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市場調査・分析・予測 [ Market research ]

需要が絶えず拡大するセキュリティビジネス市場/標的型サイバー攻撃対策製品は業界・産業特化で売る

[2016.10.17]

標的型サイバー攻撃対策にはアプライアンス製品が人気

 

デジタル革新に取り組む企業が広がり社会への浸透も進む中、セキュリティにはより高いレベルの安全性が求められている。特にIoTや産業分野へのOT(Operational Technology)の普及によってネットワークに接続される機器やモノが爆発的に増加することでセキュリティレベルの維持・管理が難しくなり、企業や個人などユーザーには自己防衛の意識とセキュリティへの持続的な取り組みが強く求められている。


そうした中、国内のセキュリティ市場を見ると高度化する標的型サイバー攻撃による大規模な情報漏洩事件の増加で企業における標的型サイバー攻撃への危機意識が高まっており、大企業や官公庁などの公共機関を中心に標的型サイバー攻撃に特化した脅威対策製品の導入が進んでいる。中でも外部にファイルを送信することなく自社内で脅威を検出できるアプライアンス製品の導入が目立つ。


活況がうかがえる国内の標的型サイバー攻撃対策市場だが、IT専門調査会社のIDC Japanが2016年9月20日に発表した調査結果を見ると、標的型サイバー攻撃に特化した脅威対策製品市場の2015年の実績は前年比77.9%と大幅に成長し、92億円だったと発表している。

エンドポイントへの対策と一元管理に向くSaaSが伸びる

 

同社では標的型サイバー攻撃向け対策ソリューション市場を「特化型脅威対策製品市場」と「セキュリティサービス市場」に分類している。特化型脅威対策製品にはサンドボックスエミュレーションやコードエミュレーション、ビッグデータアナリティクス、コンテナ化などの非シグネチャベースの技術による製品が含まれる。


上記の分類にて標的型サイバー攻撃向け特化型脅威対策製品市場の2015年~2020年のCAGR(年間平均成長率)は22.1%で、2020年には251億円に拡大するとIDC Japanは予測している。


現在、社内外を問わずさまざまなエンドポイントデバイスから情報資産を活用する機会が増えており、社外で活用するエンドポイントデバイスに対する標的型サイバー攻撃対策も必要となっている。そのため社内外のセキュリティポリシーを一元管理できるSaaS型ソフトウェアへのニーズが高まるとIDC Japanは見ている。

国内標的型サイバー攻撃向け特化型脅威対策製品市場・製品別売上予測(2013年~2020年)
出所:IDC Japan

コンサル、構築、運用サービスの需要も拡大

 

一方のセキュリティサービスには標的型サイバー攻撃によって発生したセキュリティインシデントに対するコンサルティングサービスや、特化型脅威対策製品導入のためのシステム構築サービス、マネージドセキュリティサービス、教育/トレーニングサービスが含まれる。


標的型サイバー攻撃対策製品を導入する企業や公共機関が増えていることから、導入設計からシステム構築までに対応するセキュリティサービスの需要も拡大するという。


IDC Japanの発表によると標的型サイバー攻撃向けセキュリティサービス市場の2015年の実績は前年比7.6%成長の3,666億円で、2015年~2020年のCAGRは7.6%、2020年には5,290億円に拡大すると予測している。


標的型サイバー攻撃の高度化と対策製品の多機能化により、より高度な専門知識を持ったセキュリティエンジニアによるセキュリティシステムの運用も求められており、今後は高度化する標的型サイバー攻撃防御にAIを活用した高度なマネージドセキュリティサービスが進展するとIDC Japanは分析している。

業界や産業に特化したソリューションが求められる

 

ユーザーのIT環境はオンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド型への移行が進んでおり、標的型サイバー攻撃対策ソリューションは境界防御ではなく産業システムに組み込まれて展開されるようになるという。そのため今後の標的型サイバー攻撃対策ソリューションには業界コンプライアンスや産業システムに特化したソリューション提供が求められるという。


この調査を担当したIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は「サイバーセキュリティソリューションを提供するベンダーは特定の産業に特化した標的型サイバー攻撃対策製品と、その導入支援や運用管理といったセキュリティサービスをパッケージ化した、産業特化型標的型サイバー攻撃向け対策ソリューションの提供を推進すべき」と提言する。


これからのITビジネスでセキュリティ分野の事業を成長させるためには、ITベンダーやSIer、IT系販売店と産業特化型ソリューションを提供しているベンダーの協業が重要になりそうだ。(レビューマガジン社 下地孝雄)

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