menu
マガジン [ Magazine ]

インバウンド需要でITを売る 【特集】

[2016.05.25]

インバウンド市場 Inbound Market

 

2020年までに「4,000万人」


訪日外国人旅行者が急増している。日本政府観光局の調べによると、2015年(1~12月)の訪日外国人旅行者数は前年比47.1%増の1,974万人にまで増加した(2016年1月発表)。同局の今年4月20日の発表によれば、2015年度(2015年4月~2016年3月)の数字では訪日外国人旅行者数は2,000万人を突破している。2,000万人という数字は、以前までは2020年時点における目標だった。


そもそも訪日外国人旅行者数が1,000万人を超えたのは2013年だ(1,036万人)。2002年に524万人だった訪日外国人旅行者数は10年近くをかけて1,036万人にまで増加した。それからわずか2年で2,000万人にまで到達したのだ。大方の予想を遙かに超える訪日外国人旅行者数の増加が、現在の数字に結びついている。

■訪日外国人全体の旅行消費額と旅行者人数の推移 出所:日本政府観光局

 

 

特に増えているのはアジアからの旅行者だ。2014年は訪日外国人旅行者全体の79.1%がアジアからの旅行者であり、その数は1,061万人だった。2015年はその割合が82.9%となり1,637万人になった。中でも増えているのは中国からの旅行者だ。2014年が241万人だったのに対して、2015年は499万人にまで増えている。同様に、韓国からの旅行者は276万人から400万人に、台湾からの旅行者は283万人から368万人に増加した。

■ 2015 年 訪日外国人旅行者数とその割合 出所:観光庁

 

 

訪日外国人による消費額も増えている。2015年は前年比71.5%増の3兆4,771億円と3兆円を超えた。2012年時点では1兆846億円だったことを考えると、3年で3倍にまで成長したことになる。訪日外国人旅行者1人あたりの旅行支出は17万6,168円で、こちらも前年比16.5%増だ。国籍別の支出額の上位は、中国が全体の40.8%(1兆4,147億円)、台湾が同15.0%(5,207億円)、韓国が同8.7%(3,008億円)となる。


こうした動きを受けて政府では、2020年の訪日外国人旅行者数の目標を4,000万人にまで引き上げ、観光立国の実現に向けて規制の緩和や観光施設の拡充などさまざまな施策を推進していくと発表している。

■ 2015 年 費目別訪日外国人旅行消費額(中国、タイ、米国) 出所:観光庁

 

 

旅前、旅中、旅後までをITでフォロー


訪日外国人旅行者の急増によって注目を集めているのが訪日外国人旅行者(インバウンド)需要だ。本特集ではインバウンド需要におけるIT提案のチャンスを扱う。ポイントは、訪日外国人旅行者が困っている点であり彼らに対してサービスや商品を提供する事業者が課題としている部分をITソリューションでサポートしていくことだ。


実際に訪日外国人旅行者が困っていることの上位は、「言葉の問題」や「Wi-Fi未整備の問題」だ。そのため、言葉の問題を解決できる通訳・翻訳ソリューションとそれに付随するスマートデバイスやデジタルサイネージ、Wi-Fiの整備やそれを補完するネットワーク機器、ネットワークサービスの提案が中心になりそうだ。


それらのソリューションは、訪日外国人旅行者による旅行前の下調べのサポートから、旅行中のナビゲーションやコミュニケーションの実現、旅行後の購買支援(越境EC)にまでつながっていく。また、事業者側の業務のサポートとして、訪日外国人旅行者への販売に際して行われる免税手続きを簡素化するソリューションの需要も高まるだろう。


ソリューションの提案対象は、百貨店や家電量販店、食料品店、各種売店などの小売店、鉄道やバス、タクシーなどの交通機関、カフェやレストランなどの飲食店、ホテルや旅館などの宿泊施設、イベント施設、各自治体など非常に幅広い。そして、それが首都圏だけではなく地方も含めた日本全体に存在するのだ。


ただし、ITソリューションは単純に訪日外国人旅行者の消費を促すものではなく、訪日外国人旅行者に対して充実したおもてなしを実現するものであるという視点を忘れてはならない。この視点を踏まえたソリューションの選定・提案ができれば、顧客のよりよいパートナーになれるだろう。

 

 

多言語対応、フリーWi-Fi環境の整備を明示


インバウンド市場が盛り上がる中、政府は昨年の6月に「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」を決定している。主な項目として、「インバウンド新時代に向けた戦略的取り組み」「地方創生に資する観光地域づくり、国内観光の振興」「先手を打っての『攻め』の受入環境整備」「外国人ビジネス客などの積極的な取り込み、質の高い観光交流」などが挙げられている。中でも先手を打っての「攻め」の受入環境整備では、多言語対応やフリーWi-Fi環境の整備が明示されており、今後は、それらの整備に関わる補助金などにも一層注力されることが予測される。

キーワードから記事を探す

特集