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マガジン [ Magazine ]

作業員の状況を把握できる「バイタルセンシングバンド」

[2016.07.20]

作業員の状態を遠隔で把握


IoTの世界では、さまざまなモノやヒトがインターネットにつながることで、それぞれの状態や現場の状況の可視化が可能になる。こうした観点にウェアラブルの要素を加えて現場作業員の状態や環境、位置などの把握を実現する製品が少しずつ発表されてきた。


例えば、東レとNTTが開発した機能素材「hitoe」を活用する生体情報計測用ウェアは、着用者の心拍数や心電波形の計測が可能で、そのデータを生かした作業員管理を実現する。大林組などはこの仕組みを利用して、建設現場の作業員の安全管理システムの実証実験を行った。作業員の熱ストレスを計測して、熱中症の予防などに生かそうとしているのだ。


同様の観点から富士通も「バイタルセンシングバンド」というウェアラブルデバイスの提供を開始した。バイタルセンシングバンドは、手首に装着して利用する製品だ。パルスセンサーや気圧センサー、温湿度センサー、加速度センサーなどを搭載しており、装着者自身や装着者の周囲の環境の状態を把握できる。


バイタルセンシングバンドで収集されるデータは、Bluetooth経由でPCやスマートフォンなどに集約されてサーバーに送信される。サーバー上では、収集されたパルス数や温湿度、活動量などが分析され、装着者の状態や現場を見える化する。「バイタルセンシングバンドは、当社が強みを持つ人に関わるセンシング技術を活用したIoTソリューション『ユビキタスウェア』の一部であり、センシングデータを分析するセンサーアルゴリズムが大きな特長です」と富士通 ユビキタスIoT事業本部の木場隆弘氏は説明する。

「バイタルセンシングバンドで作業員個々の状態を客観的に把握できます」

バイタルセンシングバンドを装着する富士通 ユビキタスIoT事業本部の木場氏。

熱ストレスの状況や転倒を察知


バイタルセンシングバンドの作業現場での利用例としては、hitoeのように熱中症から作業者を守るような安全管理がある。装着者それぞれの身体の状態や環境指数を加味した熱ストレスレベルを推定して、装着者の状態を「安全」「危険度小」「危険度中」「危険度高」の4段階で管理者に通知したり、作業者自身にバイタルセンシングバンドの振動で知らせることが可能だ。熱中症になってしまう前に対策を打てるようになる。


また、気圧と加速度の分析によって装着者が転倒したり転落したりした際も検知することができ、万一の場合でも迅速な救出・対応が行える。具体的な機能としては、「熱ストレスレベル推定」「身体負荷アラーム」「身体(カラダ)熱環境指数推定」「身体姿勢検知」「転倒検知」「転落検知」「活動量」「パルス数推定」などがある。

バイタルセンシングバンドは、バンドアタッチメント(左)とバイタルセンシングユニット(右)で構成。防水・防塵性能で、バッテリー駆動時間は約3日間(8時間駆動の場合)。破損リスクがある液晶はあえて搭載させていない。

販売ターゲットは、オリンピック需要もあることから建設業界が中心になりそうだ。加えて、電力、プラントの保守・点検、農業などの分野も視野に入れている。「現在は作業員の安全を確保するという責務が企業側で強くなってきています。バイタルセンシングバンドを利用すれば、作業員個々の状態を客観的に把握でき、個別に適切な指示ができるようになります」(木場氏)


富士通はバイタルセンシングバンドのトライアルパッケージとして「作業員見守りパイロットパック」を用意している。バイタルセンシングバンドやセンサーアルゴリズムに加えて可視化アプリケーションも提供される。ただし、アプリケーションは基本的には個別開発となるため、バイタルセンシングバンドの導入に伴うアプリケーション開発や、スマートフォン、SIMカードなどの通信環境の提案なども、販売パートナー、SIerのビジネスチャンスになりそうだ。

バイタルセンシングバンドで収集されたデータは独自のアルゴリズムで分析される。装着者の熱ストレスの上昇や転倒といった異常を検知した場合は、管理者などに通知する。

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