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ICTの利活用で児童生徒が主体的に学び合う、教え合うを実践 ~沖縄県浦添市~

沖縄県浦添市では電子黒板やタブレットなどのICT 機器とICT 支援員を市内のすべての小中学校に配備・配置することを目指して、2015年度より4カ年計画で「こどもが主体的に学習するための学校ICT 機器整備事業」に取り組んでいる。

[2016.06.22]

ICT活用で学力を上げるではなく、できるだけ早くICTに触れる

浦添市教育委員会
教育長
池原寛安氏

 

浦添市では2015年度からの4カ年計画で「こどもが主体的に学習するための学校ICT 機器整備事業」を進めている。同事業に取り組む背景と意義について浦添市教育委員会 教育長 池原寛安氏は「ICTを活用して学力が上がるという考え方ではなくICTを使うことが当たり前の時代が来ており、ICTという道具を使いこなすことが大切です。中学1年生で初めてPCやタブレットに触る児童生徒と、小学校1年生から触り始めた児童生徒とでは大きな差が生じます。ですからできる限り早くICT に触れるべきだと考えています」と強調する。
同事業は初年度の2015年度はモデル校3校を指定して電子黒板とPC、タブレットを配備する。そして今年度はモデル校3 校での成果検証とICT支援員の配置が実施されている。
来年度は新たに小学校4校と中学校2校に電子黒板とPC、タブレットを配備しICT支援員も配置する。最終年度となる2018年度はさらに小学校5校、中学校2校への電子黒板とPC、タブレットの配備、ICT支援員の配置を行い、市内のすべての小中学校への導入が完了する。

モデル校に電子黒板、iPad Air、Apple TV、無線LANなどを配備

各校に配備されるICTの具体的な内容は、モデル校の小学校2校にはプロジェクター式82インチボード型電子黒板を普通教室と特別教室に配備したほか、iPad Airを教師と児童生徒用に43台、特別支援用に10台、電子黒板台数分のApple TV、ICT支援員やコンピューター主任用のMacBook Air、このほか無線LANのアクセスポイントやソフトウェアなどとなる。

モデル校の中学校1校にはプロジェクター式の82インチボード型と70インチスクリーン設置型の電子黒板を普通教室と特別教室に、iPad Airを教師と児童生徒用に42台を3セット、特別支援用に10台、このほか小学校と同様にMacBook Airやアクセスポイントなどを配備している。

どうやって教えるかではなくどうやって学ばせるかが大切

これらのIT環境を利用してモデル校3校において3つの活用方法を実践している。まず「タブレット単体」での活用方法だ。iPad Airを使って資料を収集したりプレゼン資料を作成したりして、その内容を電子黒板に接続して発表するなどの使い方を実践している。さらにドリル学習や沖縄方言学習など、アプリを使った活用も想定している。

教育現場でタブレットを利用することについて池原氏は「紙の資料を使ったグループ学習では、課題についてわからない児童生徒は参加しようとしません。しかしタブレットがあれば触ってみたくなるため参加しようとします。そして画面を見て「これは何」という具合に、わからないことをほかの児童生徒に聞いてきます。つまりタブレットを使うことによって「教えて」と言いやすい環境が作り出せます。さらにわかる生徒が「教える」学びも実践できます。どうやって教えるかではなく、どうやって学ばせるかが大切です」と強調する。

タブレット単体のほかに端末や機器、アプリを組み合わせて活用

次に「電子黒板システムと教師用ノートPCとiPad Air」を組み合わせる活用方法だ。教師用ノートPC から児童生徒用iPad Airへ一斉に資料が配付できるほか、児童生徒用iPad Airで書き込んだ回答を教師用ノートPCへ送信し、電子黒板に児童生徒の回答を選択・比較表示できる。またデジカメや実物投影機等の外部接続機器も組み合わせて活用できる。

浦添市教育委員会
浦添市立教育研究所
研究係長
日髙 聡氏

 

浦添市教育委員会 浦添市立教育研究所
研究係長 日髙 聡氏は「大量の紙資料の配付が必要な授業やカラー写真を豊富に使用した資料の配付など、アナログでは手間や費用の面で実施が難しかった授業が容易に実施できます」と話す。
そして「電子黒板システムとiPad Airとロイロノート・スクール」を組み合わせた活用方法だ。ロイロノート・スクールとはタブレット向けの教育支援アプリで、プレゼン資料や動画の作成ができる。一斉授業で活用する以外に児童生徒1人ひとりに動画・写真等の撮影、音声の録音、ネット情報の収集などをさせて発表させることも可能だ。
このロイロノート・スクールを利用した活用方法では、教師用のiPad Airで作成した問題や資料を児童生徒用iPad Airに一斉送信したり、NAS 経由で配布したりできる。また児童生徒からの回答を一覧表示及び選択表示でき、児童生徒1人ひとりの回答を把握して多くの児童生徒に対して発表を促せる利点もある。

常に進化を続けている最新のICTに触れる機会が必要

児童生徒が作成した資料がNASに自動保存され、個別のIDでログインすると保存した資料を呼び出せる。この機能を使えば複数の児童生徒で共用しているiPad Airを、個人専用のように使うことができる。
このほか児童生徒間でのデータ交換や、電子黒板への表示や電子黒板システムとの連携、児童生徒用iPad Airの状況確認、操作ロック、児童生徒間通信の制御なども可能だ。
今後の展望について池原氏は「ICTは常に進化を続けています。より効果的なICTを取り入れるためには、児童生徒や教師が最新のICTに触れる機会が必要です。最新のICTを実際の授業で試用して、児童生徒や教師が評価する環境があるとうれしいですね」と要望する。

取材時の2016年4月末現在は初年度指定校である浦添市立浦添小学校、同宮城小学校、同港川中学校の3校がモデル校に指定され、電子黒板やタブレットなどのICT 機器とアプリなどが導入され、実際の授業で実践活用されていた。

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