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次世代の仮想化基盤として導入が加速するハイパーコンバージドインフラ

[2016.09.30]

Hyper Converged Infrastructure


旬を迎える『ハイパーコンバージドインフラストラクチャー』


サーバー内蔵のストレージを利用して仮想化システムを稼働させるハイパーコンバージドインフラの季節が到来しそうだ。複雑で管理労力が必要な既存のインフラに代わる次世代の仮想化基盤として、中堅・中小企業でも導入が広がりつつある。本特集ではハイパーコンバージドインフラ市場に参入している各ベンダーの動向とアナリストの分析をレポートする。

 

 

ハイパーコンバージドインフラとは?


3Tier構成の課題を解決


ハイパーコンバージドインフラが旬を迎えそうだが、そもそもハイパーコンバージドインフラとはどのようなインフラを指すのだろうか。ひと言で表すのならば、システムの構築や運用管理の手間を大幅に削減する次世代の仮想化基盤となりそうだ。


従来の仮想化システムは、サーバー、SANスイッチ、ストレージの3層(3Tier)で構成されていた。この構成では、設計構築においてパフォーマンスや信頼性の確保、拡張を想定したサイジング、各構成要素ごとの互換接続性の確認の手間、構築期間の長期化といった課題があった。また、運用においては、構成要素ごとにスキルが必要で、ソフトウェアの更新作業なども生じる。拡張性にも限界があったり、サイロ化が発生したり、新旧システムの混在が難しいといった問題があった。つまり、従来の仮想化システムはその複雑性と専門性の高さゆえに設計、構築、運用に至るまで多大な労力を要していたのだ。

サーバー、SAN、ストレージの3 層からなる3Tire 構成。運用管理の負担が重い。

そこで登場したのがコンバージドインフラだ。これはサーバー、SANスイッチ、ストレージを1台のラックに統合したシステムで、各製品の組み合わせをベンダーが事前に検証したうえで提供する。システム構成の複雑さを排除しつつ、運用管理性も高めている。ただし、サーバー、SANスイッチ、ストレージはラック内にそれぞれ存在するため、管理やメンテナンスの手間はそれぞれ発生する。

サーバー、SAN、ストレージを1 台のラックにパッケージ。導入時の構成の複雑さは解決されるが、ベンダーロックインなどが生じる。

次世代の仮想化基盤として選択


コンバージドインフラの統合度をさらに高めたのがハイパーコンバージドインフラとなる。これはx86ベースのサーバーにストレージと仮想化機能の集約を実現させたインフラだ。サーバーに内蔵されたストレージをSDS(Software Defined Storage)化することで、従来必要とされた専用ストレージとSANスイッチを不要としている。サーバーとストレージが統合されているため、運用管理の負担が従来と比較して大幅に軽減できる。分散ストレージ化によって拡張性にも優れていて、容易にスケールアウトが可能だ。スモールスタートから始めて、状況に応じて増設していくといった運用が実現する。

SDS でサーバー内蔵のストレージを活用し、さらに管理性を向上。拡張性も高い。

仮想化統合時の構成の複雑さや、仮想化基盤の運用時の煩雑さを解消できるハイパーコンバージドインフラは、次世代の仮想化基盤として導入が加速している。これまではVDIの基盤としての採用が多かったが、現在は一般的なアプリケーションの基盤としても活用され始めている。すでに仮想化統合が果たされている企業においては、仮想化基盤のリプレース先として、これから仮想化統合を検討している企業にとってはその基盤としての提案が可能になる。

 

 

 

ニュータニックス


ITインフラを究極にシンプルにしたい


コンバージドインフラの市場を牽引してきたのがニュータニックスだ。ニュータニックス・ジャパン Sr.Systems Engineering Managerの露峰 光氏は、同社がハイパーコンバージドインフラの提供で描く世界観を次のように語る。「ITの複雑さとそれにかかわるコスト課題を解消したいと考えています。ITインフラを究極にシンプルにしたいのですね。例えば、オンプレミスの環境でもクラウドサービスのような手軽さを実現したいのです。そうした世界の第一歩としてハイパーコンバージドインフラが存在します」


同社は、「Nutanix Acropolis」と「Nutanix Prism」、それら二つの製品で構成されるハードウェアプラットフォーム「Nutanix Xtreme Computing Platform」を提供している。Acropolisはサーバー、ストレージ、仮想化リソースを統合して、さまざまなアプリケーションをあらゆるスケールで実行させられるインフラプラットフォーム。Prismはインフラ管理ソリューションだ。AcropolisとPrismによってハイパーコンバージドインフラを構成する。「肝はソフトウェアです。特別なハードウェアは使用していません」(露峰氏)


Acropolisは、「Distributed Storage Fabric」「App Mobility Fabric」「Acropolis Hypervisor」で構成されている。Distributed Storage Fabric(分散ストレージファブリック)によって、仮想環境のストレージやデータのシンプルな管理を可能にする。クラスターを横断する形でフラッシュやHDDをプールしてiSCSI、NFS、SMBで共有できるように仮想化レイヤーに提供することでSANの活用を不要にする。スナップショットやクローン、データ圧縮、重複排除、DR機能なども提供する。App Mobility Fabricは、仮想化環境間でのワークロードの自由な移動を実現する。「メンテナンスの際にもワークロードを止める必要がありません。バージョンアップ、ハードのファームウェア、ドライバーなどのアップデートも含めてマシンを止めずに実現します」(露峰氏)


ニュータニックスの製品は、マルチハイパーバイザー環境に対応しているのも特長だ。VMware ESXiやMicrosoft Hyper-Vに加えて、Linux KVMをベースとしたニュータニックス製のAcropolis Hypervisorを利用できる。ニュータニックス製品でAcropolis Hypervisorを利用すればライセンス料はかからない。「Acropolis Hypervisorはハイパーバイザーからストレージまで一貫した運用管理を実現します。グローバルではすでにユーザーの約15%以上が利用しています」と露峰氏は状況を語る。

ニュータニックス・ジャパン
Sr.Systems Engineering Manager
露峰 光一 氏

VDI利用は全体の3割、DBやERP用途でも活用


同社は、ハードウェアプラットフォームXtreme Computing Platformで、CPUやストレージ、メモリーの拡張などユーザーのさまざまなニーズに対応できる幅広いラインアップを用意している。それは、ハイパーコンバージドインフラが特定の用途ではなく汎用的な仮想化基盤であることも意味している。


従来は、VDIにおけるストレージのボトルネックの問題を解消する手段として同社ソリューションが利用されるケースが多かった。現在VDIでの利用は全体の3割程度、それ以外では、データベースやERP、ビッグデータ処理などの基盤としても活用されている。「システムの規模や用途に偏りがないのも特長です。小規模から大規模の一般企業、官公庁、金融、製造、教育分野などで導入されています」と露峰氏は話す。


ニュータニックスのAcropolisやPrismは、同社が提供するアプライアンスだけでなく、デルやレノボが提供するハードにも実装されており、協業体制によってハイパーコンバージドインフラ市場の拡大を目指している。

ニュータニックスが提供する「NX シリーズ」。VM ware ESXi、Hyper-V のほか、KVM をベースとしたNutanix Acropolis Hypervisor も利用できる。

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