、その頃から業界でテレワークという言葉が注目されるようになってきた。

[2016.03.20]

日本でも増えているテレワーカー

オフィス系のソリューションは必須


  国土交通省の「テレワーク人口実態調査」によれば、日本のテレワーカーは2002年の6.1%から、2013年には17.3%へと増えている。この調査におけるテレワーカーの定義は、自分の所属する部署のある場所以外で、ITを使える環境において、1週間の中で8時間以上は仕事をしている人となる。こうした数字を見るまでもなく、首都圏のカフェやラウンジに行くと、ノートPCを開いて仕事をしている人を多く目にするようになった。


  テレワーカーは、ノートPCからWi-Fiルーター経由でインターネットにアクセスするか、無線LANのアクセスポイントを使っている人が多い。あるいは、スマートフォンのテザリング機能を使うケースも増えている。いずれにしても、多くのテレワーカーはモバイル環境からインターネットにアクセスして、仕事に必要なITソリューションを利用する。


  その代表的なものは、メールやWeb、SNSだろう。特に最近では、仕事でもSNSやメッセージ系のアプリを使う例が増えている。その背景には、スマートフォンの手軽さがある。出先でノートPCを開いて使おうとすれば、それなりの場所がいる。対してスマートフォンならば、ちょっと立ち止まって片手で操作できるので、手早くメッセージを交換できる。そのため、コミュニケーションの主流はスマートフォンに移りつつある。


  しかし、スマートフォンでは仕事の資料を編集したり、複雑なメールを入力したりするのは難しい。中でも、オフィス系のアプリを出先で使うとなれば、やはりノートPCが欲しくなる。テレワークのワークは、まさに仕事を意味しているだけに、オフィス系のソリューションは必須となる。


Office 365とGoogle Appsが
オフィス系ソリューションの代表


  オフィス系ソリューションの代表といえば、やはりマイクロソフトのOffice 365とGoogle Appsになる。この二つのサービスは、どちらもクラウドサービスなので、会社の机に置かれたPCからだけではなく、インターネットに接続できる環境さえあれば、世界中のどこからでも利用できる。


  筆者のように文章を書く仕事が中心ならば、Google ドキュメントやWord Onlineがあれば場所にもデバイスにも囚われないテレワークが可能になる。事実、今回の原稿も複数のPCからGoogle ドライブに保存されている下書きにアクセスして仕上げている。Google ドライブは、WindowsやMac OSはもちろんのこと、Android系のタブレットやiPad、Chromebookなど、あらゆるスマートデバイスから利用できる。その利便性を生かして、基本となる文章はPCのキーボードで入力するが、その後の推敲などは出先からスマートデバイスで行うことも多い。


  同じような使い方は、Office 365でも可能になってきているが、まだ一部のOSやスマートデバイス用のアプリがベータ版なので、今は様子を見ている段階だ。ただ、仕事のメインがワープロによる文章ではなく、Excelを中心にした数字の集計や表作成だとすれば、Google AppsよりもOffice 365を推奨する。なぜなら、Excelで作成したワークシートの親和性を考えると、やはり同じマイクロソフトのOffice 365の方に一日の長があるからだ。


  Excelだけではなく、PowerPointのスライドなどもOffice 365ならばフォーマットが崩れない。さらにOffice 365では、Webメールやメッセージ、ファイル共有などの機能も提供されるので、テレワークには最適だ。以前、Office 365の連載で紹介していたときにも、社内だけではなく社外で使うことの利便性を伝えていたが、テレワークという視点で改めて捉えると、その有用さを再認識する。


  ただし、Office 365やGoogle Appsがあれば、すべて解決するのかといえば、そうではない。実際に社内の仕事を社外でこなすためには、さらにいくつかの重要なソリューションが必要になる。それが仮想デスクトップとワークフローだ。


書類の申請から承認までの電子化と
万全なセキュリティ対策は必須


  テレワークを成功させられるかどうかの境目はどこにあるかといえば、社内のPCで行っている業務をどこまで完璧かつ安全に外部から行えるようにできるかどうかになる。これは、簡単なようで難しい。


  例えば稟議書。購買の申請や旅費の精算、見積もりの承認、請求書の発行など、日々の業務で発生するさまざまな書類が、どれだけ電子化されているのか。そしてその書類の申請から承認までの流れが、オンラインのワークフローとして構築されているかどうかが、テレワークの成否を左右する。


  もしも、紙の書類に印鑑を押す企業風土が残っていると、理想的なテレワークは実現できない。先ずはワークフローのためのソリューションを提案していかなければならない。


  このワークフローの構築とあわせて重要になるのが、仮想プライベートネットワークによるセキュアなアクセスの確立や、仮想デスクトップによるセキュアなクライアント環境の導入だ。仮想デスクトップとシンクライアントに関しては、次回の連載で丁寧に解説する予定だが、すでに国内でテレワークを成功させている企業の多くが、仮想デスクトップの導入を推進している。


  例えば、Office 365を全社的な規模で採用した大手商社でも、そのクラウドサービスを社員が社外から直接利用するのではなく、社内に構築されている仮想デスクトップにログインしてからアクセスする構成になっている。


  クラウドのようであってクラウドではない不思議な使い方の理由は、セキュリティ対策にある。端末の盗難や紛失などの被害を想定して、社外に持ち出すPCには一切のデータを残さないようにすること、そのためのソリューションとして仮想デスクトップの利用価値は高い。ちなみに、小規模な事業所ならばオフィスにあるPCを外部から遠隔操作するリモートデスクトップという方法もあるので、こちらも機会があれば連載で紹介していきたい。


  いずれにしても、テレワークのためのITソリューションの数々は、単に仕事が外でできるようになる、というわけではなく、ワークフローの構築やセキュアな仮想デスクトップのリモート利用など、これまでにない安全と利便性を業務にもたらす優れた提案でもあるのだ。

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