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日本で世界最大級のOffce 365導入事例が生まれる/富士通が社内システムのクラウド化を加速し外販も展開(その2)

富士通はプライベートクラウドで構築したグループ内のグローバルコミュニケーション基盤をパブリッククラウドに移行することを発表した。その真の目的とは・・・

[2016.10.06]

外販ビジネスでの連携強化を表明した富士通株式会社 執行役員常務 グローバルマーケティング部門長 阪井洋之氏(写真左)と日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長 平野拓也氏。

クラウド化の真の目的は外販か!?

富士通が社内システムおよびグローバルコミュニケーション基盤のクラウド化を推進する目的は、運用コストの削減や運用業務の効率化、システムの拡張や展開、変更の迅速化と効率化といったクラウド化で得られる恩恵だけに限らない。
まずマイクロソフトの平野氏が会場で話したように「16万人ものユーザーが利用して得られるノウハウと経験値は他では得られない」と言うように、社内のさまざまなシステムをクラウドへ移行して自ら実際に運用・活用して得たノウハウは外販に活かせる。
さらにパブリッククラウドや社外のクラウド基盤およびサービスを連携させてマルチクラウド環境を運用するノウハウと、マルチクラウド環境によって富士通以外のクラウドサービスを取り込みやすくなりサービスラインアップを充実させられるなど、やはり外販に活かせる。
富士通の阪井氏は今後Office 365に移行する富士通のグローバルコミュニケーション基盤をベースとしたサービスおよびソリューションの外販ビジネスを展開すると表明した。今後、富士通と日本マイクロソフトが連携してこの外販ビジネスを展開する。

2018年までに年間売り上げ500億円を目指す

富士通の阪井氏は日本マイクロソフトと連携したグローバルコミュニケーション基盤の外販ビジネスについて「2018年までに年間500億円の売り上げを目指す」を明言した。同社の120万IDの既存顧客に大規模なマルチクラウドへの移行を提案し、VDI(仮想デスクトップ)やマルチクラウド認証基盤の追加導入を提案するという。

外販ビジネスの目標

 

外販するためのキーワードとなるのが「ワークスタイル変革」と「デジタル革新」だ。これらの領域においてビジネスチャンスがあることを阪井氏は同社が2016年5月に実施したアンケート調査の結果を示して説明した。
調査結果では回答を得た企業の約3分の1が全社または部門でデジタル革新を進めていると回答したことに加えて、さらに3分の1が企画・検討中であると回答したことを挙げ、デジタル革新に向けたビジネスが有望であることを強調した。

デジタル革新に関するアンケート調査(2016年5月 富士通が実施)

 

デジタル革新によって得られる効果については、富士通と日本マイクロソフトの主張は似ている。いずれも幅広く多くの人が納得できそうな内容だが、一方でそれが自社や自分に当てはまるかどうかまでかみ砕くのは容易ではない。

富士通がアピールするデジタル革新の効果

マイクロソフトがアピールするデジタル革新の効果(2016年9月6日に開催された「Microsoft Foresight」の基調講演)

 

このあたりについては富士通も日本マイクロソフトも理解しており、日本マイクロソフトは自らワークスタイル変革を実践するなど効果の「見える化」に取り組んでいる。
そして富士通ではグローバルコミュニケーション基盤の外販を展開するにあたり、またデジタル革新を掲げたクラウドソリューションの拡販に向け、日本マイクロソフトと連携して「デジタルトランスフォーメーショーン コネクト プログラム」をユーザーとパートナーに提供する。

5月から3カ月半で30件ほどの商談を獲得

デジタルトランスフォーメーショーン コネクト プログラムは「マイクロソフトテクノロジーセンター」(MTC)と「富士通デジタル・トランスフォーメーション・センター」(DTC)の2つの拠点を相互連携してユーザーがデジタル革新をワークショップで体感しながら検討し、富士通と日本マイクロソフト、そしてパートナーがユーザーと議論しながらソリューションやサービスの提案をするものだ。

デジタルトランスフォーメーショーン コネクト プログラムの概要

デジタルトランスフォーメーショーン コネクト プログラムの拠点

 

阪井氏は「デジタル領域の上流は要件定義がしづらい。ワークショップ型で体感しながら検討することでイメージが得やすくなる。またIT部門だけではなく総務や業務部門にも参加してもらうことで、従来はなかなか進まなかった検討がスピーディかつ有益に進められる」と有効性を説明する。

富士通デジタル・トランスフォーメーション・センターのスタジオCでは新しいワークスタイルが体感できる。

 

そして阪井氏はこのプログラムを活用して年間200件の案件を生み出すと強気だ。阪井氏は「DTCは2016年5月17日にリニューアルオープンして3カ月半ほどで約350社が利用し、60件ほどがワークスタイル変革を検討した。そしてその半数が具体的な検討、すなわち商談に進んでいる。今後は時間とともに商談化率が高まると見ている」と強調する。

富士通デジタル・トランスフォーメーション・センターのスタジオBではさまざまなコミュニケーションツールを使って議論を煮詰める。

富士通デジタル・トランスフォーメーション・センターのスタジオBではさまざまなコミュニケーションツールを使って議論を煮詰める。

 

富士通と日本マイクロソフトが自ら手本を見せるとともに、富士通では自社のシステムに商材を乗せることでコスト削減や利益率向上、開発の効率化、ラインアップの充実、そしてノウハウの習得など実によくできたシナリオだ。
日本マイクロソフトにとってもOffice 365の世界最大級の導入実績を獲得でき、富士通を通じてOffice 365とAzureの拡販も期待できるなどうまみのあるビジネスが展開できる。
富士通の思惑通りに行くのか、まずはグローバルコミュニケーション基盤のクラウド化を完了し、社内システムのクラウド化を円滑に進めることが肝心だろう。そしてその効果をユーザーが納得できる形で見える化することも必要だ。(レビューマガジン社 下地孝雄)

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