menu
マガジン [ Magazine ]

ハイエンドA4モノクロレーザーでSMB市場に勝負を仕掛ける

[2016.11.01]

医療や店舗を中心にSMBに適した新製品を発売
ハイエンドA4モノクロレーザーで勝負を仕掛ける

 

 

IT専門調査会社のIDC Japanが2016年9月26日に発表した国内レーザーMFP(複合機)およびレーザープリンター市場の2016年第2四半期(4月〜6月)の実績によると、レーザープリンター市場は全体で前年同期比10.0%減の14万7,000台で、そのうちカラーレーザープリンターが前年同期比11.5%減の4万3,000台、モノクロレーザープリンターが9.3%減の10万4,000台だった。市場が減速する中、ブラザー販売はパーソナルとSOHO、さらにSMBの中でも小規模事業所にターゲットを拡大し、市場での存在感を高めて成長を維持するという。その具体的な戦略についてブラザー販売株式会社 代表取締役社長 三島 勉氏に話を伺った。

 


家庭市場ではヘビーユーザーを狙う


―先日発表されたIDC Japanの調査結果によると、国内のプリンター市場は減速傾向にあります。市場をどのように捉えていますか。


三島氏(以下、敬称略)■確かに国内外ともにプリンターの販売台数は減少しています。しかしビジネス市場にはプリンターの需要が確実にあります。いろいろな場面で簡単に印刷できるようになったので、紙の出力はむしろ増えているでしょう。


ただし家庭市場については変調を来しています。当社のプリンタービジネスでは家庭向けインクジェットプリンターが大きなシェアを占めています。数年前に消費税増税やWindows XPのサポート終了などに伴う特需があり、その反動があると覚悟していましたが2年連続二桁減と予想以上の落ち込みでした。

 


家庭ではPCやプリンターの利用頻度が低下


三島■家庭市場でのプリンター需要は写真印刷と年賀状印刷の二つです。しかしデジタルデバイスの普及によってライフスタイルが変化し、印刷をする機会が減っています。


まずスマートフォンが普及して写真をたくさん撮るようになりましたが、画面で楽しむことが主流になりました。また年賀状を出す人が減り、毎年億単位で枚数が減少しています。


さらに家庭内でPCを起動する機会が減っています。例えばどこかに出かけるとき、以前なら電車の経路や時刻を印刷したり、地図を印刷したり、店の案内やクーポンを印刷したりしたものですが、今はスマートフォンの画面で完結しています。


ただしプリンターは家庭でも必需品で、多くの家庭で1台はあるものです。そして写真を印刷しないわけではないですし、書類を印刷しないわけでもありません。使う機会が減ったのです。

 


ヘビーユーザーのニーズに応える


三島■こうした状況下でも例えばテレワークをはじめピアノや英語の教室など自宅での仕事で、またPTAや町内会などで配布する文書など、家庭で大量に印刷するヘビーユーザーはたくさんいます。今後の家庭向けインクジェットプリンタービジネスは、ヘビーユーザーに向けてより使いやすく、よりメリットのある製品やサービスを提供していきます。


例えばカートリッジを大容量化したり、カートリッジがなくなる前にユーザーに知らせたり、自動的に発注したりするサービスなどを考えています。


家庭で印刷する機会が多いユーザーは何を求めているのかを把握して、それに応える製品とサービスを提供することが大切です。

 


法人市場ではSMB市場を狙う


―法人市場ではどのような戦略で成長を目指すのでしょうか。


三島■法人市場ではSMB、特に小規模事業所への販売に注力していきます。また業種別では医療や店舗への販売を強化していきます。今までA3対応の大型コピー機や複合機をリースしていた小規模事業所では、A3のインクジェットやA4レーザーでもビジネスユースで十分使えます。


今後は法人市場のセグメントが規模やプリント枚数などの要件でより細分化されるでしょう。細分化されたセグメントのそれぞれのニーズに応じた製品を投入することで、プリンタービジネスを伸ばせると期待しています。

