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富士通クライアントコンピューティング株式会社 代表取締役社長 齋藤邦彰 氏 【Top Interview】

[2016.05.26]

富士通は今年2月1日、昨年の発表通り同社のPC事業と携帯端末事業を分社化し、PC事業を継承する完全子会社の富士通クライアントコンピューティング株式会社を発足させた。今後発表するPCは「富士通」ブランドのまま販売される。同社の代表取締役社長に就任した元富士通株式会社 執行役員常務 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の齋藤邦彰氏に、新会社の青写真を伺った。

 

従来のPC事業に変化はない PC以外の新事業を切り開く

 

新会社設立の目論見


─富士通はこれまでスーパーコンピューターやミッションクリティカルな領域からコンシューマーまで、コンピューティングに関して1社ですべての製品分野を網羅してきました。なぜPC事業を富士通から独立させたのでしょうか。
齋藤氏(以下、敬称略)■富士通は1981年に初のコンシューマー向けPCであるFM-8を発売しました。当時の富士通の情報通信ビジネスはオフコンなどの法人向けだけでしたので、コンシューマー向けのビジネスを展開するには新しい組織が必要でした。


そのときに企画、開発、設計から製造、販売、保守までのすべての機能を一つの事業体に備える体制を整えました。この一貫体制でお客様のご要望に柔軟かつ迅速にお応えし、画期的なPCを次々と開発、販売してきました。


PC以外の新しい分野でビジネスを展開


齋藤■現在PCは広く普及しています。今後PC事業、すなわちクライアントコンピューティングで成長を続けていくには、PC以外の新しい分野でもビジネスを展開しなければなりません。
申し上げました通り富士通のPC事業は一貫体制による意思決定の早さと機動力が強みです。PC以外の新しい分野でビジネスをリードするには、一貫体制の強みをさらに磨き上げるために独立した会社になる必要があったのです。


PC以外の新しいビジネスとは何か


─富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が狙うPC以外の新しいビジネスとは何でしょうか。
齋藤■コンピューティングはデータの入り口であるフロントとデータを集積したり処理したりするバックとで構成されますが、現在のコンピューティングはバックがクラウドとなり、フロントはPCやタブレット、スマートフォンといったリアルワールドに存在するクライアントコンピューターで構成されています。


さらにフロントには、例えばセキュリティカメラや自動車、さまざまなセンサーなどあらゆるモノが加わっており、IoTと呼ばれる世界が広がっています。


その中でFCCLはフロントにPCやタブレットを提供すると共に、小型軽量化技術、ワイヤレス技術、AndroidやWindowsプラットフォームの構築力などの技術的優位性を活かしてIoTに必要なさまざまな端末を提供していきます。


フロントに様々なIoT端末を提供


齋藤■IoTの普及に伴ってネットワークに接続される端末の数が増加し、そこから収集されるデータの容量も増大します。フロントで得たデータを直接バックに伝送すると、ネットワークの帯域もサーバーのコンピューティングパワーも逼迫して、システム全体の性能や信頼性が低下してしまいます。


例えば自動車の自動運転では、車両や路側機のセンサーからのデータをバックに伝送して情報を車両に伝達するのでは、リアルタイムな処理は行えません。


フロントとバックの中間も狙う


齋藤■そこでフロントとバックの間にゲートウェイを設置して、リアルタイム性やセキュリティの強度、分散処理など目的や用途に応じてコンピューティングパワーを提供する「Intelligent Gateway」というサービスを展開していきます。


フロントとバックの間をつなぐクライアントコンピューティングサービスは、これからのIoTに必要です。しかもこの領域は未開拓です。当社が先駆けて取り組み、ビジネスをリードしていきます。


顧客対応とパートナー協業は従来通り


─既存の顧客への対応とパートナーとの協業に変化はあるのでしょうか。
齋藤■お客様とパートナー様との関係は従来通り何も変わりません。まず法人のお客様、個人のお客様への保守・修理の対応は、従来通りの体制・窓口で継続して実施します。パートナー様との協業につきましても従来通りの体制を継続します。


─当面の具体的な事業展開及び目標、施策についてお聞かせください。
齋藤■2016年度の販売台数の目標についてですが、 IT専門調査会社のIDC Japanによると2016年度の国内PC出荷台数の伸長率は法人市場が前年度比105%、家庭市場がマイナス5%の予測です。これらの数値に対して当社は市場伸長以上の成長を目指して販売促進に取り組んでいます。


そのために地域営業との商談獲得検討会を定期的に実施するとともに、全国の販売パートナー様への現地訪問による商談フォローを強化しています。そうした活動を通じて商談発掘と獲得率向上、そしてパートナー様の取扱いボリューム拡大を図り、販売台数目標を達成します。


国内開発・製造によるカスタマイズを強化


齋藤■文教市場や生命保険業務などに特化したタブレットや、マイナンバー対応のセキュリティ対策など、個別カスタマイズによるお客様要望への対応にも力を入れています。


国内で開発・製造している当社は、お客様のご要望に柔軟かつスピーディに対応できる強みがあります。商談や現場のご要望については遠慮なく当社営業担当者にご提案いただき、よりよい製品や販売環境を提供していきたいと考えております。


革新的な“何か”が進行中


齋藤■まったく新しいビジネスの創出に向けて、新規プロジェクト「Computing  for  Tomorrow」も開始しています。これは業界の固定観念に捕らわれず、次世代を担う商品づくりや新しい発想を生み出す風土づくりを目的とした活動です。


今後実証実験を行い、1〜2年後に滑走路に出して離陸させたいと考えています。

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