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マガジン [ Magazine ]

電池型IoTガジェットで電力をコントロール

[2016.10.20]

スマホとつながる乾電池型IoT

 

MaBeee(マビー)

 


目標金額50万円からスタートしたクラウドファンディングで、640万4,710円を集めた新製品がある。それが乾電池型IoTの「MaBeee(マビー)」だ。スマホとつながることで、単三電池で動くモノを何でもIoT化する優れモノ。スマホを振って、傾けて、喋って、乾電池の電力をコントロールできるMaBeeeは、日本発のIoT機器として、ホビーの世界を飛び出して成長する可能性を秘めている。

 


乾電池をIoT化するガジェット


MaBeeeは、単四電池が入る単三電池型のIoTガジェット。本体には、Bluetoothの通信機器と電池の電力を制御する回路などが組み込まれている。単四電池をセットすると、そこから電力をもらって通信や制御を行う。本体の形は単三電池と同様なので、制御したい玩具やライトなどの電池として使えばいい。複数本の単三電池が入る機器ならば、一本だけをMaBeeeに入れ替えるだけ。


MaBeeeをセットしたら、機器の電源を入れてスマホにインストールしたMaBeeeのアプリから、MaBeee電池とBluetoothで接続する。アプリが対応するスマホはiOSとAndroidだ。iPhoneだけではなく、iPadは2012年発売の第3世代以降、iPod touchは2012年発売の第5世代以降の製品であれば利用できる。Androidは、Android 4.4以降で、Bluetooth 4.0 LE/Bluetooth Low Energyに対応している機種で使える。具体的に検証された機種は、MaBeeeを開発しているノバルスのサイト(http://developer.novars.jp/android_devices/)に掲載されている。


MaBeee電池とMaBeeeアプリが接続されると、アプリから電力をコントロールできるようになる。制御の方法は、スマホを傾けたり、振ったりする動作から、声や電波の強弱まで利用できる。また、タイマーによる動作や、複数のMaBeee電池を制御できるレバー機能、ON/OFFをコントロールするスイッチなども用意されている。MaBeeeは乾電池の電力をスマホでコントロールするという、ありそうでなかったシンプルな構造で、既存の玩具や電池で動く機器をIoT端末に進化させる。

MaBeeeに単四電池を装着して機器にセットすれば、スマホで電力をコントロールできるようになる。

スマホで動きを制御したかった


MaBeeeを開発・販売しているノバルスの代表取締役 岡部顕宏氏は、昨年までセイコーインスツルで、モノづくりの事業化を推進していた。「さまざまな会社の人たちが集まって、ユニークなガジェットを発想する部活動のようなサークルがありました。その中で、『スマホで動きをコントロールできたら楽しいよね』というアイデアが出たのです。そこからディスカッションを続けていく中で、『乾電池にするといろいろと使えていいよね』という意見が出て、この形になりました」と岡部氏は製品が誕生した背景を振り返る。


基本構想のディスカッションに参加したメンバーをはじめとして、SNSなどで連絡を取り合う仲間によって、3Dプリンターによるプロトタイプの制作や制御用回路とアプリの開発などが推進されたという。そして昨年の4月に岡部氏は同社を設立した。そこから本格的な開発を進め、冒頭で触れたようにクラウドファンディングで驚異的な成功を収めたのだ。


 「現在は、家電量販店などコンシューマー市場を中心に販売やプロモーションを展開していますが、B2B向けの問い合わせや開発の話も来ています」と岡部氏。

電力のコントロールは、専用アプリをインストールしたスマホの傾きや声など複数の要素で行える。

大きな商機が存在


これまで、数多くのIoT系ガジェットが登場してきたが、その多くはセンサーICを応用したモノが多く、主に「スキャンする」IoTが中心だった。しかし、MaBeeeで動力を制御できるようになると、既存の機具が「動く」IoTを実現する。それも至極シンプルな仕組みで構成できる。


 「例えば、電池で動く日用品にMaBeeeを組み合わせると、リモートでのON/OFFや動力を制御できる仕組みを構築できます。これまでのIoTのような、チップの組み込みやデバイスドライバーの開発といった手間やスキルをかけずに、簡単に動きをコントロールできるようになるのです」(岡部氏)


ノバルスでは、MaBeeeで新しいIoT機器を工作する人のために、Mac用のアプリも用意している。今後は、iOSやAndroid用のSDKを提供する計画もある。「医療や教育機関からも、問い合わせが来ています。ユニークな事例では、女子高校のワークショップでMaBeeeが取り上げられました。乾電池の1年間の消費量は国内だけで約30億本、世界で約3,000億本です。それだけに、乾電池を活用したIoTには大きなビジネスチャンスがあると考えています」(岡部氏)


ちなみに、MaBeeeには取り付けている単四電池の電圧をモニターする機能も搭載されている。この電圧モニターを活用すると、動力をON/OFFするだけではなく、電池が使われているか否かを検知して、何らかのアクションを起こすIoTも構成できる。乾電池というシンプルな動力から発想したMaBeeeは、IoTの可能性を大きく広げるガジェットになるだろう。

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