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ネタと話題 [ Story and Topics ]

法人ビジネスで営業利益を黒字化 当面は単独経営を明言したが・・・

ソニーがVAIOブランドのPC事業を売却して2年が経つ。同時にVAIO株式会社が設立されて2周年を迎えた。そしてVAIOブランドの復権を任された大田義実氏が社長に就任して1年が経過した。今VAIOは過去の輝きを取り戻しつつあるのか、それともかねてから取りざたされている他社との事業統合による成長を目指すのか、VAIOの現状と当面の経営方針が大田氏自身によって語られた。

[2016.08.02]

2015年度の経営状況と2016年度の経営方針を説明するVAIO株式会社 代表取締役社長 大田義実氏

 

 

VAIOが2016年度に取り組む課題

 

2015年はV字回復を達成

 

7月26日午後、銀座にあるイベントスペースでVAIO株式会社の「2016年度経営方針および新製品発表会」が開催された。新生VAIOはターゲットユーザーを明確化して「数量を追わない」「頻繁なモデルチェンジをしない」という経営方針を採っているため、ニュースで取り上げられる機会は自ずと少なくなる。
しかし長野県安曇野市にある本社拠点でのプレスツアーを実施するなどメディアへの露出を工夫しており、製品以外でも存在感をアピールしている姿が印象に残る。では現状のVAIOのビジネスはどのような状況なのだろうか。記者説明会で大田氏は2015年度にVAIOが実施した施策を振り返った。
まず設計、製造から販売、サポートまで一貫した体制を築くために営業部を設立し、これまでソニーマーケティングに委託していた販売を自らも手掛けて自立に取り組んだ。またPC事業においては収益責任の明確化や商品力の強化なども行われた。さらに新たな中核事業として受託生産(EMS)事業も開始した。
こうした取り組みの結果、2015年度のVAIOの成績は具体的な数字は明かされなかったが「売り上げが大幅に増加し営業利益を黒字化した。2014年度からのV字回復を達成した」(大田氏)と勝利宣言が会場に響き渡った。

法人向けPC事業が好調を支えた

PC事業については法人ビジネスをさらに強化。Windows 10 Mobile搭載スマートフォンで通信分野にも注力する。

 

現在のVAIOはPC事業とEMS事業の2本柱となっているが、2015年度の実績をもたらした要因は「法人向けビジネス」にあると説明した。同社は技術営業部隊を設置して法人営業に注力しており、売り上げの半分以上が法人向けであったという。
VAIOの3年目、そして大田氏の2年目となる2016年の経営方針について、「2015年度に確立したPC事業、特に法人向けPC事業とEMS事業を安定させて着実に発展させること、そして第三の柱となる新規事業をスタートさせること」を課題に掲げた。
PC事業についてはキッティングやセキュリティの提案など法人向け施策をさらに強化する。EMS事業についてはVAIOの強みであるコンピューティングとロボティクスを活かせる事業を受託すると共に、試作品のみの生産など部分的に技術や施設を提供するなど顧客のニーズに柔軟に対応する。
さらにダイワボウ情報システムやNTTドコモとの協業によって、Windows 10 Mobile搭載スマートフォンによって通信分野にも力を入れる。

第三の事業と海外展開が意味深!?

この日に正式に発表された新製品「VAIO C15」。家庭のリビングやカフェなどおしゃれな店舗のインテリアにマッチする「ファッショナブルPC」というコンセプト。

 

PC事業とEMS事業に加えて第三の柱となる新規事業については、現在審議中だという。大田氏は「PCやスマートフォンの事業とEMS事業を発展させた事業を考えている。モノづくりの部分をVAIOが手掛ける協業モデルやジョイントベンチャーが考えられる。VAIOブランドを使うかどうかも含めて検討中」と口が堅い。
国内のPC事業の再編はまだ道半ばの様相だが、もしかしたらVAIOの第三の中核事業が何か関係があるのかもしれない。ただし大田氏は「基本的に単独でPC事業を展開する」と明言した。ただし「経営環境や市場の変化によっては変更する」とも付け加えた。
もう一つ気になるのが同社の海外展開だ。すでにブラジルでPOSITIVIO INFORMATICA社によるVAIOブランドPCのライセンス生産、販売が行われており、このビジネスモデルが成功しているという。そして、このビジネスモデルをアルゼンチンやチリ、そしてウルグアイなど南米で拡大する。
南米でのライセンス生産・販売によるコスト競争力強化によってVAIO製品のグローバル展開が再開できれば、VAIOブランドの価値が高まる。将来の中核事業がEMS事業と第三の新事業と仮定すれば、「単独でPC事業を展開」は変更されるかもしれない。いずれにしても、VAIOはまだまだたくさんの製品とサービス、そして話題を提供してくれそうだ。(レビューマガジン社 下地孝雄)

法人ビジネスに注力する中で新しいコンセプトのVAIO製品も開発・販売する取り組みの第一弾となる。

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