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マガジン [ Magazine ]

インフラ(Wi-Fi)整備 【特集】

[2016.06.13]

フリーWi-Fiの有無が店舗の競争力を左右


 「急増する訪日外国人旅行者を集客するためには、フリーWi-Fiは必要不可欠なツールです」こう指摘するのは、無線LANの普及推進活動を行う無線LANビジネス推進連絡会 会長の小林忠男氏だ。


訪日外国人旅行者の多くは、携帯電話を操りSNSなどで常にデータのやり取りを行っている。しかし、携帯電話は通信方式の違いなどによって、海外の端末が日本で利用できないケースがある。例えば、第2世代の通信方式であるGSMだけに対応する端末の場合、日本で提供されている3GやLTE回線は利用できない。たとえ3GやLTEを利用できたとしても国際ローミング料金がかかるなど、訪日外国人旅行者が日本で携帯電話を利用する際には制約が発生する。


こうした問題を解決するのが訪日外国人旅行者にも無料で開放されているフリーWi-Fiだ。Wi-Fiは世界標準の規格であるため、利用する端末の性能などを気にせずに利用できるのが大きな特長だ。フリーWi-Fiならば通信料金もかからず気楽に利用できる。


フリーWi-Fiは訪日外国人旅行者の動線とも密接に関係している。例えば訪日外国人旅行者が日本に到着した際、次の行動を決めるために、空港や駅、カフェなどで情報収集を行おうとするケースは多いだろう。そのときにフリーWi-Fiが提供されているかどうかは、利用する施設の快適度を左右する。そしてその評判はSNSなどですぐに拡散される。フリーWi-Fiが利用できる便利な施設であれば、口コミによって来客の増加が期待できるだろう。訪日外国人旅行者が移動するさまざまな場所においてフリーWi-Fiを活用した情報収集と消費活動が繰り返されることになるが、こうしたサイクルの中でビジネスを推進していくためには、フリーWi-Fiの整備が欠かせないのだ。

 


独立系店舗への提案チャンスが増える


フリーWi-Fiの提供と合わせてログインページなどに独自のコンテンツを展開できれば、さまざまな誘客に利用できる。例えば宿泊施設で提供するフリーWi-Fiのログインページに施設の情報を掲載したり、周辺施設で利用できるクーポンなどを提供すれば、地域内の活性化を促せる。フリーWi-Fiは単にネットワークを提供するだけの存在ではなく、店舗や地域を盛り上げるコンテンツを仕掛けることができるのだ。


もちろん、すでにフリーWi-Fiを整備している店舗や施設、地域も多い。大規模店舗やチェーン店舗などではフリーWi-Fiの提供は浸透している。今後は、「独立系のカフェやレストランなどの店舗、施設における整備も進められていかなければなりません」と小林氏。地方の観光地においても訪日外国人旅行者需要は期待できる。そうした中で、訪日外国人旅行者の誘客に不可欠な設備となるフリーWi-Fiの整備提案はサプライヤーにとって大きなビジネスチャンスになる。従来以上に高速で安定したWi-Fi環境の構築で競合との差異化をつけるような提案も可能だ。

ホテルの顧客は“コネクテッドトラベラー”に

 

 

グローバルターゲットはジェネレーションY


横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズは、横浜駅西口から徒歩1分の場所にあり、ビジネスの拠点として、そして横浜だけでなく東京や鎌倉への観光の拠点としても活用されているホテルだ。外国人宿泊者の比率が高いのが特長で、人数ベースでは全体の40%、部屋ベースでは50%が外国人宿泊者となっている。これまではスターウッドホテル&リゾートワールドワイド傘下だったが、マリオット・インターナショナルによるスターウッドホテル&リゾートワールドワイドの買収がほぼ決定したため、今後はマリオット・インターナショナルの傘下になる予定だ。そうなると、グローバル規模で会員数が飛躍的に伸びることになり、さらに外国人宿泊客の伸びが期待できる。


外国人宿泊者の比率が高い横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズのIT戦略は、グループがグローバルで進めている戦略を踏襲している。そうした中では、Wi-Fiの整備は当然のことであり、現在はiPadを利用した多言語対応のメニュー表示をレストランで実現していたり、席の予約をWebサイトから行えるようにしている。また、スターウッドホテル&リゾートワールドワイドやマリオット・インターナショナルではデジタル化が進められており、スマートデバイス用のアプリケーションと顧客データを組み合わせたさまざまなサービスの提供が開始されている。

(左)iPadを利用した多言語対応のメニュー。(右)顧客専用アプリ。ホテルの予約やキーレスエントリーを実現する(対応ホテルのみ)。

 「これからターゲットになるのは、5〜10年後に社会の中心を担うジェネレーションYと呼ばれる世代です。この世代に合わせたホテルのIT化がグローバルで進められています」と横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ 副総支配人の樗木洋平氏は話す。ジェネレーションYとは1975年頃から1989年頃までに生まれた世代を指す。この世代はIT活用に慣れているのが特長で、スマートフォンなどを日常的に利用している。そのため、ホテルのサービスもスマートフォンなどのアプリケーション経由で提供できる仕組みが構築されはじめている。

 

 

すべてのサービスがアプリ経由で


すでに欧米ではスマートデバイス用のアプリケーションを利用した自動チェックインやキーレスシステム、ルームサービスの提供が開始されている。ホテルで利用できるサービスがスマートデバイスとアプリケーションで完結するのだ。こうしたサービスを活用する顧客をホテル業界では「サイレントトラベラー」や「コネクテッドトラベラー」と呼んでいる。スマートデバイスとアプリケーションだけでホテルのサービスとつながっており、ホテルの従業員と実際に言葉を交わすことがない顧客を意味する。ホテルへの要望などはチャットやメッセンジャーサービス経由でやり取りされる。このような状況がグローバルの先進的なホテルではすでに現実となっているのだ。


横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズでは現在のところ、専用アプリケーション経由でホテルの予約をした顧客に対して、データに基づいた部屋のセッティングなどを行っている。今後は、タブレットなどを利用して部屋の操作(照明、空調、テレビ、ルームサービスの依頼など)を一元化できるようなサービスを予定しており、グローバルの動きに合わせたIT化をさらに推進していくという。それが、グローバルの顧客ニーズに応じることになり、外国人宿泊者の増加につながるのだ。

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