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IoTもパーソナルなものであるべき ブロック形状のタグで実現

[2016.09.18]

Internet of Things

 


IoTをパーソナルなものにしたい


IoTの世界を加速させるモジュールをソニーが提供している。同社の新規事業創出プログラムから生まれ、クラウドファンディングで資金調達して実現した手のひらサイズの「MESH」と呼ばれるワイヤレスファンクショナルタグだ。MESHは場所やモノの状況を感知したり動作を検出したりして、ヒトやモノ、コトをネットワークで結ぶハブのような役割を果たす。


MESHが生まれたのは、従来のITやIoTが専門家のものになっていて一般のユーザーは置き去りになっている状況だと、ソニー 新規事業創出部 MESHプロジェクト 統括課長の萩原丈博氏が感じていたから。さまざまなセンサーやアプリを利用できるスマートフォンでも多くのことができるようになっているが、不自由な点も少なくない。そこで萩原氏は「使う人がしたいことを自由に実現できるITの仕組みが必要」だと考えた。それが「パーソナルなIoT」を実現するMESHに結びついた。

MESH

 

 

実際にMESHはどのように使われるのだろうか。MESHは重量が約13gのブロック形状のタグだ。さまざまな色に光る「LEDタグ」、ボタンの役割を果たす「ボタンタグ」、人の動きを検知する「人感タグ」、タグそのものの動きを検知する「動きタグ」、明るさの変化を検知する「明るさタグ」、温湿度の変化を検知する「温度・湿度タグ」、モーターなどをつなげられる「GPIOタグ」の7種類のタグが提供されている。


タグにはリチウムイオンバッテリーが内蔵されていてタグ単体で動作する。バッテリーは使い方にもよるがフル充電で1~2ヶ月程度はもつ。タグはBluetoothでスマートフォンなどと通信できる。最大通信距離は約10mだ。Bluetoothを利用しているのは、省電力性を追求するため。タグの役割や付随するアクションなどは、MESH専用アプリで作成する(iOS 8.0以降を搭載したiPadやiPhoneで稼働)。アプリ上では、表示されるアイコンをドラッグ&ドロップでつなぐだけでMESHを利用したIoTの仕組みが完成する。「アプリは直感的に使えるようにしています」(萩原氏)

MESHタグの中で一番のお気に入りの「動きタグ」を手に持つソニー 新規事業創出部 MESHプロジェクト 統括課長の萩原丈博氏。ソニーのCreative Loungeにて。 

7種類のタグで「あったらいいな」を実現


例えば、タグそのものの動きを検知する動きタグを冷蔵庫の扉に貼り付けておく。そして、iPadなどにインストールしたMESH専用アプリ上で、ペアリングした動きタグのアイコンとスピーカー(端末のスピーカーから音を出す)や通知タグ(iPadなどに通知を送る)のアイコンをつなげると、冷蔵庫の開閉に応じて端末から音を出したり通知を受け取ったりできるようになる。実際に、この仕組を利用して冷蔵庫を開ける度に注意を促すようにし、ダイエットに活用しているユーザーがいるという。

 

 

複数のMESHタグを連携させて動かすこともできる。廊下の壁などに人感タグを設置しておいて、人感タグで人の動きを検知した際に、LEDタグを光らせるような仕組みが専用アプリを使って手軽に作れるのだ。Gmailとも連携させられるため、MESHタグで何かを検知した際にメールで通知するような仕組みも構築できる。例えば、冷蔵庫の開閉をメールで受信する仕組みを作って安否確認などに使用することが可能だ。また、Webサービスを連携させられるIFTTT(イフト)も利用でき、MESHタグの検知状況のログをGoogleスプレッドシートに自動で記載したり、Twitterに自動でつぶやかせたりすることが可能である。ボタンタグとLEDタグ、そしてIFTTTを組み合わせて投票システムを作り上げたユーザーもいる。


つまり、7種類のタグとMESH専用アプリ、連携サービスの利用によってさまざまな可能性を形にすることが可能になるのだ。現状、IoTの仕組みをこのように手軽に作るのは難しい。人感センサーや明るさセンサー、温湿度センサーなどのモジュールを入手して何かに接続し、サービスと組み合わせることは簡単ではない。すでに何かの製品に搭載されたセンサーを活用するのがこれまでの状況だ。しかし、それではユーザーの自由度は低いままだ。そうした状況を打破し、ユーザーが自由にさまざまなモノにセンサーなどを設置して、さらにボタンやLEDライト、クラウドサービスと組み合わせて「あったらいいな」を実現できるツールがMESHなのだ。

冷蔵庫に動きタグを貼り付けて、開閉時にiPadで音を鳴らしたり通知したりするようにした。MESHアプリ上で、動きタグとスピーカータグと通知タグをつなげるだけで実現する。

現在はコンシューマーに加えて、会社内個人用途がターゲットになっているという。会社内個人とは、会社内で個人的にIoTシステムを構築して、オフィス環境や業務の改善を行うような人間を指す。例えば、オフィスのトイレの利用状況がわかるようにMESHタグを利用してIoTシステムを構築した例がある。また、MESHは学生のプログラミング教育用途などにも活用されている。


MESHによってIoTの仕組みがユーザーに身近になることで、さまざまなアイデア、サービスの土壌が育成されていきそうだ。

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