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ハンズフリーのヘッドマウントディスプレイ「エアスカウター」

[2016.07.11]

WEARABLE HMD

 

ハンズフリーで映像を確認しながら作業


建設現場や工事現場、工場の作業現場など、現場における作業では、常に作業用の機械を操作していたり、道具などを使用していたりするケースが多い。そのため現場環境下では、PCを手に持って利用することが困難な場合も少なくない。このような現場環境の中で、作業の高度化・効率化を実現させるIT機器として期待を集めているのがウェアラブル製品である。用途に応じてヘッドマウントディスプレイ(HMD)型、メガネ型、リストバンド型、衣服型、指輪型などさまざまな形態の製品が市場に登場している。


例えばHMD型やメガネ型では、ディスプレイ部分に映像や静止画を表示させて、作業しながら表示された内容を確認するような利用方法が提案されている。カメラが搭載されていれば、カメラで撮影した内容を記録しながら作業したり、遠隔で指示を受けたりできるようになる。

頭に装着するタイプのヘッドマウントディスプレイ(HMD)型製品は、新たな需要を創出しそうだ。

ブラザーは2012年6月から業務用のHMD「エアスカウター」を提供している。エアスカウターの特長は、HDMIケーブルで接続したタブレットやスマートフォンの画面をディスプレイ部分に投映できる点にある。ディスプレイ部分の液晶の解像度は1,280×720で、投映する映像の奥行きは30cmから5mまで自在に調整が可能だ。「画面を表示させるだけというシンプルさが売りです。OSを搭載した製品の場合、アプリケーションに手を加えなければならないなど、追加作業が発生してしまいます。エアスカウターならば、タブレット端末などとHDMIケーブルで接続するだけですぐに使用できるのです」(ブラザー販売 ビジネスソリューション事業部 塚本浩三氏)

「現場の調査・測量やインフラの保守・点検用途に使われるドローンとのセット利用に注目が集まっています」

エアスカウターはシンプルさが売りだとブラザー販売の塚本氏は話す。

HMD型は装着のしやすさも魅力だという。例えばエアスカウターでは自然な装着感を実現したヘッドバンドと自在に操作できるフレキシブルアームの採用によって、ディスプレイを作業の姿勢に合わせて最適なポジションに固定できる。昨年の7月に発売されたエアスカウターの最新モデル「WD-200A」(業務モデル)は、東京大学との共同研究によって改良されており、使いやすさに磨きをかけている。


バッテリー駆動時間は約4時間で、市販のUSBバッテリーを併用すれば、駆動時間は延長可能だ。ヘッドディスプレー部分の重量は約145g、タブレットなどの端末とヘッドディスプレー部分をつなぐコントロールボックスは約190gと軽量で、作業の妨げになりにくいだろう。

 


ドローン用途にビッグチャンス


エアスカウターのそもそもの想定利用シーンは、組立作業支援や遠隔作業支援、両手を使う作業現場、巡回警備など。作業の手順などをディスプレイに映すことで、実作業をしながら作業の確認が行えるようになる。頭に装着できるため、映像はハンズフリーで確認可能だ。巡回警備では、ビルやマンションの監視カメラの映像を見ながら現場の巡回が行えるようになる。

 

 「組立に必要な作業工程が多かったり複雑な場合、作業内容を忘れてしまうことがあります。そうすると、管理者への確認や作業マニュアルの見直しなどでタイムロスが生じます。エアスカウターを利用すれば、作業しながらその場で映像による確認が実現するため、そうしたタイムロスをなくせるのです」(塚本氏)

HMD型の製品を使用すれば、映像による作業手順の確認などがハンズフリーで行える。

上記のような利用シーンに加えて、昨今、エアスカウターの活用用途で大きな注目を集めているのがドローンとの併用だ。ドローンを現場で使用する場合、ドローンの操縦と、ドローンに搭載されるカメラの映像の確認を同時に行うケースが多い。実際には、ドローンを操縦するリモコンにタブレットやスマートフォンを搭載させて、タブレットなどの画面にドローンから送信される映像を投映するのだが、ドローンを見ながらタブレットの映像も同時に確認するのはなかなか難しい。そこでエアスカウターのようなウェアラブル端末の需要が生まれているのだ。ドローンのカメラ映像をエアスカウターのディスプレイに映せば、ドローンを操縦しながら視線を大きく外さずにドローンの記録映像が確認できるようになるからだ。

ドローンの撮影映像をHMDに投映する使い方が増えていきそうだ。

多くの引き合いが来ていることもあり、ブラザーでは今後、ドローンとの併用をエアスカウター提案の中心に据えていくという。「ドローンメーカー、販社、エンドユーザー、すべてから高い評価を得ています」と塚本氏は手応えを語る。

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