 


高プリントボリュームユーザーへの浸透度を高める


三島■細分化された法人市場のセグメントの中でもSOHOやSMBの小規模事業所においては、長年にわたって国内外で家庭市場やSOHO市場に注力してきたブラザーグループに一日の長があると自負しています。


そして法人市場でSOHOとSMBでビジネスを伸ばしていくには、台数の拡大ではなく高プリントボリュームユーザーへの浸透度を高めることが大切だと考えています。これは家庭市場でヘビーユーザーに注力することと同じ姿勢です。


今後はSOHOに加えてSMBの中でも5〜10名規模をイメージした小規模事業所を中心に提案を強化していきます。この規模のお客様ならば大型のコピー機や複合機ではなく、A3インクジェットプリンターやA4モノクロレーザープリンターでも十分ですから。


しかも他のプリンターメーカーが法人市場でこのセグメントに注力するのは、人手やコストの効率面で難しいでしょうから、なおさら狙い目です。

 


商品力だけでは勝負できない


―SOHOや小規模事業所への拡販での課題や攻め口をお聞かせください。


三島■小規模事業所と聞くとお客様がPCや機器を買ってきて自身で設定するイメージがありますが、すべてのお客様がそうではありません。このセグメントの多くのお客様は販売店様を通じて事務機器やIT製品を購入しています。


こうした販売店様に当社の製品を販売していただくには、商品力だけでは勝負できません。お客様からはサービスやサポートも重視されますし、販売店様からは提案しやすく利益を出しやすいことも重視されます。

 


ブラザー初の高耐久モデルを発売


三島■これからはブラザーグループを挙げてSMBに注力すると決断した今、新たにハイエンドのA4モノクロレーザープリンターを開発しました。それが「JUSTIO HL-L6400DW」と「JUSTIO MFC-L6900DW」です。


これはブラザーで初めての約60万枚高耐久モデルで、色も外観も仕様も独自の製品となっています。特に医療機関への導入を意識して本体色に白を採用しました。 

 


販売店との協業でSMB攻略へ


三島■SMB向け製品として、ハイエンドのモノクロA4レーザープリンターであることに大きな意味があります。小規模事業所には大型コピー機や複合機をモノクロA4レーザーに置き換える、または新規で導入する需要が確実にあります。


しかし他社はこのセグメントに注力しづらく、モノクロA4レーザープリンターのハイエンドモデルに競合製品はあまりありません。言い換えればSMBの小規模事業所はビジネスが難しいセグメントだと思います。このセグメントの需要を獲得するために、自社で全国のお客様に提案して回るのは不可能です。全国の販売店をパートナーに持つダイワボウ情報システム(DIS)様との協業が必要です。


今後も法人市場専用モデルのラインアップを拡充し、SMB市場に売る商材、売っていただける商材をDIS様と全国の販売店様に提供していきます。そして成長に伴ってサポート体制やサービスの充実にも力を入れていきます。

 


紙で出力する需要を掘り起こす


―このほかにプリンタービジネスを広げる施策はお考えですか。


三島■さまざまな端末が普及している現在、紙で出力しなければならないシーンはたくさんあります。例えば設備メンテナンスの現場や金融機関のお客様対応、小規模店舗でのレジなどが挙げられます。当社にはモバイルプリンターなど多様なプリンター製品をラインアップしており、モバイルプリンターは金融機関への導入実績が長期にわたって豊富にあります。


さらに衣類に印刷するガーメントプリンター、紙や布などを自由なデザインで切り抜けるカッティングマシン、ヘッドマウントディスプレイの「エアスカウター」、そしてミシンやレーザーマーカーなど当社のさまざまな製品を組み合わせることによって新たな需要を掘り起こし、「ブラザーALL」でビジネスを広げていきたいと考えています。

ブラザー販売株式会社 代表取締役社長
三島 勉 氏
TSUTOMU MISHIMA

キーワードから記事を探す