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市場調査・分析・予測 [ Market research ]

IT支出計画はセキュリティを中心に増加/ IT部門が管理しないIT予算に商機あり

[2016.09.28]

IDC Japan株式会社
ITサービス リサーチマネージャー
木村聡宏氏

IT支出計画は大企業と中堅企業を中心に増加

出所:IDC Japan

 

国内企業のIT投資への意欲は高いようだ。IT専門調査会社が実施したIT投資動向に関するCIO調査の結果によると、2016年度の国内企業のIT支出計画は大企業と中堅企業を中心に「増加」が「減少」を上回っているという。
この調査は国内企業のCIOや情報システム部門長またはそれに準じる立場の管理者を対象に実施した。有効回答数は1,210社で100名未満の企業が61%、100名以上1,000名未満の企業が22%、1,000名以上が17%という構成だ。また業種は製造と流通がそれぞれ17%、情報サービスが10%、建設が9%、金融が5%など比較的均等となっている。

ここでは細かい数字は省くが年間IT予算の2016年度計画のアンケート調査結果を見ると企業の規模に関わらず「減少」と回答した企業の数は15~20%程度で「変わらない」「増加」が80%以上となっている。
特に100名未満の企業では78.2%が「変わらない」で、1,000名未満と1,000名以上の企業では2530~35%が「増加」となっている。

投資領域はセキュリティ対策が突出

出所:IDC Japan

年間IT予算を増やす理由は「業務拡大」と「売り上げの増加」「IT投資を優先設備投資としたため」が26~30%となった。
逆に減らす理由では「利益の減少」と「売り上げの減少」が20%強のほか、「他の設備投資を優先したため」「システム開発が終了したため」「新規投資案件の減少・不在」がそれぞれ15%程度だった。
IT投資領域では2015年度の実績を見るとセキュリティ対策が約40%で突出している。それに次いで営業系システムとクラウドサービスが13%ほどだった。

このアンケート調査を担当したIDC JapanのITサービス リサーチマネージャー 木村聡宏氏は「IT部門の課題を見るとセキュリティの強化など産業分野横断で多くの企業が抱える共通的な課題があります。その一方で金融におけるシステムの標準化/最適化など、産業分野ごとに異なる課題も見られます。国内ITサービス市場は2016年以降もプラス成長を続けるものの、その成長率は徐々に低下していくでしょう」と分析する。

IT部門が関与しないIT予算が大きい

出所:IDC Japan

 

注目したいのはIT部門が関与しないIT予算が意外にも大きいことだ。アンケート調査の結果ではIT予算に占める割合の差はあるが、IT部門が関与しないIT予算は61%の企業に存在することがわかった。
IT部門が関与しないIT予算が存在する背景についてIDC Japanの木村氏は「デジタル化がもたらすビジネスとITの融合が、ユーザー部門によるIT投資や内製化の動きなど国内企業のIT投資にも変化を及ぼしている」と分析する。

IT部門が関与しないIT予算は中堅/大企業を中心として金融、製造、通信/メディアに多く見られる。
IT部門が関与しないIT予算がある理由は100名未満の企業では「会社の方針」が48.5%と突出しており、1,000名未満、1,000名以上の企業では「IT製品やサービスが業務部門にとっても使いやすくなった」や「現場の要望を迅速かつ的確にシステムに反映するため」「業務知識が必要なIT投資のため」が多い。

業務部門にも営業してITビジネスを伸ばす

「ITサービスベンダーは自らのデジタルトランスフォーメーションを進めることで、企業の変革をリードすべきだ」(IDC Japan 木村氏)

 

IT部門が関与しないIT予算を持つ部門は「営業/販売」「人事/総務」「経理/財務」「マーケティング」が目立つ。さらにそれらの投資領域はPCが圧倒的に多く、次いでサーバー、ストレージ、タブレット、スマートフォンとハードウェアが中心となっている。
今後のITビジネスを伸ばすには情報システム部門への提案だけではなく、各業務部門への営業活動も重要になりそうだ。

なお海外向けのIT投資動向は大企業を中心に海外向けのIT支出は伸びており、今後も支出が増加すると予測している。大企業は東南アジア重視の姿勢が顕著であり、中国からのシフト傾向も見られるのが特徴だ。(レビューマガジン社 下地孝雄)

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