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新たな動向をキャッチせよ! データセンターの市場分析.

[2016.08.03]

クラウドやIoT需要の増大で、データーセンターの新設・拡張の動きが増えている。最新のデーターセンターでは第3のプラットフォームと呼ばれるIT環境に対応するための機器や、それらの安定稼働を支える空調や統合管理システム、セキュリティシステムが求められる。事業者データセンター、そして企業内データセンターにも、ビジネスチャンスがありそうだ。

 

 

エッジデータセンターが生まれる


2016年はデータセンターの新設や増設が相次いでいる。特にNECや富士通、NTTコミュニケーションズ、KDDIなどの事業者によるデータセンター施設の拡充が意欲的に進められているようだ。もちろんその背景には昨今のクラウド移行の流れがある。


例えばNECは、サーバー室4,000㎡、1,500ラックのデータセンターを神戸に新設した。ハイブリッドクラウド対応の強化が謳われており、クラウドサービスとハウジングサービスをレイヤー2で高速接続できるハイブリッドデータセンターとなっている。ユーザーの既存システムの移行やクラウドとの共存にも柔軟に対応できるという。事業者データセンターの新設や増設が続いていることについてIDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「既存システムのクラウドへのコンピュート能力のマイグレーションが進行しています」と解説する。


ちなみに国内のデータセンターのサイト数は、企業内データセンターが8万544カ所、事業者データセンターが593カ所だ(出所:IDC Japan)。この数には小規模なサーバールームも含められている。例えば、企業内データセンターの54.1%はサーバー室の面積が10㎡未満となっている。次いで31.7%はサーバー室の面積が10〜50㎡未満だ。一方、事業者データセンターで最も多いのは、サーバー室の面積が200〜2,000㎡未満の中規模データセンターだ。次いで、50〜200㎡未満の小規模データセンターとなる。

 

 

データセンターの新たな潮流としては、「エッジデータセンター」と呼ばれるものが登場しそうだ。これはIoTやM2Mの仕組みで収集されるセンサーデータなどをクラウドの手前で処理するためのデータセンターだ。大量のセンサーデータがクラウドにそのまま集められると、通信帯域や処理能力を圧迫してしまう。そうした状況を解消するための分散コンピューティング構想であり、エッジコンピューティングとも呼ばれている。このエッジコンピューティングを行うエッジデータセンターが、これから各所に設置されていくという。


 「今までデータセンターと呼ばれなかったようなところに、データセンターができていくかもしれません。その際のデータセンターは、ラックが数十台並ぶような規模ではなく、2台などの小規模なものになるでしょう」(伊藤氏)

IDC Japan
ITサービス リサーチマネージャー
伊藤未明 氏

第3のプラットフォームに対応


データセンターで稼働するサーバーやストレージ、ネットワーク設備自体にも仮想化やクラウド対応が求められる。EMCは、現在の最新のIT環境、いわゆる第3のプラットフォームに適したデータセンターを「モダンデータセンター」と呼ぶが、データセンターにも新しい波が押し寄せている。モダンデータセンターは、クラウド、モバイル、ビッグデータ、ソーシャルなどを活用したシステムやサービスに柔軟に対応可能で、仮想化集約による高密度対応、スケーラビリティの確保、非構造化データの高速処理などを実現する製品が必要とされる。


ネットワークにおいては、仮想化を実現するSDN(Software Defined Network)製品も導入されつつある。複数のネットワーク機器をソフトウェアで動的に制御し、運用の一元化を可能にする仕組みだ。ネットワークの構成変更などで必要だった複数のハードへの設定変更が不要となり、システムの変更が柔軟かつ迅速に行えるようになる。サーバーやストレージに加えてネットワークの仮想化対応も進行しているのだ。


企業内データセンターでも事業者データセンターでも、このような新たな製品が求められる傾向は変わらないだろう。もちろん、現在は企業システムが更新を迎えた場合は、まず事業者が提供するクラウドの利用が検討されるが、すべてをクラウドに移行できるわけではない。オンプレミスのサーバー室で稼働させるシステムは残るはずだ。そうしたシステムにおいても、新たな投資を促せるキーワードがモダンデータセンターとなる。

 


企業内DCではUPSの投資割合が高い


データセンターではサーバーやストレージなどのIT機器に加えて、さまざまなファシリティ面での投資も行われる。それは、受電・変電、UPSなどの電気設備、熱源機や空調機、冷却塔などの空調設備、免震装置などの建築設備などに及ぶ。これらの設備についても、新設、増設投資、さらに保守や更新支出が存在する。


IDC Japanが発表した企業内データセンターファシリティ市場 2016年市場規模予測では、新設/増設投資が184億円、保守/更新支出が209億円となっている。同じく事業者データセンターファシリティ市場では、新設/増設投資が1,562億円、保守/更新支出が409億円だ。企業内データセンターと事業者データセンターのファシリティ投資の内訳は図のようになっているが、企業内データセンターでは、UPSの新設/増設投資の割合が高いのが特長だ。例えば、シュナイダーエレクトリックでは、IoT時代にはIoTインフラの電源管理が重要であるとしているが、これは前記したエッジデータセンターにおける設備投資にもつながっていくだろう。

 

 

次回からは、企業内データセンターや事業者データセンターで投資対象となる具体的なIT機器、設備を解説していく。

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