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IDCとノークリサーチのアナリストがハイパーコンバージドインフラ市場を分析

[2016.10.03]

ハイパーコンバージドは2020年まで二桁成長


IDC Japanは、国内コンバージドシステム市場予測を8月に発表している。ここで示されているコンバージドシステムとは、インテグレーテッドシステム(サーバー、ディスクストレージシステム、ネットワーク機器およびソフトウェアの組み合せをベンダーが認定した上で統合したシステムパッケージ)とハイパーコンバージドシステムが合算されている。同社では2015年のコンバージドシステムの出荷額を433億1,300万円、2016年の同出荷額を480億6,800万円と予測しているが、その中で特に成長を期待されているのがハイパーコンバージドシステムだ。


同調査によるハイパーコンバージドシステムの2015年の市場規模は40億円強で、2016年は90億円強。2020年まで二桁の前年比成長率を維持し、2020年には290億円強の市場規模になると予測している。IDC Japan エンタープライズ インフラストラクチャ マーケットアナリストの宝出幸久氏は次のように分析する。「IT市場の中では希有な存在です。主要ベンダーの製品が出揃って、売る側の体制が整ってきた状況が影響しているのでしょう。また、ユーザーにも受け入れられ始めています。昨年12月に行ったストレージの管理者向けの調査では、認知度が約5割、導入意向は約3割という結果が出ています」

 


ユーザーに課題認識を促す


ハイパーコンバージドインフラは、仮想化基盤の運用管理を効率化できる点が大きなメリットとなる。さらに、「ハイパーコンバージドインフラはスモールスタートで始めて徐々にスケールアウトできる点も評価ポイントです。ITインフラを柔軟に使用したいという昨今のユーザーニーズに合致していますね。これからは一般的なアプリを稼働させる基盤として選択されていくでしょう」と宝出氏は予測する。


ベンダーの選定ポイントについて宝出氏は「サーバーベンダーやストレージベンダー、ネットワークベンダーなど各分野を得意とする多彩なベンダーから製品が提供されています。製品を選定する際には、どのエコシステムを重視するかがポイントになるでしょうね」と話す。例えば、すでに利用しているハイパーバイザーと親和性の高い製品を選択するような考え方もできそうだ。また、SDSを実現するソフトウェアや管理ツールなども比較ポイントになりそうだ。


高い成長が見込まれるハイパーコンバージドインフラについて、販社はビジネスチャンスをどう作っていけばいいのか。宝出氏は次のように提案する。「まずはエンドユーザーに現状のシステム基盤の課題の認識を促す必要があります。システムの導入や運用において不要な手間がかかっているケースは少なくないはずです。その上で、ハイパーコンバージドインフラの利点を訴求できれば、ビジネスチャンスを獲得できるはずです。また、SIerはソリューションやアプリケーションの開発・提案に力を入れられるようになるでしょう」

IDC Japan エンタープライズ
インフラストラクチャ
マーケットアナリスト
宝出幸久 氏

導入を計画/予定/検討している中堅・中小企業は2~3割強


ノークリサーチは年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業にハイパーコンバージドインフラの導入意向について調査を行った。それによると、「既に導入済みである」の回答割合はいずれの年商帯においても1割未満に留まった。しかし、「導入を計画/予定している」「導入を検討している」も含めた回答割合は2割強~3割強に達した。また、「導入は全く考えていない」が2割程度に留まる一方で、「現時点では判断できない」が5割前後となっている。調査を担当したノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏はこの結果を受けて、「コンバージドインフラに関しては今後の認知・啓蒙が最優先事項であることが確認できます」と提言している。


そもそも、中堅・中小企業にとってハイパーコンバージドインフラは、「サーバー仮想化を実現する手段として存在します」と岩上氏は指摘する。中堅・中小企業においては、システムのコスト削減や可用性の向上のためにサーバーの仮想化ニーズはあるのだが、SANの構築などコストがかさむだけでなく技術的な敷居も高い。岩上氏は、「サーバー仮想化における課題の根本的な要因の一つはシステム環境の複雑さにあります。一般的にサーバー仮想化環境ではデータの保存場所として複数のサーバーからアクセス可能な共有ストレージ機器が必要です。こうした構成はストレージやネットワーク関連の投資金額や技術スキルを高める要因となっています」と話す。


これらの課題を解決するのが、サーバーとストレージが一体となったハイパーコンバージドインフラであり、「サーバー仮想化の敷居を下げる新たな選択肢」(岩上氏)である。

 


適切な情報提供が必要


実際に中堅・中小企業のユーザーは、ハイパーコンバージドインフラについてどのようなメリットを感じているのか。それについてノークリサーチの調査では、「高価なストレージ機器が不要である」「小さな規模から始めて徐々に大きくできる」「高価なネットワーク機器が不要である」などの回答が多くを占めた。ハイパーコンバージドインフラの特長としてアピールされているハードウェア関連の初期費用を抑えてスモールスタートできる点をメリットと捉えている企業が多いようだ。「負荷が高くない用途で手軽に仮想化したいニーズを持っている企業がまずはターゲットになるでしょう」(岩上氏)


一方で、「ユーザーはハイパーコンバージドインフラの課題もきちんと認識しています」と岩上氏は指摘する。同社の調査で「ハイパーコンバージドインフラのデメリットと考えられる事柄」を聞いたところ、「費用対効果の試算/判断が難しい」「導入実績やノウハウ蓄積が少ない」「処理性能やレスポンスが不安である」「導入/管理に高い技術スキルが必要」などが高い回答を占めた。


これらの回答は、ハイパーコンバージドインフラ市場自体の成熟度が低い点も関係している。ユーザーの不安を解消するためにも、さまざまな事例が豊富に出てくることが期待される。岩上氏は、「ベンダー各社はシステム規模に応じたベストプラクティスやガイドラインを提示し、ユーザー企業、販社・SIerに対してスキルやノウハウ、メリットだけでなくデメリットも含めた各種情報を適切に提供していけるかどうかが、市場をさらに加速させるためのポイントになるでしょう」と話す。

ノークリサーチ シニアアナリスト
岩上由高 氏

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