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IT化で劇的に変わる! 「ニューフィールドワーカー」の現場環境 CASE STUDY 【特集】

[2016.07.04]

大林組


BIMを活用した建物管理ツールを開発
現場でのタブレット活用を進める


大林組は2012年にiPadを導入しており、現在は約5,000台のiPadが同社の従業員によって活用されている。同社 建築本部 本部長室 担当部長の森川直洋氏は、「iPadによって現場の在り方が劇的に変わりました」とその絶大な効果を振り返る。紙からデータへの移行を実現するタブレット端末が、大林組の現場作業の効率化に大きく貢献したのだ。


その大林組は今年の4月に、BIM(Building Information Modeling)を活用した建物維持管理ツール「BIMobile(ビーモバイル)」の提供を開始している。BIMとは、コンピューター上に作成した3Dの建物モデルにコストや仕上げなどの属性情報を追加した建築物のデータベースを、建築の設計から維持管理までの一連の工程で活用するためのソリューションであり、建築における新しいワークフローを確立する技術だ。


そもそも大林組では、BIMデータベースを核とした業務プロセス「スマートBIM」を提唱している。建設会社、設計会社、設備工事会社、行政、維持管理会社、顧客などでBIMデータを一貫利用することで、円滑な情報共有と合意形成、生産プロセスへの活用による建物品質の向上などを実現しようとする試みだ。大林組が提供を開始したBIMobileは、そのBIMを活用した建物維持管理業務をタブレットで実現したソリューションである。

 


タブレットで3Dモデルを参照


通常、点検作業などの建物の維持管理業務は、紙の最終図面や設備機器の取り扱い説明書などを見ながら行われている。この場合、紙の図面やチェックリストを携帯しなければならず、チェック後には改めてPCで入力する作業などの手間も生じていた。そこで、建物の3Dモデルやさまざまな情報を含んだBIMをタブレットで利用できるようにし、紙の図面などの持ち運びを不要にしたのがBIMobileだ。

BIMobile の画面

そもそもBIMの3Dモデルはデータ容量が大きく、iPadなどのタブレットでは属性情報なども十分に表示できないことが課題だった。そこで同社は、「ラティス・テクノロジーが開発した3Dデータを軽量化できる『XVL技術』の活用と、BIMが持つ属性情報をタブレット用にデータベース化することによって、タブレットでもBIMを活用できるようにしました」と大林組 建築本部 PDセンター 部長の本谷 淳氏は説明する。


BIMobileを利用すれば、点検対象の3Dモデルや構造躯体、仕上げ、建具などの仕様、材質、メーカー情報をタブレットで参照でき、さらに追加の情報や撮影した画像なども記録できたりする。情報はExcelで管理が可能だ。こうした機能によって建物の維持管理業務の大幅な効率化が実現する。大林組ではまずはグループ企業で利用し、建物の維持管理会社への提案を進めていく予定だ。


iPadやBIMobileに限らず、同社はITの活用について「現場の業務効率化やワークスタイルの変革、安全確保などに効果的」だと捉えている。「今後、建設業界が直面するのは、深刻な人材不足です。現場のIT化でそうした課題を克服していかなければなりません」と森川氏は話す。

 

「ITの活用は現場の業務効率化やワークスタイルの変革、安全確保などに効果的です」

大林組の本谷氏(左)と森川氏(右)

 

Company Profile

資本金:577億5,200万円
従業員数:8,402名(2016年3月末時点)
事業内容:国内外建設工事、地域開発・都市開発・海洋開発・環境整備・その他建設に関する事業など

 

東急建設


車両の搬入スケジュールをスマホで管理
渋谷駅周辺の再開発事業の現場を効率化


東急建設は、ITの積極活用によって新たな価値の提供と業務プロセスの革新を目指すIT施策「Shinka×ICT」を掲げている。ポストオリンピックの主要テーマをIT活用に定めて、経営資源を積極的に投資していくという。


具体的には、IT活用を加速させる「バリューチェーン・プラットフォーム(データ基盤)」を構築し、設計・施工から維持管理までのデータ収集、蓄積、連携、統合、分析、活用を実現する。IoTやビッグデータ・AI、ロボティクスの利用や、BIM・CIM(Construction Information Modeling)の展開などが含まれており、それらの活用によって、生産性や安全性の強化、品質の見える化による信頼性の向上、建物・構造物の維持管理の効率化や高度化を進めていく。


こうした東急建設のIT活用の一環として行われたのが、資機材搬入・揚重管理支援システム「DandALL(ダンドール)」の導入だ。東急建設と、土木測量設計ソリューションの開発販売を行っている福井コンピュータが共同で開発した。DandALLは、工事現場に資機材を搬入する車両やクレーンによる揚重作業のスケジュールを一元管理できるシステムだ。スマートフォンやタブレットからの利用を可能にしていて、現場でのリアルタイムの情報共有を実現する。

DandALL の画面。スマートフォンやタブレットでも利用できる。

 

 

1日数百台の車両の管理が必要


DandALLが導入されたのは、渋谷駅周辺の再開発事業の工事現場だ。「以前、渋谷駅周辺で行われた大規模な建設工事では、資機材の搬入などでピーク時には1日に300台の車両が現場に出入りしました。当時はExcelやホワイトボードで搬入の予約や順番の入れ替えの管理を行っていたのですが、協力業者とのスムーズな情報共有が難しく、タイムロスが発生していました」と東急建設 技術研究所 建設ICTグループの池田直広氏は振り返る。そこで、同じ轍を踏まないためにも、資機材の搬入スケジュールを共有できるDandALLの開発が進められた。


DandALLは資機材を搬入する車両の予約が可能で、資材搬入を担当する協力会社名やナンバープレートの番号、運転手名、運転手の携帯番号などの情報も、施工者や協力会社、ガードマンなどが所有するスマートフォンやタブレットで確認できる。スケジュールが修正された場合はその情報がリアルタイムに関係者に伝えられる仕組みになっている。グループウェアのような使い勝手で、従業員やガードマン、クレーンオペレーターなど立場に応じて権限の変更も可能だ。「現在は搬入の予約調整システムとして機能していますが、今後は、DandALLの履歴を利用して資機材搬入などのPDCAに生かしていきます」と池田氏は展望を語る。


東急建設では現在約900台のiPadと約50台のWindowsタブレットを利用しているが、「開発のしやすさから将来的にはWindowsタブレットに1本化してもいいでしょう」と同社 管理本部 情報システム部 部長の吉村典之氏は話す。

 

「現場ではリアルタイムの情報共有が重要です」

東急建設の池田氏(左)と吉村氏(右)

 

Company Profile
資本金:163億5,444万円
従業員数:2,340名(2015年3月31日時点)
事業内容:土木建築工事の請負、土木建築工事に関する調査、企画、地質調査、測量、設計、監理、コンサルなどの総合建設業

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