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ネタと話題 [ Story and Topics ]

ブラック企業よさらば!?AIで社員のハピネスをアゲアゲに

従業員の顔がみんな死んでいる…。こんな悩みを持つ経営者に朗報が届きました。従業員の幸福感(ハピネス)の向上に有効なアドバイスをAIが従業員に直接してくれる技術を日立製作所が開発したのです。果たしてどんな技術なのでしょうか。

[2016.07.18]

働いてるときは幸せですか?

会社の発展と働く従業員の満足度(ここでは幸福感とします)は比例するのでしょうか。

たとえ大企業で働いていても、大企業ならではの安定という二文字にすがりつくだけで、おもしろくもない仕事をひたすらこなす人は幸福とは言えないかもしれません。零細企業でも、ほかの人にはできない仕事をしているという矜持があれば、幸せを感じられるかもしれません。
もちろん、従事する仕事の内容だけでなく、共に働く同僚や上司との関係も大きく影響するでしょう。これらはよくあるたとえですが、人が感じる幸福感とは人それぞれで、これまで数値化はできない、と考えられてきました。あんまり考えすぎると、幸せとは何か? みたいな哲学的・宗教的な領域に入ってしまいますし…。


しかし、IoTと人工知能(AI)時代に不可能はありません(いや、それは大げさかもしれませんが)。日立製作所が、ウェアラブルセンサーとAIを活用して、従業員の幸福度(ハピネス)の向上と組織の活性化、そして企業の生産性向上に役立つ技術を開発したというのです。その仕組みは、従業員に名札型のウェアラブルセンサー(赤外線、加速度センサー搭載)を装着させて、職場における行動データを収集・分析し、各個人が所有するスマートデバイスにAIがアドバイスをくれるというもの。なんともすごい時代になってきました…。

行動データからハピネスを分析

そもそも、働いてるときの幸福感はどう計測するのでしょうか。これについて日立製作所は、集団の幸福感を定量的に求める予測モデルを考案しました。身体運動の特徴パターンから集団の幸福感を定量的に求めるものです。そして実際にそのモデルが正しいかどうかを以下のように実証しました。
7社、10組織、468人の従業員を対象に、米国立精神保健研究所によって開発されたアンケートを実施して幸福感(=ハピネス度)を計測。アンケートは、過去1週間の幸せ、集中、好調、楽しむ、希望、安眠、会話、とらわれ、食欲、憂うつ、労力、心配、孤独、悲しみなどに関する全20問の問いで、0~3までの4段階評価で回答するもの。この結果を分析し、アンケート回答者の集団の平均ハピネス度を計測しました。
同時に、アンケート回答者には名札型ウェアラブルセンサーを装着してもらっていて、業務中の行動データも取得しました。このデータと、アンケート結果に基づいて導き出された集団のハピネス度を示すデータとの相関解析を実施。すると、アンケート結果から分析したハピネス度と予測モデルによって導き出した結果との間で強い正の相関(相関係数0.92)を持つことが判明しました(相関係数0.92とは、この結果が偶然生じる確率は100万分の1以下ということ)。つまり、行動データの取得・分析だけでハピネス度がわかるようになったのです。

「Aさんと5分話しなさい」by AI

名札型ウェアラブルセンサー

 

ウェアラブルセンサーでは、従業員が歩いたり立ち上がったりするような行動から、座っているときの無意識的な動きまで含めて取得します。こうした動きとハピネス度との相関を分析すると、ハピネス度の高い組織は、短い動きから長い動きまでをミックスして無意識に行っている組織で、ハピネス度の低い組織は、一度動き出すと数分は動くがそのあと止まるというような一定のパターンを繰り返す組織だったようです。社内でも人の動きが活発な組織はハピネス度が高いようです。
これらをふまえて、AIが最終的に各従業員にカスタマイズされたハピネスの向上に有効なアドバイスを日々自動的に作成して、それぞれのスマートデバイスに配信する技術を日立製作所が開発したのです。アドバイスの内容は、「○○さんとの5分以下の短い会話を増やしましょう」「上司の○○さんに会うには午前中がおすすめです」というような非常に具体的なもので、職場でのコミュニケーションや時間の使い方に関するアドバイスになるようです。

スマートフォン画面の表示例(アドバイスと行動ログ)

 

こうしたアドバイスによって、従業員一人ひとりの幸福感が高まり、組織も活性化して、企業の生産性が高まると日立製作所は説明しています。日立グループでも営業部門約600人を対象に実証実験を開始しており、導入効果や運用上の課題を検証していくとのことです。
ついにここまで来たかという感がありますが、AIの指示によって実際にハピネス度があがるのかどうか。そもそも、人がAIの言うことを聞くのかどうか、実証の結果に注目したいですね。

(レビューマガジン社 山崎慎介)
 

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