menu
マガジン [ Magazine ]

販売店に求められるのはクラウド活用に基づいた提案

[2016.11.17]

販売店自身がクラウドを利用することで
ユーザー視点の高付加価値提案を実現できる

 


クラウドサービスを販売店が提案する場合、自社で取り扱っているオンプレミス製品とのセット提案やカスタマイズ提案など、付加価値をつけた提案が重要になる。キヤノンマーケティングジャパンは“体験に即した提案”を行うことで、ユーザー視点に立った、高付加価値の提案を実現している。

 


Lesson 1
フロント業務の効率化を実現するためSalesforceを導入


キヤノン製品の卸売や直販を初めとして、IT機器の販売やSI、サポートを行うキヤノンマーケティングジャパンは、クラウドサービス「Salesforce」のアプリケーション基盤「Force.comプラットホーム」を活用した社内システムを2008年から構築し、運用を行ってきた。導入の背景について、キヤノンマーケティングジャパン IT本部 ITシステム企画第一部 ITシステム企画第一課 課長 富永準成氏は次のように語る。


 「Salesforce導入以前は、他社のERPを利用しており、在庫の発注や受注といったバックオフィスの業務は、既存のERPシステムで業務プロセスの統一や情報統合を実現できていました。しかしCRMやSFAなどを活用するフロントオフィス、つまり営業の業務は事業横断でのプロセス統一が難しかったり、変化が激しかったりする点から既存のシステムの利用頻度が低くなっていました。そこで、より柔軟かつ迅速な対応が行えるSalesforceを採用し、企業内の情報共有や、より効率的な営業活動の実施を目指しました」


実際にSalesforceの導入によって、まずリリースにかかる時間が大幅に短縮されたという。また、システムの改修などが非常に簡単に迅速に行える点や、安定稼働が実現できる点など、Salesforceに移行したことで得られるメリットが大きかったという。当初は約1,700ユーザーがSalesforceのシステムを利用していたが、現在ではビジネス系の領域を中心にイメージングシステム分野のポータルサイト基盤にもSalesforceを採用しており、キヤノンマーケティングジャパングループ内では約6,000ユーザー、キヤノングローバルでは1万を超えるユーザーがSalesforceを利用して業務を行っている。

 


Lesson 2
クラウド活用の経験を活かしたカスタマイズ提案


Salesforceを導入したことで、得られた効果について伺うと「実際にSalesforceを活用しているグループ会社のキヤノンシステムアンドサポートでは、行動量が1.5倍、顧客が6割増加するなど、大きな利益を得ています」と富永氏。加えて、同社では2012年から“ITによる営業の武装化”を進めており、SNSやExchangeなどのコミュニケーションツールに加えて、iPhoneやUltrabookとSalesforceを組み合わせて活用することで、より効率的な営業活動を実現すべく変革を進めている。


このようなクラウドの活用の経験を活かし、同社ではSalesforceのライセンス販売+カスタマイズ提案をメニュー化した「Salesforce構築支援サービス」の提供を行っている。Salesforceを自社で導入した2008年からライセンスの取り扱いをスタートし、顧客の要望に応えてカスタマイズしながら、同社が得意とする基幹システムとの連携や帳票印刷サービス、ドキュメント連携、スマートデバイス連携、法人営業支援システムなどの構築支援をメニュー化したものがSalesforce構築支援サービスになる。


 「当社では自社でSalesforceを運用しているIT本部と、Salesforceのライセンス販売を行うBSマーケティング統括本部が、ともに連携して販売提案を行っています」と富永氏。具体的には、自社でSalesforceを運用して得た経験をもとに、ユーザー企業に対して構築支援や導入提案をしているのだ。そうした提案手法により、得られるメリットとは何だろうか。

 


Lesson 3
活用に基づいた失敗例を伝えて比較検討を行う


Salesforce構築支援サービスの販売提案を行うキヤノンマーケティングジャパン BSマーケティング統括本部 BSソリューション企画本部 ドキュメントソリューション企画部 部長 平井政行氏は、IT本部と連携して提案を行うメリットを次のように語る。「自社でSalesforceを営業ツールとして利用しているため、実際に活用したことで得られたメリットやデメリット、従来までの業務をどのようにSalesforce上に落とし込めばいいのかなど、経験をもとにユーザー企業に対して販売提案できるのが強みです。活用シーンに応じた関係性が見えるシステム構築に力を入れています」


自社での活用をもとに提案を行った企業は約200社にのぼり、主に営業系、サポート系、カスタム系の構築支援をしている。「ここまでSalesforceを業務で多種多様に活用して提案をしているのは当社くらいだと自負しています。自社内で運用を行っているので、ベンダー側がユーザーに対して伝えることがない失敗例などについても、ユーザー企業に伝えて、代替案を提案することが可能です」と平井氏。


このようにユーザー視点に立った提案を行うため、同社ではユーザー企業に対して業務改善のためのツールを提案する際、Salesforceだけの提案はしないのだという。ユーザー企業が抱える課題をもとに、多様な製品を比較検討して最適なサービスを販売している。

 


Lesson 4
クラウド提案で重要なのは導入後のサポート


富永氏は、実際にITシステムを購入・運用する視点から、販売店に求められている提案について次のように語る。


 「実際に販売店がクラウドを活用した経験に基づいた活用例の紹介や、よりクラウドを利用しやすい仕組み作りの提案などが必要です。また、クラウドは売り切りではなく導入した後のサポートも重要で、エンドユーザーが実際に業務できちんと運用できているか、運用できていない場合、それを解決するサポートを行うなど、継続的な付き合いを続けていくことが求められています」


クラウドサービスは従来のオンプレミス製品と比べて、販売店の意思や経営的な判断が重要になると語ったのは平井氏。「クラウドサービスは仕入れで何割引といった形で利益を得ることが難しいビジネスです。ネットでも買えるため、提案側は具体的な製品と組み合わせたりカスタマイズしたりと付加価値をつけた提案が必要になります。当社のように実際にクラウドを自社で利用することで、実体験に即したアドバイスやサポートが行えることも一つの付加価値です。成功や失敗の情報を提供しながら、ユーザー企業をサポートしていくのも販売店に求められている提案の形の一つでしょう」(平井氏)


実際に自社で運用しているクラウドサービスを提案することで、高付加価値の提案につなげているキヤノンマーケティングジャパン。販売店がクラウドビジネスを進める上では、こうした「体験に即した提案」も重要になるだろう。

本日の講師

 

(左)
キヤノンマーケティングジャパン
BSマーケティング統括本部
BSソリューション企画本部
ドキュメントソリューション企画部
部長
平井政行 氏

 

(右)
キヤノンマーケティングジャパン
IT本部
ITシステム企画第一部
ITシステム企画第一課
課長
富永準成 氏

キーワードから記事を探す